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木阿弥
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「お待たせ」
智は久しぶりにユウから連絡を受け、莉愛を学校に送り出した後、近くのカフェでランチをすることにした。
「トモちゃん、久しぶりだね。
元気にしてた?」
「うん。ごめんね、連絡もあまり出来なくて。
色々ありすぎちゃってね。」
智はユウにこれまでに自分に起きた話をした。
「そっか。彼氏と別れたんだね。」
「うん。
娘を引き取るって決めた時からこうなる事は薄々覚悟してたし、向こうも彼女が出来たって聞いたから、良いタイミングかなって。
これで本当によかったって思ってるのよ。
彼のご両親も素敵な方だし、ワタシなんかより普通の女性と結婚して孫の顔を見せてあげてほしいって
強がりじゃなくて本当にそう思ってるのよ。」
「そうだね。
ワタシらの恋愛って、最終的には結婚、そして子供を産める産めないの話に行き着いちゃう。
それ言われたら負けを認めるしかないから、自ら身を引くって選択を迫られるときが来るんだよ。」
「一概には言えないけど、そうなってしまうパターンが多いよね。
ユウちゃんは、最近どうなの?」
「お仕事のこと?
まあ、それなりにやらせてもらってるわ。
YouTubeの登録者はトモちゃんが辞めてから伸び悩んでるけどね。」
「えーっ、ワタシは関係ないやろー」
「あるよ、大あり。
コメント欄でトモちゃんの復活を望む声が沢山あるんだからね。」
「それは嬉しいけど、もう子持ちのオバさんだし、メディアの仕事はキツイわ。
娘の小学校の親とかに万が一顔バレしたら取り返しつかないしね。」
「そうだね。
残念だけど、トモちゃんの復帰は諦めるわ。
でも、少しの間だったけど、トモちゃんと一緒にお仕事して、アイドルユニットなんてやらせてもらったり、楽しい事ばかりだったわ。
これからのワタシの人生の宝物にするね。」
「ユウちゃんにそう言ってもらえてワタシもすごく嬉しいよ。
ホント、夢のような時間をすごさせてもらったわ。
ありがとうね。」
「トモちゃん。
ワタシ、トモちゃんのこと今もすごくすごく大好きなの。
もう娘さんがいるし、元には戻れないだろうけど、ワタシが想ってることだけはわかって。」
「ありがとう。」
「言いたい事言えてスッキリした。」
ユウは少し涙目になったが、ムリして笑顔を作った。
「あ、トモちゃん。
芸能の仕事全部辞めたんだよね?
お仕事はどうするの?」
「それなのよ。
娘抱えて時間も限られてるし、女性として雇ってくれる会社があればって思ってるんだけど、なかなか良いところが見つからなくて。
たとえ良いところがあってもワタシみたいなのを雇ってはくれないんだけどね。」
「そうだね。
結婚問題と共に仕事の問題もワタシ等ニューハーフには大きなことよね。」
「前に働かせてもらってた風俗店の店長が、いつでも戻ってきてもいいって言ってくれるんだけどさあ
ワタシももう三十過ぎてるし、こんなオバサンに需要もないだろうって。」
「それは違うよ。
トモちゃん、見た目は全然二十代前半で通用するし、なによりも超美人じゃん。
これは大きな武器だよ。
逆に今が一番稼げるんじゃないかな。」
「そうかなあ。」
「そうよ。別に風俗のお仕事に復帰する事を勧めてるわけではないけど、需要があるか無いかで考えるなら、めっちゃあると断言できる。」
「ユウちゃん、ありがとう。
そう言ってもらえると気持ちがラクになるよ。
どんなお仕事でも、与えてもらえる環境があるならありがたい事だよ。」
智の心は風俗復帰に傾き始めていた。
智は久しぶりにユウから連絡を受け、莉愛を学校に送り出した後、近くのカフェでランチをすることにした。
「トモちゃん、久しぶりだね。
元気にしてた?」
「うん。ごめんね、連絡もあまり出来なくて。
色々ありすぎちゃってね。」
智はユウにこれまでに自分に起きた話をした。
「そっか。彼氏と別れたんだね。」
「うん。
娘を引き取るって決めた時からこうなる事は薄々覚悟してたし、向こうも彼女が出来たって聞いたから、良いタイミングかなって。
これで本当によかったって思ってるのよ。
彼のご両親も素敵な方だし、ワタシなんかより普通の女性と結婚して孫の顔を見せてあげてほしいって
強がりじゃなくて本当にそう思ってるのよ。」
「そうだね。
ワタシらの恋愛って、最終的には結婚、そして子供を産める産めないの話に行き着いちゃう。
それ言われたら負けを認めるしかないから、自ら身を引くって選択を迫られるときが来るんだよ。」
「一概には言えないけど、そうなってしまうパターンが多いよね。
ユウちゃんは、最近どうなの?」
「お仕事のこと?
まあ、それなりにやらせてもらってるわ。
YouTubeの登録者はトモちゃんが辞めてから伸び悩んでるけどね。」
「えーっ、ワタシは関係ないやろー」
「あるよ、大あり。
コメント欄でトモちゃんの復活を望む声が沢山あるんだからね。」
「それは嬉しいけど、もう子持ちのオバさんだし、メディアの仕事はキツイわ。
娘の小学校の親とかに万が一顔バレしたら取り返しつかないしね。」
「そうだね。
残念だけど、トモちゃんの復帰は諦めるわ。
でも、少しの間だったけど、トモちゃんと一緒にお仕事して、アイドルユニットなんてやらせてもらったり、楽しい事ばかりだったわ。
これからのワタシの人生の宝物にするね。」
「ユウちゃんにそう言ってもらえてワタシもすごく嬉しいよ。
ホント、夢のような時間をすごさせてもらったわ。
ありがとうね。」
「トモちゃん。
ワタシ、トモちゃんのこと今もすごくすごく大好きなの。
もう娘さんがいるし、元には戻れないだろうけど、ワタシが想ってることだけはわかって。」
「ありがとう。」
「言いたい事言えてスッキリした。」
ユウは少し涙目になったが、ムリして笑顔を作った。
「あ、トモちゃん。
芸能の仕事全部辞めたんだよね?
お仕事はどうするの?」
「それなのよ。
娘抱えて時間も限られてるし、女性として雇ってくれる会社があればって思ってるんだけど、なかなか良いところが見つからなくて。
たとえ良いところがあってもワタシみたいなのを雇ってはくれないんだけどね。」
「そうだね。
結婚問題と共に仕事の問題もワタシ等ニューハーフには大きなことよね。」
「前に働かせてもらってた風俗店の店長が、いつでも戻ってきてもいいって言ってくれるんだけどさあ
ワタシももう三十過ぎてるし、こんなオバサンに需要もないだろうって。」
「それは違うよ。
トモちゃん、見た目は全然二十代前半で通用するし、なによりも超美人じゃん。
これは大きな武器だよ。
逆に今が一番稼げるんじゃないかな。」
「そうかなあ。」
「そうよ。別に風俗のお仕事に復帰する事を勧めてるわけではないけど、需要があるか無いかで考えるなら、めっちゃあると断言できる。」
「ユウちゃん、ありがとう。
そう言ってもらえると気持ちがラクになるよ。
どんなお仕事でも、与えてもらえる環境があるならありがたい事だよ。」
智の心は風俗復帰に傾き始めていた。
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