121 / 131
番外編
外伝 雪の降る地で⑤
しおりを挟む
「いんやぁ、何故オイラの故郷はこうも腐ってんのかねぇ。」
ネズミは思わず溜息をついた。
騎士との癒着の証拠を探して、邸を隅々まで見てまわっていたら見つけてしまった隠し扉。
きな臭いねぇ、と思いつつも隠し扉の奥の地下に続く階段を降りながら『刑受の森』に作った同じく地下にあった寝ぐらを思い出して何だか懐かしい気分になったのも束の間。
辿り着いたのは地下牢だった。
地下牢には男達が繋がれていて、男達の牢の前には武器と立派なパネルが置いてあった。
パネルには『エリン・マグビル。南方のアーリア領出身。弓の名手で騎士団に在籍していた時期があり、…………。』とこのように長々と牢の男達の経歴が書かれている。
「なんかこう展示してるって感じだねぇ。」
男達の目は虚ろでネズミが見えていないのか牢の外を歩いていても反応をしめさない。それ所か、口から涎が垂れているのに飲み込まずぼんやりしている表情を見るに自我があるのかも怪しい。
「こりゃあ、騎士と癒着がどうとかいう前にさっさとこの決定的な証拠でライフ男爵を検挙した方がいいんじゃないかねぇ。次の被害者が出る前に。」
ネズミはサラサラと持っていた紙にこの現状と邸の見取り図を記し、そそくさと地下牢を後にした。隠し扉からこっそり出ようとしたが、隠し扉の前で一人の男が仁王立ちしていた。
ー うわっ!? バレちゃったかねぇ??
恐る恐る隠し扉を盾にして男を覗くと男はおびただしい汗を掻き、焦った表情をしていた。
始末しようかとクナイに手を伸ばしていたが懐にしまい、意を決して男の前へ出た。
「何か用? ちょぉっとオイラ迷子になってただけなんだけどぉ。」
カラカラと作り笑いを浮かべて男の前に出ると男はネズミの肩をガシッと掴んだ。
「お前、あの赤髪の青年と一緒に入った傭兵だよな。」
「えっ、うーん。そうだっけかなぁ? 」
「頼むよ。あの青年を連れて早く逃げてくれ!! 」
「………はい? 」
ー どーいう展開?
ネズミが困惑していると男の目に涙が浮かんだ。
「あの目を見て一目で分かった。…だって目の形がよく似てるから。あの赤髪の青年はダグラスさんの息子だろ? 俺はあの人に恩があるんだ。だから助けたい。」
「いや、どーゆーこったい。オイラ理解が追いつかない。」
「アイツはずっとダグラスさんに執着してんだ。頭のおかしい奴だからそのダグラスさんの忘れ形見を自分の運命の相手だと思ってんだよ、あのイカれ野郎は。」
大の男が泣きながら必死に訴えてくる。
ネズミは困惑しつつも男の話を聞いた。
◇
俺は傭兵として幾度もダグラスさんと依頼をこなしてきた。
腕っ節はあるけど頭のない俺は依頼人に騙されて、よく不当な少ない報奨金しかもらえない事を心配してくれたダグラスさんは俺と組んで俺が騙されないように依頼人との交渉も一手に引き受けてくれていた。
優しいダグラスさんには優しい赤髪が綺麗な奥さんが居てよく奥さんの手料理を頂いた事もあった。そんな優しい二人に子供が出来たと聞いた時は俺は自分の事のように喜んだ。
ダグラスさんはそりゃあ、とっても喜んで、これから生まれてくる子供の為に比較的安全で割の良い仕事を探していた。そんな時に舞い込んだのがライフ男爵邸の用心棒の話だった。
「アルヴィンの為にも稼がないとねん。」
「まだ性別も分かってないのに名前決めてんすか? 」
「絶対男の子よん。わっちには分かる。わっちの可愛いワイフ似の可愛い男の子が生まれるに決まってるわん。」
