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サバゲー大会決勝戦!
03
しおりを挟む「珍しいデスヨー。弾数制限どころか、ローダーの持ち込みOKネー」
尋は汎用ポーチをひとつプレートキャリアに取り付けて、大容量の電動弾込器《クイックローダー》を差した。
「あえて説明されるくらいだもの、確実に長期戦が予想できるわね。各自予備の弾は限界まで持って行きなさい」
「はい」
「ほいほい」
「Dangerな感じがするデスヨー」
それぞれ腰や太ももに大型の汎用ポーチを取り付けて、それにBB弾の詰まったボトルを押し込んだ。
「バッテリーとガスも、持てるだけ持っていってクダサーイ」
「機動力落ちませんか?」
「そのための拠点ネー?」
訓練で、フー以外のメンバーは、全員同じ重さのBB弾を使うようになった。ガスやバッテリーなどもそうだ。そういったものを揃えておけば、いざという時に共有できる。本来ならエアソフトも揃えるべきだろうが、そこまでは予算が用意できなかった。エアソフトひとつの初期投資は、おいそれと出せるほど安くはない。
「Hey! そろそろイきマスヨー?」
いつものように全員の状態を確認していた尋が、声をかけると、それぞれ頷いた。
「それでは、こちらへ。案内します」
またスタッフに案内され、フィールドへ。
さすがに国内有数だけあり、非常に広く、視界も取れる。だが、攻めにはなかなか厳しそうだ。
フラッグに到着した各陣営。
今回のフィールドは楕円形をした広大な市街戦想定。といってもまるで中東の紛争地帯のようで、全体はフラッドなステージだ。胸くらいの高さまである小さな土手が、あちらこちらにある。それ以外にも乗り捨てられた車や、プレハブ小屋、破壊された小屋などが放置されている。障害物としては実に面白い。
フラッグはみっつあり、各フラッグはやぐらの中。二階建てのそれは、両端と中央にひとつずつ。それぞれ名前が付けられていて、一番奥にあるキングの教会。中央のクイーンの白城。手前にあるジャックの要塞。
そして尋たちのスタート地点は、中央にある、クイーンの白城。
フラッグまで案内してくれていた、ウッドランドの迷彩服を着た実行委員の女性が、ぐるりと見渡した。
「決勝戦は、プリンシパル付きの3チームマッチです」
「プリンシパルですか?」
雑誌で見たことがあるような気がする単語だが、内容は思い出せない。わからない事は、フーに聞く習慣が付きつつある音羽は、小首をかしげて見つめてみた。
「護衛対象のことだ。それを倒されると、例えチームメンバーが全員生き残っていても、ゲームオーバーだ」
「それではプリンシパルを決めてください」
スタッフは後ろ腰のダンプポーチから、白い腕章を取り出した。
「決まったら、この腕章を付けてください」
とりあえず、一番近くにいた音羽がその腕章を受け取っておく。
「おとチャンお願いシマスネー」
尋が簡単に言ってのけた。
「え? え!? いや、無理ですから!」
慌てて腕章を手放そうとしたが、手の届く範囲に誰もいない。
「ふ、フー先輩!」
「フーも、アウトが適任だと思うぞ?」
思いもよらない発言。
「でも!」
「ウチら全員オフェンスネー?」
「だったら」
「フーは、アウトの銃だ」
「OK.決定デース」
「うぅう……」
フーによってさっと腕章を巻かれた。
「それでは、最後のゲームの説明をします」
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