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AV復帰にあたり、智はダイエットを始めた。
さすがにこの体を人々の目に晒すわけにはいかない…
智は自分を律した。
そして先行投資として、七年ぶりに美容院に行き髪を切りカラーリングをした。
痛い出費だったが致し方ない。
久々に化粧としてみたが、昔に比べてノリが悪く、肌のキメも粗くなっているような気がした。
「元々は男だからね…」
智は鏡を見ながら呟いた。
男でここまで透明感のある肌をしている者などそうそう存在しないのだが、昔の印象が本人にもあるために、この現状を受け入れる事がなかなか出来なかった。
やはり、美を保つ為にはコストがかかるのである。
独身時代と現在を比べるのは野暮である。
それでも素地が美人で、努力家の智は撮影日までに状態をベストに仕上げてきた。
ついに智は七年振りに東京にやってきた。
「トモちゃん!いらっしゃい」
撮影現場に行くと、新井をはじめ、懐かしい顔ぶれのスタッフが勢揃いしていた。
「お久しぶりです。
皆さん」
智は恥ずかしそうに頭を下げた。
「トモちゃん、この前会った時とは別人みたいなんだけど、どうしちゃったの?」
新井は智の変わりように思わず驚きの声を上げた。
「さすがにあのままの状態で撮影に臨むわけには行かないし、少しダイエットしました。」
「いやあ、さすがだねえ。」
「年齢には抗えませんけどね」
「いや、全然透明感が失われてないし、やっぱりトモちゃんはすごいよ。
さて、今日は特別ゲストに来てもらってるんだけど」
新井はそう言うと、後方に向かって手招きした。
「こんにちはー」
後ろのドアからひょこっと顔を出したのは
「ユウちゃん!」
だった。
「トモちゃん!
会いたかったあー」
ユウは今にも泣き出しそうな表情でトモに抱きついた。
「ユウちゃん、元気にしてた?」
智も涙目になりながら言うと
「うん。
なんとか生きてるよ」
と、ユウは答えた。
ユウも既に三十一歳になっており、YouTubeもとっくにやめて、事務所も辞めたらしい。
「ごめんね。
向こうに行ってから忙しくて、YouTubeとかそういうものも全く見れてなくて。」
「いいの。こうしてまたトモちゃんに会えたんだもん」
ユウは昔と変わらぬ可愛さで微笑んだ。
「ユウちゃんにトモちゃんの事を話したら、是非出たいって言ってくれてね。
これはヒット間違いないぞ、ホントに」
智に加え、ユウという強力なカードを手に入れた新井は、益々その自信を深めたのだった。
さすがにこの体を人々の目に晒すわけにはいかない…
智は自分を律した。
そして先行投資として、七年ぶりに美容院に行き髪を切りカラーリングをした。
痛い出費だったが致し方ない。
久々に化粧としてみたが、昔に比べてノリが悪く、肌のキメも粗くなっているような気がした。
「元々は男だからね…」
智は鏡を見ながら呟いた。
男でここまで透明感のある肌をしている者などそうそう存在しないのだが、昔の印象が本人にもあるために、この現状を受け入れる事がなかなか出来なかった。
やはり、美を保つ為にはコストがかかるのである。
独身時代と現在を比べるのは野暮である。
それでも素地が美人で、努力家の智は撮影日までに状態をベストに仕上げてきた。
ついに智は七年振りに東京にやってきた。
「トモちゃん!いらっしゃい」
撮影現場に行くと、新井をはじめ、懐かしい顔ぶれのスタッフが勢揃いしていた。
「お久しぶりです。
皆さん」
智は恥ずかしそうに頭を下げた。
「トモちゃん、この前会った時とは別人みたいなんだけど、どうしちゃったの?」
新井は智の変わりように思わず驚きの声を上げた。
「さすがにあのままの状態で撮影に臨むわけには行かないし、少しダイエットしました。」
「いやあ、さすがだねえ。」
「年齢には抗えませんけどね」
「いや、全然透明感が失われてないし、やっぱりトモちゃんはすごいよ。
さて、今日は特別ゲストに来てもらってるんだけど」
新井はそう言うと、後方に向かって手招きした。
「こんにちはー」
後ろのドアからひょこっと顔を出したのは
「ユウちゃん!」
だった。
「トモちゃん!
会いたかったあー」
ユウは今にも泣き出しそうな表情でトモに抱きついた。
「ユウちゃん、元気にしてた?」
智も涙目になりながら言うと
「うん。
なんとか生きてるよ」
と、ユウは答えた。
ユウも既に三十一歳になっており、YouTubeもとっくにやめて、事務所も辞めたらしい。
「ごめんね。
向こうに行ってから忙しくて、YouTubeとかそういうものも全く見れてなくて。」
「いいの。こうしてまたトモちゃんに会えたんだもん」
ユウは昔と変わらぬ可愛さで微笑んだ。
「ユウちゃんにトモちゃんの事を話したら、是非出たいって言ってくれてね。
これはヒット間違いないぞ、ホントに」
智に加え、ユウという強力なカードを手に入れた新井は、益々その自信を深めたのだった。
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