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ダボハゼ
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待ち合わせ場所のカフェに現れた智に、新井は全く気付かず、一度目が合ったのに逸らしてしまった。
仕方なく智の方から近づき、声をかけた。
「新井さん、お久しぶりです。
吉岡です。」
「えっ‥」
智が名前を告げても、新井は、まだ誰かわからない様子で、固まっている。
まあ、誰しもが必ずこのようなリアクションになる。
その後、この太った女が智だとわかり、新井は、そこで初めて驚き、皆と同じようなリアクションを取った。
「そうでしたか。色々大変でしたね。」
新井は智の身に起きた、この一年間の話を聞き、神妙な面持ちで言った。
「あ、でも、お友達のおかげで立ち直るきっかけをもらいましたので、これから地道に頑張っていこうと思います。」
「そうですよ、トモちゃんはまだ若いんだし、まだまだこれからですよ。」
「ありがとうございます。
せっかくお誘い頂いたのに、こんなに醜くなってて申し訳ありません。
ちゃんとお会いしてお断り出来てよかったです。」
「いえ‥お会いしてみて、思ったんですが、やっぱりもう一度出てみませんか?」
「は?何にですか?」
「AVです。」
智は揶揄われてるのかと思い、少しムッとした表情になった。
「新井さん、前回の出演のときは、高額なギャラを頂き、本当に有り難く思っています。
ですから、不義理でお断りするんじゃなくて、こんな風体になってしまったから仕方ないんですと、実際にその目で見ていただこうと思い、わざわざお会いしたんです。」
「トモちゃん、私はこの業界ではやり手のプロデューサーとして、少しは知られた存在です。」
「それは、よく存じ上げております。」
「こういう企画はどうです?
あの高学歴アイドルニューハーフのトモが激太りで帰ってきた!」
「えーっ、イヤです。」
「過去の映像と現在を比較したりして、その変わりっぷりを見てもらいます。
今のトモちゃんみたいな体型が好きな層ってけっこういるんですよ。
絶対に当たります。
大ヒットとまではいきませんけどね。」
「うーん、でも‥」
「まあ、過去のガッキー似のアイドルニューハーフ時代のファンの数からしたら微々たるものですが。」
「それは、そうですよ。
誰がこんなデブで欲情するんですか。」
「企画物AVにしましょう。
トモちゃんが、一念発起してダイエットを始めるんです。
ダイエット中に、インストラクターの男にレイプされたり、盛り上がって逆に襲っちゃったりのシーンも入れましょう。
で、最終的には痩せて、あの美しいトモちゃんに戻ってのアナルファックシーンを撮る。
いかがです?」
「如何ですって言われても‥
だいたいAVって一日でぜんぶ撮ってしまうのがフツーじゃないですか。
そんなドキュメント的な撮り方をしたんじゃ、すぐに予算オーバーで採算なんて絶対に取れませんよ。」
「大丈夫ですよ。その辺は任せてください。
冒頭の太った状態での撮影をしてもらって、後のダイエットして痩せてからのパートは、ダイエット後に撮りましょう。
その間はデブ専物を何本か撮りましょう。」
「えーっ、でもなあ」
「トモちゃんが強い意志の持ち主だって事はよくわかってますよ。
学歴とか見てたら、努力家で妥協しないタイプってこともね。
でも、こうして記録に残しながらダイエットしたら、プレッシャーもあるし、絶対上手くいくと思うんですよね。
いい意味で自分に責任感を与えられる。
悪い意味では酷いデジタルタトゥーとして残っちゃうけど。
どうですか?」
「新井さん‥
ホント、口がお上手ですよね。
いつも感心します。」
智は三度目の誘いに、また乗ってしまった。
仕方なく智の方から近づき、声をかけた。
「新井さん、お久しぶりです。
吉岡です。」
「えっ‥」
智が名前を告げても、新井は、まだ誰かわからない様子で、固まっている。
まあ、誰しもが必ずこのようなリアクションになる。
その後、この太った女が智だとわかり、新井は、そこで初めて驚き、皆と同じようなリアクションを取った。
「そうでしたか。色々大変でしたね。」
新井は智の身に起きた、この一年間の話を聞き、神妙な面持ちで言った。
「あ、でも、お友達のおかげで立ち直るきっかけをもらいましたので、これから地道に頑張っていこうと思います。」
「そうですよ、トモちゃんはまだ若いんだし、まだまだこれからですよ。」
「ありがとうございます。
せっかくお誘い頂いたのに、こんなに醜くなってて申し訳ありません。
ちゃんとお会いしてお断り出来てよかったです。」
「いえ‥お会いしてみて、思ったんですが、やっぱりもう一度出てみませんか?」
「は?何にですか?」
「AVです。」
智は揶揄われてるのかと思い、少しムッとした表情になった。
「新井さん、前回の出演のときは、高額なギャラを頂き、本当に有り難く思っています。
ですから、不義理でお断りするんじゃなくて、こんな風体になってしまったから仕方ないんですと、実際にその目で見ていただこうと思い、わざわざお会いしたんです。」
「トモちゃん、私はこの業界ではやり手のプロデューサーとして、少しは知られた存在です。」
「それは、よく存じ上げております。」
「こういう企画はどうです?
あの高学歴アイドルニューハーフのトモが激太りで帰ってきた!」
「えーっ、イヤです。」
「過去の映像と現在を比較したりして、その変わりっぷりを見てもらいます。
今のトモちゃんみたいな体型が好きな層ってけっこういるんですよ。
絶対に当たります。
大ヒットとまではいきませんけどね。」
「うーん、でも‥」
「まあ、過去のガッキー似のアイドルニューハーフ時代のファンの数からしたら微々たるものですが。」
「それは、そうですよ。
誰がこんなデブで欲情するんですか。」
「企画物AVにしましょう。
トモちゃんが、一念発起してダイエットを始めるんです。
ダイエット中に、インストラクターの男にレイプされたり、盛り上がって逆に襲っちゃったりのシーンも入れましょう。
で、最終的には痩せて、あの美しいトモちゃんに戻ってのアナルファックシーンを撮る。
いかがです?」
「如何ですって言われても‥
だいたいAVって一日でぜんぶ撮ってしまうのがフツーじゃないですか。
そんなドキュメント的な撮り方をしたんじゃ、すぐに予算オーバーで採算なんて絶対に取れませんよ。」
「大丈夫ですよ。その辺は任せてください。
冒頭の太った状態での撮影をしてもらって、後のダイエットして痩せてからのパートは、ダイエット後に撮りましょう。
その間はデブ専物を何本か撮りましょう。」
「えーっ、でもなあ」
「トモちゃんが強い意志の持ち主だって事はよくわかってますよ。
学歴とか見てたら、努力家で妥協しないタイプってこともね。
でも、こうして記録に残しながらダイエットしたら、プレッシャーもあるし、絶対上手くいくと思うんですよね。
いい意味で自分に責任感を与えられる。
悪い意味では酷いデジタルタトゥーとして残っちゃうけど。
どうですか?」
「新井さん‥
ホント、口がお上手ですよね。
いつも感心します。」
智は三度目の誘いに、また乗ってしまった。
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