【完結】もう我慢できないので婚約破棄してください!!逃げ出した先の伯爵家に愛されすぎてます

なか

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天才魔法少女はこの気持ちを認めない

ep終ー認めない想いー

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「な、なんだお前は!?」

叫ぶステンドだが
明らかに動揺していた
ルルを殺す完璧なタイミングを突然、ラバルトに止められたからだろう


「こっちも、奪われるわけにはいかないんでな……」

ラバルトは笑みを見せながら答えた

「くっ!!おい!お前ら!そいつらを殺せ!!殺して時間を稼げば国外には逃げられる!」

ステンドの叫びに他の者達も手にしていた武器を構えてルル達に迫る

「せ、先生……」

怖がるエウィを抱きしめながらルルはラバルトを見た

「それで、どうする気ですか?」

「全員をぶっ倒す…と言いたいが……魔力もなくて…おまけに走ったせいで足ががくがくでな」

「ふっ!!情けないですね!」

「うるせぇよ…任せていいか?」

「ええ、もちろん」

ルルは立ち上がり
そしてラバルトを見つめる

「……感謝してますよラバルト」

「あ?」

「魔力を全て失っても助けに来てくれた事に…きっと…私には理解できない何かをしたんでしょ?」

「俺もよくわかってないんだけどな…」

「充分です、お返しに見せてあげます、あなたが守ってくれた天才の力を!!」


ルルの周囲に大きな炎が浮かび上がり、それは大きな龍の形を作り上げた

ラバルトはエウィを抱きかかえながら呟く

「エウィ、見ておけよ?あれが…守り続けた先生の力だ」

「綺麗…」

ルルが作り上げた焔龍は迫りくる者達の武器を溶かしていく

その流れる様な動きはまさに天才、いや賢者のようだ

炎に彩られた舞のように
焔龍はその美しい姿を見せた

(紅蓮の魔法使いね、惚れ惚れする程ピッタリだな)


全ての武器を焼き尽くした焔龍はそのままステンドへと突進する

「な!?なにを!?」

「あんたには!永遠に後悔させてあげる!!」

ステンドの中に焔龍が入り込む


そして


「な、な……………あ、熱い!!胸が熱い!!た、助けてくれ!!!」


ステンドの胸から炎が燃え上がる、それはステンドだけを焼き
彼を殺す事もなく苦しめ続ける

「あ!あがぁ!!た、たすけぇ!!」

「んー?難しいかな?あと十年は燃え続けるからね」

「あ、そんなぁ!!!あがぁぁぁ!!!」

ステンドはもがくように転がるが、炎は消えない
それを見て、他の者たちは手を上げて降参の意思を示した


「えげつないなぁ」

ラバルトはエウィの目を手で覆いながら呟く

「私の生徒を傷つけたんだから、当然です」

ルルは笑顔で言葉を続けた


「帰りましょうか!」

「…あぁ、そうだな」






その後、ルルとラバルトは駆け付けた騎士団に全てを話した

調査の結果、ステンド率いる組織が孤児院を占有しエウィを洗脳
あらたな賢者・グラッジを作り出す計画を企てていたようだ

孤児院にいた子供達は全て地下室に監禁されていたが、無事に救助された

主犯ステンドは更なる余罪があった

彼の部屋には毒物もあり、エウィの両親ももしかすると
騎士団の調査はまだ始まったばかりだろうが、きっと直ぐに分かるだろう


彼に従っていたものは全員が金で雇われた者か、魔法を崇拝する者だった


後にステンドはその凶悪な犯罪を全て明らかにされ


フェルト王国からの申し入れにより
ラディウス王国から移送され

フェルト王国の
特別監獄に送られる事になる







この事件は国に大きく衝撃を与え、後に二度と悲劇を起こさないために
魔法使いを保護する制度ができるのだが

それは先の話だ










ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「疲れましたね……」

「あぁ…」

エウィを病院に送り届け、無事に眠ったのを確認した二人は
大きな息を吐く

辺りは既に暗くなり、静かな街並みとなっていた

「それじゃあ、私は帰りますね……」

歩き出したルル

「なぁ」

「ん?」

ラバルトの声にルルは振り返った


「俺はお前が好きだ」

「んな!?」

突然のその言葉にルルは顔を赤くして驚く

「な、何言って…」

「……伝えとかないと後悔しそうだからな…けど、その想いは持っているだけだ」

「?」

「俺は過去に色んな悪事をしてきた……忘れるなんてできない、逃げ出すことなんてできない……俺は一生この罪を償い続けたいんだ……だから」

ラバルトは言葉を続ける

「俺を嫌いでいてくれ、俺はお前が生きているだけで、充分だから…」

「………………」

「それだけだ……突然すまないな」

ラバルトは振り返り
歩き出す













「勝手言わないでください!」

「おわ!?」

ルルは突然、ラバルトの背中に飛び乗った
まるでおんぶされるかのように、ラバルトも慌ててルルを支える

「なに一人で決めつけてるんですか!!」

「い、いてぇぇ!!」

ほほを引っ張られながら、ラバルトは叫ぶ

「私はね、あなたなんかにこの気持ちを決めつけられたくないの!!子供達と接する姿も!あの時助けに来てくれた姿も!!全部全部!!!大好きなの!!」


「んな!?」

ルルは顔を赤くしながら、そっとラバルトのほほに口付けを行う


「だから、私は嫌いなんて気持ちを認めない……」

「ルル………………」

「あんたの罪も私が一緒に償ってあげるから、だから背負い込まないで」

「!?…………あぁ……あぁ…ありがとう…」

ラバルトはこみ上げる涙を抑えきれなかった

「ふふ、なに泣いてるんですか」

「う、うるせぇ……嬉しいんだよ…」





お前には教えられてばかりだ
子供達との向き合い方も、生き方も、考え方も

だから


俺はお前の隣に居られるだけで良かった





けど、クズでどうしようもない俺と
お前は一緒に進んでくれるなら

俺はお前に見合った男になるために……進み続けるよ







ラバルトはしゃがみ込み泣きながらそう誓った
ルルはそんな彼を見て

微笑んでいた















































ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ルルのお話はここで終わりとなります。

この先は
アリサとカイエンの子供のお話となります。


12月5日には
最終話を投稿する予定です


それまで引き続きお付き合い頂けると嬉しいです。



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