ついでにこのカマみたいなダグラスさんの喋り方は何時も仕事で一緒に居れない奥さんに浮気しませんよという意思表示だそうだ。「カマみたいな喋り方のキモいおっさんには女も抱かれたくないでしょん? 」と、オホホと笑って言っていた。
そのカマみたいな喋り方でも周りには慕われていて、ライフ男爵にも一目置かれていた。特にライフ男爵の息子、ルベルトには懐かれていて、何時も鍛錬の時はダグラスさんの斧さばきをキラキラした目で見ていて、ダグラスさんの斧に触りたがった。
「ねぇ、ダグラス。僕のものになってよ。」
「あーら、熱烈ねん。でもわっちには可愛いワイフとこれから生まれてくる可愛い息子がいるのよん。何時かアルヴィンにも会わせてあげるわん。」
俺達の仕事は順調だった。
しかしダグラスさんはこの仕事に違和感を感じ始めていた。
「あんなに傭兵を募集しているのに邸にいる傭兵の数が少な過ぎないん? 」
「この邸に飾られてる武器。傷とかくせとかついてて何だか気味悪いわん。飾りなら使い古したものを飾るかしらん。」
やがてダグラスさんはその違和感を抑えられず、邸を探るように主人の目を盗んで見てまわるようになった。そして地下に繋がる隠し扉を見つけてしまった。
俺とダグラスさんは地下の光景に絶句した。
虚な目で牢に繋がれる男達。
まるで展示されているもののように男達は動かない。
「何よ、これ。」
その中には何度か仕事をともにした戦友達も居て、その変わり果てた姿に俺はただ震えていたが、ダグラスさんは怒りに肩を震わせていた。
「アンタ!! 何考えてんのよんッ!? 」
ダグラスさんは怒りのままにライフ男爵のいる書斎に乗り込んでライフ男爵の胸ぐらを掴み、詰め寄った。
「地下の子達は何!? アンタあの子達に何したのんッ。あの子達を解放して元に戻しなさいッ!! 」
「それは無理だ。彼等の心はもう薬で壊れてる。」
「何ですってッ!! あの子達が何したってゆうのんッ。あの地下牢にいるねぇ短剣使いのリオンや槍使いのアリシャはね。よく笑う子達だったわん。陽気に酒飲んで笑って、たまにアリシャの奴は酔うと服を脱ぎたがるアホだったけど、あんな目にあっていい子達じゃなかった。わっち達の大切な戦友だったわん。」
「今は私の可愛いコレクションだ。」
ライフ男爵はにんまりと気持ち悪い笑顔を浮かべた。その表情に完全に頭に血が上っていたダグラスさんは斧を振り上げた。
一瞬、それでもダグラスさんは躊躇ったがそれでもどうしてもあの人は斧を納める事が出来なかった。二人とも共に盗賊退治で何度も背を預けた傭兵仲間だった。
血飛沫が書斎に舞った。
最期まであの男は気持ち悪い笑みを浮かべていた。血の付いた斧を片手にダグラスさんは怒りの表情が消え、真っ青になっていた。ドクドクと頭から血を流す主人を前に頭を抱えて、あの人は俺に最期の願いを託した。
「わっちは仕事で死んだって事にして。こんな業、生まれてくる子には背負わせたくない。」
ダグラスさんはライフ男爵殺害の罪で騎士達に連れて行かれた。俺は騎士達に地下牢の事を伝えたが誰も取り合ってくれなかった。
「ダグラスは何処? 」
父の骸の前で、ルベルトはそう騎士に連れてかれたダグラスを探していた。死んだ父など、どうでもいいといった様子で父の骸を一瞥した。
「そっか。ダグラスはアルヴィンと僕を運命で結んでくれたんだね。親を殺された子とその親を殺した親の子。なんて運命的なんだろう。」
そう、うっとりとまだ知らぬ、生まれても来ていないアルヴィンにルベルトは想いを馳せた。蛙の子は蛙。この子もまたライフ男爵のように狂っていた。
馬鹿な俺に出来る事はダグラスさんの最期の願いを聞き届ける事と、ダグラスさんの子がこのイカれ野郎に捕まらないように見張る事だけだった。
