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if番外編:とりっく おあ とりーと?(Halloween)
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しおりを挟むさてと。まぁ。
流す魔力量はそれほど多くない。
使いすぎて魔力切れで倒れることはなさそう。
効果時間は、流した魔力量に比例する。
変身後に着てるもの、身につけてるものは、効果時間が切れると体から離れていても普通に消える。
変身後の服を脱いで真っ裸(……)になっても、変身が解けると変身前の格好に戻る。
なんとも凄い魔導具だよね。
一般に出回らせることができないのは納得する。暗殺し放題。
変身後の身体に付着している部分は、そう念じておけば、動く。例えば、獣耳とか尻尾とか。……動くんだよ。びっくりだよ。
魔法研究所の技術力、ちょっと凄すぎでない?
この結果を得るために、いろんな変身をしてみた俺だけど、……まあ……、その……、うん……、メリダさんにも見せてない。恥ずかしすぎて。
……だって、ねぇ?
検証のために真っ裸になったりしたわけで。
尻尾とか耳とか、どこにくっついてるのかとか、そりゃ鏡で全身あちこちあらぬ格好で見たりしないとわからないわけで。
うぉ。
自分でやったことだけど、冷静になると恥ずかしいな!?
「んー…」
コスプレ、と言うには、クオリティーが良すぎる。
気分的には日本国民的大怪盗の変装技術まんま、的な。
でも、折角だし。
いいかな。
ちょっと時期じゃないけど、遊んでも。
お菓子をもらう例の言葉で、クリスはお菓子なんて準備してないんだから、いたずら、で。
……いたずら。
何したらいいんだ?
ちょっとあれないたずらしか思い浮かばない。
でも、クリスが喜んじゃうよね。何か違うし、それしか思い浮かばない俺がなんか嫌だし…。
「いたずらかぁ」
吸血鬼っぽいのを一生懸命イメージして使ったら、ちゃんと牙も生えたんだよね…。
ローブとかすっぽりかぶって、いたずらするぞ!ってときに、牙出して首筋にかじりつく?……もちろん、血は飲まないし、怪我はさせない程度の……、や、それは甘噛みと言うのではないだろうか……。そんなことしたら、ニヤけるクリスの顔しか思い浮かばない。
あ、じゃあ、いっそ、クリスになればいいのでは!?
声は俺のままだけど。
クリスな俺がクリスにせま…………、まて。俺、落ち着け。
とんでもない絵面を想像してしまった。
最終的にやっぱりベッドの上でのことを想定してるあたりで、全然だめなんだけど。
「もー……。俺、どんだけクリスのこと好きなの………」
何度も口にした事実だけど。
キスも抱き合うのも、大好き過ぎて困る。
変身するのが自分だとわかっていても、女の子な俺がクリスに迫るのは嫌だし。女の子な俺を喜々と押し倒されても複雑な気分になる。
「あ゛ー……」
自分の考えがいたたまれなくて、ベッドの上でごろごろ転がってしまった。
「いたずらって難しいなぁ…」
あまり考えすぎず、いっそ、くすぐり刑でもいいんじゃないだろうか。
それだって、最終的には反撃される未来しか見えないけど。
要は、何しても反撃される。それは、間違いない。
でも、致命的な反撃を喰らわないためには、行き過ぎたいたずらや、やばめの変身は絶対にだめ。
あくまでも、クリスの理性の糸を切らない範囲が大事。ぷっつり切れたら、俺に明日はない……。
「……いっそ、やめようかな……」
抱き潰されること確定する。
明日一日中、ベッドの上の住人になる。
………それが嫌ってわけじゃないんだけど、恥ずかしいし………。わざわざ、俺が誘ったみたいな状況を作りたくないだけで……。
ここまで十分検証したんだから、ギルマスにする報告としては十分だと思うんだよね。
でも、ちょっとは、クリスと楽しみたいって思ってしまってるから、踏ん切りがつかない。
「……あ、指輪を、クリスにつけて、なにかに変身させる…?」
ふと、何かがおりてきた。
「これならいいんじゃない……?」
お菓子をもらう言葉を告げて、いたずら宣言して、借り物のこの指輪をクリスにつけて、魔力流せば、クリスが俺がイメージしたものに変身するんじゃない?
クリスなら、狼の耳とか?(犬との違いはわからないが、銀色のふっさふさの!)あと、尻尾もいい。もふりたい。
いつか夢で見た、眼鏡にスーツなクリスもいい!みたい!!ネクタイほどいてもらいたい!!
学生服……は、あまりにも貫禄ありすぎて似合わないかな……。
「決めた!」
狼耳と眼鏡スーツは決定で、あとは、その時の気分で!!
よし。いたずらも決まったし。
これなら、もうやるしかないよね!?
枕に顔を埋めてぐふふ…って怪しい笑いをしてしまった。
写真、残したいなぁ。そういう魔法、研究してくれないかな。
変身魔法より、余程需要出ると思うんだけどなぁ。
でも、耳と尻尾付きのクリス。
もふもふのクリス。
想像しただけで、頭ん中で「キャアー!!」って大はしゃぎになってて、ひどく疲れた。
肝心の俺自身の変身を何にするか、全くなーんも決まってなかったんだけどね。
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