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第52話

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 佐賀美さんは部屋に着くなり、ひょいひょいと僕の服を脱がせ、洗濯機に放り込む。
 そして本人もあっという間に服を脱ぎ、僕の手を引いて浴室に入る。
「ああ臭い。なんで女は、こんな甘ったるくて獣臭い、訳の分らん香水をつけるんだ?」
 佐賀美さんは忌々しげに手でシャワーの温度を確かめてから、僕の髪をザバザバと濡らす。
「隅から隅まで洗わねば」
 シャンプーで丁寧に僕の髪を洗い、次に体へ取り掛かろうとする。
「後は自分で洗いますので」
 さすがに僕は遠慮する。
「だめ。俺が全部洗う」
「散歩帰りの犬みたいな気分なんですけど」
「その通りではないか。あちこちに泥を塗りたくって、汚れて帰って来て」
 この人には、女の香水は「泥」らしい。
「だから念入りに洗って、穢れを落とすぞ」
 そう言って、口の中を清めるようにキスをした。
 
 二人して床に座る。
 佐賀美さんはボディシャンプーをスポンジではなく、手に取った。
 ぬるりとそれを僕の胸に広げると、後ろから抱きかかえるようにして、愛撫するように洗い始める。
「いい子にしているんだよ」
 指先で乳首のまわりをヌラヌラとなぞる。
 「……ッ」
 途端、胸元がキュンと色めき立つ。
「おや?」
 僕が声を押し殺して反応しているのに気がつくと、泡と一緒に乳首をつまむ。
「あう!」
 両肩がビクッと跳ねる。
「もう感じちゃったの? 敏感な子だね」
 佐賀美さんは背後で、ふふっと笑う。
「ここだよな……? フジの特別な場所は」
 さらにその先をクリクリと刺激する。
「ひあッ」
 震えるようにのけぞり、背中で甘える。
 もうすでに僕のペニスは佐賀美さんを欲して太く反り上がっている。

 佐賀美さんはボディシャンプーを手に継ぎ足す。
 そして今度は内股をいやらしく撫で回した。
「あ……あ」
 思わず身をよじる。
「ふふふ」
 わざと「そこ」には触れず、指先で脚の付け根を行ったり来たり。
「あ、あンあ!」
 それこそお預けをくらった犬のように、僕は甲高い悲鳴を上げた。
「待ちなさい。ちゃんと洗ってからだよ」
 背後からは、佐賀美さんの勃起が当たり、ぐいぐいとこすりつけて来る。

「両脚を開きなさい」
「……はい」
 命じられるまま両膝を立て、開脚する。
 正面の鏡に、淫らなポーズをした僕が映った。
「……」
 恥ずかしくて、顔を背ける。
 けれど鏡の中では、愛撫を待ちきれない僕の男根が天井を向いている。
 一刻も早く、その大きな手で握って欲しくて、ぶびんぶびんに膨張している。
「フジ。ちゃんと鏡を見なさい。素敵な事をしてあげるから」
 佐賀美さんの中指が、内股を通って奥へと進み、僕のアナルに優しく侵入した。
「あう」
「フジのあそこに今、俺の指が入ってるんだよ。見えるだろう?」
「はい……」
「ここは、俺のモノしか入れるなよ。絶対に」
「はい」
 僕の体は、佐賀美さんだけのもの。
 この人以外は、絶対に受け入れない――そう心に誓った瞬間、胸の穂先が太立ちした。

「なあ、フジ」
 佐賀美さんが背後から耳元で囁く。
「フジのイクところ、見たいな」
「え……?」
「このまま、オナニーしなさい」
「ええっ!」
「鏡の向こうのフジが、イクところを見たいんだ」
「い、嫌です……そんな恥ずかしい事……できません」
「フジ! 俺の言う事を聞きなさいっ」
 闇壷に差し込まれた指が小刻みに動き、もう片方の手が乳首を攻める。
「聞き分けのない子は、こうやってお仕置きだよ」
「あッ、ひイッ!」
 甘い疼きと快感を伴う小さな痛みが全身を駆け巡る。
「俺の両手は塞がっているんだ。さあフジ。自分の手で感じなさい」
「嫌っ」
「ほら、早く。フジの気持ちいい顔を俺に見せなさい」
「……」
 佐賀美さんの淫らな命令に、僕の心は揺れ動く。
 本当は嫌じゃない。
 なぜならもう、僕の恥部は佐賀美さんの手によって、熟しきっているからだ。
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