◇
「だからあの男爵は最初から赤髪の兄ちゃんにゾッコンだったってぇ訳かい。」
話の内容に寒気を覚えながらネズミは苦笑いを浮かべた。
ー 赤髪の兄ちゃんはきっとこの話を知らないねぇ。
知っていたら反応の薄いあの若人でも流石に眉の一つは動く筈。ライフ男爵邸への潜入の話を受けてもアルヴィンは軽く了承しただけでそれ以外の反応は示していない。まぁ、ネズミと組むって伝えられた瞬間、苦虫噛み潰したような顔をしたが。
ー こりゃあ、潜入中止にした方がいいねぇ。騎士との癒着の証拠もこの男に証言してもらえりゃあいい訳だしねぇ。
ネズミは男の肩を力強く叩き、ニッと笑った。その何だか力強い笑みに男の表情が少し和らいだ。
「アルヴィンはオイラに任せな。お前さんは北方騎士団本部に行ってその事きちんと話して欲しいんでい。」
「でも、騎士は取り合って……。」
「シュネー・フリューゲルって言う若っかい兄ちゃんに言えば取り合ってくれんよ。特徴は雪みてぇに白い髪でアメシストの瞳の綺麗な兄ちゃんだから。」
「それ、まさかフリューゲル公爵夫人じゃ……。」
「大丈夫。きちんと話聞いてくれっから。」
男は最後まで不安そうな表情を浮かべたが、やがては走り去っていった。そんな男を見送り、ネズミはポリポリと頭を掻いた。
「嫌ぁな予感がするねぇ。取り敢えず外に待機しているカスターにこの手紙を運んでもらわにゃあ、いけないんだけどねぇ。」
話の内容的にはかなりまずい気がする。
なんならもう既に何かされてる可能性もあり得る。だが、功を急いでは助けられるものも助けられないのも事実。
「流石に笑えんから無事でいてくれよ、兄ちゃん。」
ネズミは思わず溜息をついた。
騎士との癒着の証拠を探して、邸を隅々まで見てまわっていたら見つけてしまった隠し扉。
きな臭いねぇ、と思いつつも隠し扉の奥の地下に続く階段を降りながら『刑受の森』に作った同じく地下にあった寝ぐらを思い出して何だか懐かしい気分になったのも束の間。
辿り着いたのは地下牢だった。
地下牢には男達が繋がれていて、男達の牢の前には武器と立派なパネルが置いてあった。
パネルには『エリン・マグビル。南方のアーリア領出身。弓の名手で騎士団に在籍していた時期があり、…………。』とこのように長々と牢の男達の経歴が書かれている。
「なんかこう展示してるって感じだねぇ。」
男達の目は虚ろでネズミが見えていないのか牢の外を歩いていても反応をしめさない。それ所か、口から涎が垂れているのに飲み込まずぼんやりしている表情を見るに自我があるのかも怪しい。
「こりゃあ、騎士と癒着がどうとかいう前にさっさとこの決定的な証拠でライフ男爵を検挙した方がいいんじゃないかねぇ。次の被害者が出る前に。」
ネズミはサラサラと持っていた紙にこの現状と邸の見取り図を記し、そそくさと地下牢を後にした。隠し扉からこっそり出ようとしたが、隠し扉の前で一人の男が仁王立ちしていた。
ー うわっ!? バレちゃったかねぇ??
恐る恐る隠し扉を盾にして男を覗くと男はおびただしい汗を掻き、焦った表情をしていた。
始末しようかとクナイに手を伸ばしていたが懐にしまい、意を決して男の前へ出た。
「何か用? ちょぉっとオイラ迷子になってただけなんだけどぉ。」
カラカラと作り笑いを浮かべて男の前に出ると男はネズミの肩をガシッと掴んだ。
「お前、あの赤髪の青年と一緒に入った傭兵だよな。」
「えっ、うーん。そうだっけかなぁ? 」
「頼むよ。あの青年を連れて早く逃げてくれ!! 」
「………はい? 」
ー どーいう展開?
