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12主人公 メリー視点
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急かされるわけでも、待たされるわけでもない。
私の呼吸に合わせてくれるルーカス様のリード。
ステップを踏むたびに心が落ち着いていく。
(無駄じゃなかった・・・かな)
第一王子との結婚、そして王妃になるための修行の日々。
勉強は好きだったけれど、何でこんなに頑張らなきゃいけないんだろうって思うことだって何回もあった。でも、目の前で優しくリードしてくれる第二王子のルーカスの顔が目の前にあって、彼と踊れる「今」が―――
「メリー様と踊れて、僕は幸せです」
そんな嬉しい言葉があるだろうか。
私が思っていることを目の前のルーカス様も思っていたなんて。
「お世辞でも・・・嬉しいです」
「お世辞じゃないよ」
鼓動が速くなって、ステップが乱れそうになる。
(心の臓を落ち着かせないと・・・)
「メリー様。僕は貴女のことが好きです」
(えっ・・・)
ルーカス様の言葉で、落ち着けようとした心の臓が一瞬止まったかと思った。
「・・・結婚していただけないでしょうか」
「ごっご冗談を・・・」
「本気です」
私たちは踊る足を止めて見つめ合う。でも、動かなくなったのに、さっきよりも身体は火照っているし、呼吸も鼓動も速い。
「それは・・・私が結婚相手・・・王妃になるのに都合がいいからですか?」
それは私が求めていたことでもある。だから、勉強も色々な作法も学んだ。キャサリンも追放した今、この国で王妃になれるスキルがあるのはおそらく私だけだろう。
「それを否定できるのかどうかわかりません。でも、王妃になるために頑張っているお姿や、楽しそうに勉強しているメリー様も僕は素敵だと思っていました。それもメリー様の素敵な一部で、僕がメリー様に惚れた部分なんだと思います」
この綺麗な瞳が私を見ていたですって・・・
「私なんかでよければ・・・・・・きゃっ」
私が返事をした瞬間、とても嬉しそうなルーカスがお姫様抱っこをしてくれた。
小さい頃の夢。
絵本で見たような素敵な王子様が私のピンチに現れて、私を守ってくれて私をお姫様にしてくれる。
そして、綺麗なドレスでお姫様抱っこをして貰って私は言うんだ―――
「一緒に幸せになりましょうねっ、ルーカス」
「あぁ、メリー」
私たち以外は誰もいないその華やかな舞踏会の会場で唇を重ねた。
二人だけで私たちは秘密の誓いをした。
私はこれから絵本に書かれていないその先の人生を歩むことになる。
それがどんな人生かはわからない。
だけど、ルーカスとなら、きっと―――私たちは幸せになれる。
だって、人生は自分たち次第なのだから。
FIN
私の呼吸に合わせてくれるルーカス様のリード。
ステップを踏むたびに心が落ち着いていく。
(無駄じゃなかった・・・かな)
第一王子との結婚、そして王妃になるための修行の日々。
勉強は好きだったけれど、何でこんなに頑張らなきゃいけないんだろうって思うことだって何回もあった。でも、目の前で優しくリードしてくれる第二王子のルーカスの顔が目の前にあって、彼と踊れる「今」が―――
「メリー様と踊れて、僕は幸せです」
そんな嬉しい言葉があるだろうか。
私が思っていることを目の前のルーカス様も思っていたなんて。
「お世辞でも・・・嬉しいです」
「お世辞じゃないよ」
鼓動が速くなって、ステップが乱れそうになる。
(心の臓を落ち着かせないと・・・)
「メリー様。僕は貴女のことが好きです」
(えっ・・・)
ルーカス様の言葉で、落ち着けようとした心の臓が一瞬止まったかと思った。
「・・・結婚していただけないでしょうか」
「ごっご冗談を・・・」
「本気です」
私たちは踊る足を止めて見つめ合う。でも、動かなくなったのに、さっきよりも身体は火照っているし、呼吸も鼓動も速い。
「それは・・・私が結婚相手・・・王妃になるのに都合がいいからですか?」
それは私が求めていたことでもある。だから、勉強も色々な作法も学んだ。キャサリンも追放した今、この国で王妃になれるスキルがあるのはおそらく私だけだろう。
「それを否定できるのかどうかわかりません。でも、王妃になるために頑張っているお姿や、楽しそうに勉強しているメリー様も僕は素敵だと思っていました。それもメリー様の素敵な一部で、僕がメリー様に惚れた部分なんだと思います」
この綺麗な瞳が私を見ていたですって・・・
「私なんかでよければ・・・・・・きゃっ」
私が返事をした瞬間、とても嬉しそうなルーカスがお姫様抱っこをしてくれた。
小さい頃の夢。
絵本で見たような素敵な王子様が私のピンチに現れて、私を守ってくれて私をお姫様にしてくれる。
そして、綺麗なドレスでお姫様抱っこをして貰って私は言うんだ―――
「一緒に幸せになりましょうねっ、ルーカス」
「あぁ、メリー」
私たち以外は誰もいないその華やかな舞踏会の会場で唇を重ねた。
二人だけで私たちは秘密の誓いをした。
私はこれから絵本に書かれていないその先の人生を歩むことになる。
それがどんな人生かはわからない。
だけど、ルーカスとなら、きっと―――私たちは幸せになれる。
だって、人生は自分たち次第なのだから。
FIN
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こんにちは😃
西東友一先生
お疲れ様です
拝読し終えて思ったのは、メリー良かったなぁ❤️でした。
どこの世界にも、勉強が出来る者や成績の良い者より、変に小賢しい者、猿知恵の廻る者の方が、処世術には長けていたりしますよね…。
それが悪に至らず、目立っても穏やかなれば、周囲の理解や共感など、明るい未来への繋がりも描けるのに。
なんででしょうか、そのような連中はだいたい良い人間でもなく(寧ろ人としてどーなの?な人柄だったり)、言動もヤンチャ限界突破なのもあるあるで、まぁなんでも何も、そういったヤツラが主人公を、あーれー😵とかコノヤロー😠的な目に遇わせないと、ストーリーも広がりませんし(笑)
メリーも、そんな『第一王子で時期国王でステキ?なオレ』『美人で才女だから時期王妃は当然でしょ?なアタシ』から見ると、無駄な努力をするしか能のない地味で目立たない女性としか、映らなかったんでしょう…ほんっとーに、つくづくヒトの話を聴く耳を持たない、人を見る目も持ち得ないアホ共でした…ざまぁ感はスッキリしましたが😁
彼らの末路は明言されてはいませんでしたが、追放ホントにされたんですかね?
国外追放って、アホを矯正する事もなく放逐するって事でもあるので、現陛下が是とするかしら?と、不思議に思いました。
なんにせよ、メリーの今後もルーカスのおかげで報われましたし、最後の2人の描写はサイッコーに素敵で楽しかったです♪
ありがとうございました🙇
お身体くれぐれも、ご自愛くださいませ。