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決断

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「莉愛ちゃん
話をしてくれてありがとう。

おばさんも、莉愛ちゃんみたいな娘が欲しくなったわ。
親子で色んな話をしてみたいって。」

美智香は莉愛にそう言い、隣に座る真弥を見つめた。


「みっちゃん、娘とは限らないよ。
男の子かもしれないしね」


真弥の言葉に皆が笑った。


「智、ユウさん、莉愛ちゃん

私と真弥君だけじゃ答えが出なくて、みんなに相談させてもらったんだけど…

私…

産みたいと思います。」


美智香は小さな声ではあるが、ハッキリとした口調で言った。



「うん。

お姉ちゃんがそう決めたんなら、ワタシらはただ応援するだけだよ。

お互いに東京に住んでるんだから、すぐに家にだっていけるし、何でも言ってね。」


智の言葉にユウも頷き、言葉を引き取って続けた。


「美智香さん、ワタシも何か困ったことがあればお手伝いに行きます。

ただ、残念なのはこの中に出産経験者が一人もいない事なんですけど。」


「ありがとうございます。

そう言ってもらえると、すごく勇気が湧いてきました。」


こうして、美智香は高齢出産というリスクのある道を選択したのだった。


「ところでお姉ちゃん、お仕事とかどうするの?」


「うん。
妊娠しながらフツーに働いてる人も沢山いることはわかってるんだけど、万全には万全を期したいから、退職することにするわ。」


「うん。それがいいね。」


「真弥君と結婚して、自分達の身の丈に合った生活をしようと考えて、郊外の団地に移り住んだ事は、間違いじゃなかったと思うし、本当に毎日を幸せに暮らせているの。

でも、あんな事があってお金を盗られそうになったり…

あれから色々考えるようになったんだけど、貯金があるのは事実だし、これからはこのお金を有効に使いたいなって、そう思うようになったの。」

「うん、わかるよ。」


「真弥君とも相談して、もし、子供を産む事にするのなら、また引っ越そうって。
もっと広いところに…」

「そうだね」

「僕が甲斐性ないから、みっちゃんに苦労ばかりかけて本当に申し訳ないんですけど…
その言葉に甘えさせてもらいます。」

真弥は恐縮気味に言い、小さくなった。

「何言ってるのよ。
真弥クンと知り合ってからのお姉ちゃんは、以前とは別人に見えるくらい変わったんだから。
本当に今が幸せだと思うわ。

ね?
お姉ちゃん」


「うん。それだけはハッキリ言える。

今が人生で一番幸せだし、毎日が楽しくて仕方ないわ。」


「あーあ
私もそんな事言ってみたいなあ」

莉愛が言うと、智が

「莉愛はまだ十六なんだから、今は男を見る目を養う時期よ。」

と、笑いながら窘めた。
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