ネズミが困惑していると男の目に涙が浮かんだ。
「あの目を見て一目で分かった。…だって目の形がよく似てるから。あの赤髪の青年はダグラスさんの息子だろ? 俺はあの人に恩があるんだ。だから助けたい。」
「いや、どーゆーこったい。オイラ理解が追いつかない。」
「アイツはずっとダグラスさんに執着してんだ。頭のおかしい奴だからそのダグラスさんの忘れ形見を自分の運命の相手だと思ってんだよ、あのイカれ野郎は。」
大の男が泣きながら必死に訴えてくる。
ネズミは困惑しつつも男の話を聞いた。
◇
俺は傭兵として幾度もダグラスさんと依頼をこなしてきた。
腕っ節はあるけど頭のない俺は依頼人に騙されて、よく不当な少ない報奨金しかもらえない事を心配してくれたダグラスさんは俺と組んで俺が騙されないように依頼人との交渉も一手に引き受けてくれていた。
優しいダグラスさんには優しい赤髪が綺麗な奥さんが居てよく奥さんの手料理を頂いた事もあった。そんな優しい二人に子供が出来たと聞いた時は俺は自分の事のように喜んだ。
ダグラスさんはそりゃあ、とっても喜んで、これから生まれてくる子供の為に比較的安全で割の良い仕事を探していた。そんな時に舞い込んだのがライフ男爵邸の用心棒の話だった。
「アルヴィンの為にも稼がないとねん。」
「まだ性別も分かってないのに名前決めてんすか? 」
「絶対男の子よん。わっちには分かる。わっちの可愛いワイフ似の可愛い男の子が生まれるに決まってるわん。」
ついでにこのカマみたいなダグラスさんの喋り方は何時も仕事で一緒に居れない奥さんに浮気しませんよという意思表示だそうだ。「カマみたいな喋り方のキモいおっさんには女も抱かれたくないでしょん? 」と、オホホと笑って言っていた。
そのカマみたいな喋り方でも周りには慕われていて、ライフ男爵にも一目置かれていた。特にライフ男爵の息子、ルベルトには懐かれていて、何時も鍛錬の時はダグラスさんの斧さばきをキラキラした目で見ていて、ダグラスさんの斧に触りたがった。
「ねぇ、ダグラス。僕のものになってよ。」
「あーら、熱烈ねん。でもわっちには可愛いワイフとこれから生まれてくる可愛い息子がいるのよん。何時かアルヴィンにも会わせてあげるわん。」
俺達の仕事は順調だった。
しかしダグラスさんはこの仕事に違和感を感じ始めていた。
「あんなに傭兵を募集しているのに邸にいる傭兵の数が少な過ぎないん? 」
「この邸に飾られてる武器。傷とかくせとかついてて何だか気味悪いわん。飾りなら使い古したものを飾るかしらん。」
やがてダグラスさんはその違和感を抑えられず、邸を探るように主人の目を盗んで見てまわるようになった。そして地下に繋がる隠し扉を見つけてしまった。
俺とダグラスさんは地下の光景に絶句した。
虚な目で牢に繋がれる男達。
まるで展示されているもののように男達は動かない。
「何よ、これ。」
その中には何度か仕事をともにした戦友達も居て、その変わり果てた姿に俺はただ震えていたが、ダグラスさんは怒りに肩を震わせていた。
「アンタ!! 何考えてんのよんッ!? 」
ダグラスさんは怒りのままにライフ男爵のいる書斎に乗り込んでライフ男爵の胸ぐらを掴み、詰め寄った。
「地下の子達は何!? アンタあの子達に何したのんッ。あの子達を解放して元に戻しなさいッ!! 」
「それは無理だ。彼等の心はもう薬で壊れてる。」
「何ですってッ!! あの子達が何したってゆうのんッ。あの地下牢にいるねぇ短剣使いのリオンや槍使いのアリシャはね。よく笑う子達だったわん。陽気に酒飲んで笑って、たまにアリシャの奴は酔うと服を脱ぎたがるアホだったけど、あんな目にあっていい子達じゃなかった。わっち達の大切な戦友だったわん。」
