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凪
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ある日曜日
公園で莉愛を遊ばせながら、智はぼんやりと空を見上げていた。
ここのところ何事もなく、穏やかな日々が続いている。
自分の仕事は順調。
奈々も毎日充実感をもって会社勤めをしている。
莉愛も保育園に行くようになって、しっかりしてきた。
初めて女装をしたあの日から、智の人生はまさに激動と呼べるほどの展開を見せたが、今後は穏やかに時が流れていくのではないか、そして自分の心は半分捨て、流れに任せて生きていこうと思った。
これから、何処にでもいるような三人家族として暮らしていこう。
違う点があるとすれば、自分は父親であるにかかわらず、見た目が女で、おっぱいが膨らんでいて、去勢したためにタマがない。
それでも、自分さえ我慢すれば、幸せとはいえないかもしれないけれど、普通の暮らしを送れるに違いない。
(もう十分なくらい、女としての人生を送らせてもらったし)
智は駆け寄ってきた莉愛と手を繋ぎ、家に戻った。
「ただいまー」
智と莉愛は玄関のドアを開けると、声を揃えてキッチンにいる奈々に声をかけた。
奈々は、笑みを浮かべて二人を出迎えると、再びキッチンに戻り、昼食の準備を続けた。
これを幸せと呼ばずして、他にどんな幸せを求めるというのか。
智は自問自答し、そして小さく頷いた。
だが、穏やかな人生が送れると思えた日々も束の間であった。
すぐに荒波が迫ろうとしていた。
公園で莉愛を遊ばせながら、智はぼんやりと空を見上げていた。
ここのところ何事もなく、穏やかな日々が続いている。
自分の仕事は順調。
奈々も毎日充実感をもって会社勤めをしている。
莉愛も保育園に行くようになって、しっかりしてきた。
初めて女装をしたあの日から、智の人生はまさに激動と呼べるほどの展開を見せたが、今後は穏やかに時が流れていくのではないか、そして自分の心は半分捨て、流れに任せて生きていこうと思った。
これから、何処にでもいるような三人家族として暮らしていこう。
違う点があるとすれば、自分は父親であるにかかわらず、見た目が女で、おっぱいが膨らんでいて、去勢したためにタマがない。
それでも、自分さえ我慢すれば、幸せとはいえないかもしれないけれど、普通の暮らしを送れるに違いない。
(もう十分なくらい、女としての人生を送らせてもらったし)
智は駆け寄ってきた莉愛と手を繋ぎ、家に戻った。
「ただいまー」
智と莉愛は玄関のドアを開けると、声を揃えてキッチンにいる奈々に声をかけた。
奈々は、笑みを浮かべて二人を出迎えると、再びキッチンに戻り、昼食の準備を続けた。
これを幸せと呼ばずして、他にどんな幸せを求めるというのか。
智は自問自答し、そして小さく頷いた。
だが、穏やかな人生が送れると思えた日々も束の間であった。
すぐに荒波が迫ろうとしていた。
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