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第三章
128話目
しおりを挟む「じゃーん」
「うわー!! すごいですね」
相良さんのお店に到着して早々菅井さんに捕まった。
連れて行かれた庭にはマッヘンさん達が各々の幌馬車の内装を吟味している最中だった。
その中の一つの幌馬車に連れて行かれて中を見せてもらった。
菅井さんの幌馬車は所謂キャンピングカーのようになっていた。
寝る場所は高さを測って枠を作ったロフトベッド、その下には魔道具を使用して作った小さな流し台とコンロ、反対側には折りたたみにできる机、奥には幅いっぱいのオットマンが、その上には寛げるようにクッションが置いてあった。 よくそのサイズのオットマン見つけたな。
上のロフトベッドは一人で寝るには広いが高さが限られているので少し圧迫感があった。
「ちょっと見ててね」
そう言って菅井さんが外に出る。
何かゴトゴトと音が聞こえするような音が聞こえた。
「上を見てて」
「うわっ!! 凄い!!」
幌の部分が上に伸びた。
「凄いでしょ! マッヘン爺に作ってもらったんだ」
これだとロフトベッドに乗った時の圧迫感が無くなった。
少し羨ましくなった。
そのあとは相良さんと倉敷さんとマッヘンさんのも見せてもらった。
相良さんのは私が王都に行く時に使った幌馬車に似ていた。
本人はこの場にいなかったが菅井さんが見せてくれた。
倉敷さんとマッヘンさんはまんま作業部屋だった。
どこに置けば作業がしやすいかだけを追求していてある意味分かりやすかった。
っとこうしてる場合じゃなかった。
「相良さんはお店ですか?」
「そうじゃよ」
「わかりました。 ありがとうございます」
そう言ってお店の中に向かった。
お店の中には数人お客さんが居て相良さんは接客をしていた。
お仕事を邪魔してはいけないなと思い庭で幌馬車を改良している3人に混じって私も幌馬車の内装を見直しつつ仕事が終わるのを待った。
みんなでワイワイ作業していたらいつの間にか閉店時間を迎えたらしい。
5、6台目の幌馬車を男女それぞれの脱衣所とお風呂用に、7、8台目の幌馬車を洗面所とトイレに改装していたら声がかかった。
魔道具でお湯や水が出せるって便利だね。
お風呂用の使用後の水は下に貯めれるような作りになり戦場の魔道具で綺麗にした後に捨てられるようにし、トイレも同じく貯められるようにし貯まった物の中にスライムを放り込んで綺麗に出来るようにした。
ただ、スライムはアイテムボックスに入れられないので直ぐに綺麗にすることができない。
満タンになった貯水タンクは取り外せるようにし、スライムを連れて行くか、捕獲するまでに満タンになってしまった場合切り離しアイテムボックスに保管できるようにした。
あとはそれぞれを連結する廊下みたいな物を作成しようとしていた。 個数次第では迷路になりそう。
「相良さんお疲れ様です」
「もうそんな時間か」
日も暮れ始めていたので今日の作業は一旦終えるらしくマッヘンさん達は片付けを始めた。
「楽しそうですね。 ところで桜さんどうしましたか?」
「あ、忘れてました。 領主から打ち合わせの日程について手紙を頂いたんですが相良さんのところには届きましたか?」
「手紙? いえ……きてないですね」
「えっ……」
「手紙にはなんて書いてあったんですか?」
「はい……」
手紙の内容を相良さんに話すとふむと頷き、
「私も行く旨付け足してください」
「それは大変心強いです。 って付け足してくださいも何も手紙の書式すら分からないんですが」
一緒に行ってくれるのは大変ありがたい。 それの確認をするにも今度は手紙のやりとりだ。 最悪便箋はあるから元の世界と同じように記入し門前まで行って出すことはできる。 でもそれで良いのか? こちらの世界の常識教えてください。
結局次の日に商業ギルドへ行き面会予約を取ってオーフェンさんと春子さんに教えてもらい手紙を書き出した。
応援ありがとうございます!
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