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to not give up
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「佐々木君、飲んでる?」
端っこに座り、口数の少ない真弥のところへ美香がやってきて、声をかけた。
「あ、課長
はい、飲んでます」
「あ、そうだ
佐々木君、結婚おめでとう」
「ありがとうございます」
美香は真弥にビールを注いだ。
「ごめんね、佐々木君
結婚するお相手がいるなんて知らなかったから、私…
変な事言っちゃって」
「いえ、あの時はまだ妻とは付き合ってもなかったんで…はい。」
「へえ、そうなんだ
付き合ってすぐに結婚したんだね」
「ええ、そうなんです」
「スピード婚だね」
「そうなりますね」
真弥は頭を掻いて俯いた。
「奥様って年上の方だって聞いたけど、佐々木君は年上の女性が好きなのかな?」
「そういうわけじゃないんですけど、好きになった人がたまたま年上だっただけで…」
「へえ、そうなんだね
年とか関係なく、佐々木君が好きになるんだから、本当に素敵な方なんでしょうね
末永くお幸せに」
「ありがとうございます。」
真弥がペコリと頭を下げると、美香はニッコリ笑って自分の席に戻っていった。
真弥は美香の後ろ姿を目で追いながら、気まずさと安堵の気持ちが入り乱れたような感覚にとらわれた。
「おーい、佐々木!
どうしたんだよ、元気ねーじゃん」
常田と同じ部署の先輩である廣岡が美香と入れ替わるように真弥の席の隣に座った。
「結婚おめでとう!」
常田はそう言って真弥にビールの入ったコップを空けるように促し、真弥が飲み干すと、すぐさまビールを注いだ。
「ありがとうございます」
真弥はそう言ってビールを一口飲んだ。
「でもさあ、佐々木の嫁さんてめちゃくちゃ年上なんだろ?」
廣岡は興味ありげに真弥に質問した。
「えっ、はい
十九歳上です」
「スゲーな
言い方悪いけど、おばさんじゃん」
酔っているとはいえ、廣岡は真弥に面と向かって失礼極まりない言葉を吐いた。
だが、常田が割って入り
「廣岡、オマエそう言うけどな
俺は嫁さん見た事あんだよ
めっちゃ美人だぞ、マジで」
「えっ、そうなんすか?
そうなの?佐々木」
「はい。
めっちゃ美人です」
真弥は照れる事なく、堂々と言ってのけた。
その姿に圧倒されたのか、廣岡はもう何も言わなくなった。
その時、真弥の携帯にLINEの着信が入り、机の下で画面を見ていたが
「あの、常田さん
ちょっと用事が出来たんで、先に失礼させてもらってもよろしいですか?」
と、真弥は申し訳なさそうに聞いた。
「あ、ああ、良いけど
奥さんか?」
「はい、ちょっと」
真弥はそう言って立ち上がると、荷物を持って慌ててその場を去っていった。
端っこに座り、口数の少ない真弥のところへ美香がやってきて、声をかけた。
「あ、課長
はい、飲んでます」
「あ、そうだ
佐々木君、結婚おめでとう」
「ありがとうございます」
美香は真弥にビールを注いだ。
「ごめんね、佐々木君
結婚するお相手がいるなんて知らなかったから、私…
変な事言っちゃって」
「いえ、あの時はまだ妻とは付き合ってもなかったんで…はい。」
「へえ、そうなんだ
付き合ってすぐに結婚したんだね」
「ええ、そうなんです」
「スピード婚だね」
「そうなりますね」
真弥は頭を掻いて俯いた。
「奥様って年上の方だって聞いたけど、佐々木君は年上の女性が好きなのかな?」
「そういうわけじゃないんですけど、好きになった人がたまたま年上だっただけで…」
「へえ、そうなんだね
年とか関係なく、佐々木君が好きになるんだから、本当に素敵な方なんでしょうね
末永くお幸せに」
「ありがとうございます。」
真弥がペコリと頭を下げると、美香はニッコリ笑って自分の席に戻っていった。
真弥は美香の後ろ姿を目で追いながら、気まずさと安堵の気持ちが入り乱れたような感覚にとらわれた。
「おーい、佐々木!
どうしたんだよ、元気ねーじゃん」
常田と同じ部署の先輩である廣岡が美香と入れ替わるように真弥の席の隣に座った。
「結婚おめでとう!」
常田はそう言って真弥にビールの入ったコップを空けるように促し、真弥が飲み干すと、すぐさまビールを注いだ。
「ありがとうございます」
真弥はそう言ってビールを一口飲んだ。
「でもさあ、佐々木の嫁さんてめちゃくちゃ年上なんだろ?」
廣岡は興味ありげに真弥に質問した。
「えっ、はい
十九歳上です」
「スゲーな
言い方悪いけど、おばさんじゃん」
酔っているとはいえ、廣岡は真弥に面と向かって失礼極まりない言葉を吐いた。
だが、常田が割って入り
「廣岡、オマエそう言うけどな
俺は嫁さん見た事あんだよ
めっちゃ美人だぞ、マジで」
「えっ、そうなんすか?
そうなの?佐々木」
「はい。
めっちゃ美人です」
真弥は照れる事なく、堂々と言ってのけた。
その姿に圧倒されたのか、廣岡はもう何も言わなくなった。
その時、真弥の携帯にLINEの着信が入り、机の下で画面を見ていたが
「あの、常田さん
ちょっと用事が出来たんで、先に失礼させてもらってもよろしいですか?」
と、真弥は申し訳なさそうに聞いた。
「あ、ああ、良いけど
奥さんか?」
「はい、ちょっと」
真弥はそう言って立ち上がると、荷物を持って慌ててその場を去っていった。
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