良薬口苦シ 婚約破棄されたので、病弱王子が寿命を減らしても薬師の私はもう知りませんよ?

西東友一

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少女時代

珍道中4

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「でも、フローラが怪我したら任せろ。止血のために縫い付けるのも、腐った手足を切断するのも、切れた断面を焼いて止血するのも、回復の見込みがなくて殺すのも俺に任せろっ」

 グロいのが嫌いだって言ったのにそんなことを言われてしまえば、想像してしまう私は気持ち悪くなる。
 どうして、そんなことが平気で言えるのか信じられない。

(まぁ、私とアボットは住む世界が違うわね・・・きっと)

 気持ち悪くなるとまた馬のロペスの揺れが気になってくる。

「あっ、でも・・・馬鹿は風邪ひかないわよね」

 私はゲロを吐かない代わりに毒舌を吐くことで気持ちを紛らわせようとした。

「あぅ、そうだなっ!風邪ひいたことないわ。っておいっ!!」

「ふふ・・・っ」

「はははっ」

(まぁ、もう諦めましょう・・・変な人だと思えば少しは割り切れるから)

 少しだけすっきりした私は再び、馬上から周りを見る。
 身長が低い私だと見えない視線の高さは視界をクリアにする。

(あっ、あれは・・・)

 私は木にミツケダケというキノコが生えているのを見つけた。カサの上のところが星のような切れ目が入っているのが特徴のキノコで、あれが生えている木の近くには、傷によく効く薬草が生えているのだ。

「ちょっと、兵士A」

 アボットは気づかない。少しだけ真剣な顔をして、何かを考えているのか、何かに意識しているようだった。

「ちょっと、兵士Aってばっ」

「んあっ?俺のことか。なんですか?」

「ちょっと、薬草を摘みに行きたいのっ」

「かしこまりました。どうっ」

 アボットは馬を止めて、再び私を降ろす。
 まだ、揺れている感覚が残っているけれど、やっぱり地面に自分の足で立つ安心感はたまらない。

「ここら辺は・・・」

「じゃあ、今度は頼むわよ!!」

 私はアボットの言葉を待つよりも先に声を出す。

「・・・かしこまりました」

「すぐよっ」

 私は馬をどこかに縛ったらすぐに手伝いにきなさいよ、という意味でこの時言った。

「大丈夫ですよ」

 けれど、今思い返せば、『すぐに戻ってくるから』と思うのも無理ないと思うし、このときの返事をしたアボットの顔に余裕があったのを見て気づけばよかった。というか、そもそも薬草は逃げ出さないのだから、ゆっくり行けば良かったのだ。だけれど、ちょっとアボットにむかついていたような照れていたような気持ちもあって、ストレス発散に早く行きたかった私はそんな風に言い残して、危険が潜む森の奥へと一人、進んでいくのであった―――

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