良薬口苦シ 婚約破棄されたので、病弱王子が寿命を減らしても薬師の私はもう知りませんよ?

西東友一

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少女時代

王宮からの招致3

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「では、いい返事を待っておりますぞ。フローラ様」

 町のはずれまでお見送りに来てくださった国王と王妃とその側近たち。

「あの~、いい返事を待っているのなら、この人だけはやめて欲しいですけど・・・」

 私は目も合わせたくない兵士を指さす。数多くいる兵士の中で、こんなにも失礼な兵士はこいつだけだろう。

「えぇっ!!?そんなぁ~、一緒にこの国へ来た仲じゃないですか~フローラ」

 年上とはいえ、こんな奴に呼び捨てされるのも腹立たしい。

 プイッ

 私はそっぽを向く。

「すいませぬ・・・こやつアボット・・・腕だけはたちますので」

「そんな、国王様まで・・・ひどいや」

 この失礼な兵士はアボットというらしい。でも、名前を覚えるのも嫌だから、アボットと言う名前ならば、頭文字を取って、兵士Aと呼ぼう。

「まともな人にチェンジで」

「まだ言うんですか!?泣いちゃいますよ!?」

 すぐに泣くという兵士に身を預けるというのも不安でしかない。
 国王も困った笑顔で私を宥めようとする。

「ヴィヴィ様は、人嫌いだと伺っております。本来であればわざわざ遠いところからお招きしたのですから、命の危険にさらされぬよう十分な兵士を護衛としてお付けするべきなのですが・・・」

「ううぅ、それを言われると私も弱いです」

 師匠のヴィヴィのところに大勢の兵士を呼んだら、私の身が危ない。色々な植物が手に入りやすいということもあるけれど、人混みが嫌いだから山奥に住んでいるのだから。

「でも、この兵士Aだけは嫌です。国王様。2,3人ならヴィヴィも我慢してくれると思うのでチェンジでお願いします」

「えぇ!?兵士Aって何?ちゃんと、アボットって呼んでよ」

 アボットが横から私の身体を揺らしてくるが、私は死んだ魚のような目で目を合わせない。

「困りましたな・・・この辺には魔物が住んでおりますので兵士数名では歯が立たないのであります」

「ええ?来た時はそんな魔物なんかにはあっていなかったけれど?」

 私はちらっとアボットを見る。
 すると、アボットが自信満々な顔で私を見下ろしていた。
 後ろに太陽を背負っており、まるで後光がさしているようだ。

「このあたりの森の魔物たちもアボットには手を出さないのです」

 こんなに不注意の多いアボットなんて隙だらけだと思うのだけれど、国王が言うのであれば本当なのだろう。
 私はいろいろなことを天秤にかけてかんがえるけれど、どうやらこの兵士Aことアボットに送ってもらうしかなさそうだ。

「わかりました・・・」

「よしゃっ!!」

 ガッツポーズをするアボット。
 なんか悔しいが、彼に頼るしかなさそうだ。

「あっ、でも・・・この兵士Aが失礼なことをしたら、この国には戻ってきませんのでよろしくお願いします」

「まだ言うっ!??」

「はっはっはっ、アボット・・・くれぐれも粗相のないように頼むぞ」

「はっ、このアボット。命に代えてもフローラを無事配達してきますっ!!」

 敬礼するアボットは真面目な顔をしている。
 けれど、その言い方については、呆れ笑いをするしかなかった。
 
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