「今は私の可愛いコレクションだ。」
ライフ男爵はにんまりと気持ち悪い笑顔を浮かべた。その表情に完全に頭に血が上っていたダグラスさんは斧を振り上げた。
一瞬、それでもダグラスさんは躊躇ったがそれでもどうしてもあの人は斧を納める事が出来なかった。二人とも共に盗賊退治で何度も背を預けた傭兵仲間だった。
血飛沫が書斎に舞った。
最期まであの男は気持ち悪い笑みを浮かべていた。血の付いた斧を片手にダグラスさんは怒りの表情が消え、真っ青になっていた。ドクドクと頭から血を流す主人を前に頭を抱えて、あの人は俺に最期の願いを託した。
「わっちは仕事で死んだって事にして。こんな業、生まれてくる子には背負わせたくない。」
ダグラスさんはライフ男爵殺害の罪で騎士達に連れて行かれた。俺は騎士達に地下牢の事を伝えたが誰も取り合ってくれなかった。
「ダグラスは何処? 」
父の骸の前で、ルベルトはそう騎士に連れてかれたダグラスを探していた。死んだ父など、どうでもいいといった様子で父の骸を一瞥した。
「そっか。ダグラスはアルヴィンと僕を運命で結んでくれたんだね。親を殺された子とその親を殺した親の子。なんて運命的なんだろう。」
そう、うっとりとまだ知らぬ、生まれても来ていないアルヴィンにルベルトは想いを馳せた。蛙の子は蛙。この子もまたライフ男爵のように狂っていた。
馬鹿な俺に出来る事はダグラスさんの最期の願いを聞き届ける事と、ダグラスさんの子がこのイカれ野郎に捕まらないように見張る事だけだった。
◇
「だからあの男爵は最初から赤髪の兄ちゃんにゾッコンだったってぇ訳かい。」
話の内容に寒気を覚えながらネズミは苦笑いを浮かべた。
ー 赤髪の兄ちゃんはきっとこの話を知らないねぇ。
知っていたら反応の薄いあの若人でも流石に眉の一つは動く筈。ライフ男爵邸への潜入の話を受けてもアルヴィンは軽く了承しただけでそれ以外の反応は示していない。まぁ、ネズミと組むって伝えられた瞬間、苦虫噛み潰したような顔をしたが。
ー こりゃあ、潜入中止にした方がいいねぇ。騎士との癒着の証拠もこの男に証言してもらえりゃあいい訳だしねぇ。
ネズミは男の肩を力強く叩き、ニッと笑った。その何だか力強い笑みに男の表情が少し和らいだ。
「アルヴィンはオイラに任せな。お前さんは北方騎士団本部に行ってその事きちんと話して欲しいんでい。」
「でも、騎士は取り合って……。」
「シュネー・フリューゲルって言う若っかい兄ちゃんに言えば取り合ってくれんよ。特徴は雪みてぇに白い髪でアメシストの瞳の綺麗な兄ちゃんだから。」
「それ、まさかフリューゲル公爵夫人じゃ……。」
「大丈夫。きちんと話聞いてくれっから。」
男は最後まで不安そうな表情を浮かべたが、やがては走り去っていった。そんな男を見送り、ネズミはポリポリと頭を掻いた。
「嫌ぁな予感がするねぇ。取り敢えず外に待機しているカスターにこの手紙を運んでもらわにゃあ、いけないんだけどねぇ。」
話の内容的にはかなりまずい気がする。
なんならもう既に何かされてる可能性もあり得る。だが、功を急いでは助けられるものも助けられないのも事実。
「流石に笑えんから無事でいてくれよ、兄ちゃん。」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
604
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる