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第6章 シークレット始動
第116話 総仕上げ
しおりを挟む「かーっ! きついとは聞いてたけど、こんなにしんどいとは思わんかったで!」
「我々の実力不足が如実に表れましたね」
「『シークレット』所属の四人も強いはずなんだがな。仲良くみんなボコボコにされていたぞ」
ブートキャンプの初日が終了。
現在はうちの事務所の食堂でご飯を食べながらわいわいと歓談している最中だ。
「織田さんの実力の底が見えませんね」
「あいつ、あれで接近戦は不得手とか言うとったで? 嫌味にしか聞こえんわ」
銃を持ったら性格が変わるトリハピの吉岡さんと、聖剣召喚とかいう似合わない能力を持ってる柴田さんがビールを飲みながらグチっている。
聞こえてますからね? 柴田さんは明日から更にきつめにしてやろう。
「桜ちゃーん」
「ボコボコにされちゃったよー」
「だんちょ~は強さだけは本物だからね~」
毛利姉妹と桜が牛丼を食べながら愚痴り合っている。強さだけって部分が気になりますねぇ。
俺が他は偽物みたいな言い方じゃないか。ゲームだってそこそこ出来るぞ。
この前モンスターの討伐を手伝ってやったのを忘れたか。
「くっ! 儂の筋肉が敗れるとは! まだまだ鍛え方が足りんな! 儂の能力もあってないようなものであった!」
「がっはっはっは! 流石団長であったな! 俺様もまだまだという事よ!」
「私も一度経験した事で慢心してたかもしれませんね」
筋肉男子の公英と武田さん、筋肉女子の安藤さんがお酒をガブガブ飲みながら快活に話し合う。
ここはどこにいてもうるさいな。安藤さんが混じってるのは未だに違和感だし。
因みに武田さんの能力は『鋼硬皮膚』ね。
説明し忘れてたかも。体がガッチガチになる能力らしい。タンクには持ってこいじゃないかな。
「先程織田さんに『超回復』について詳しく聞かれたんですよ。骨とかも強くなるのかなって。経験上強くなってるみたいなんですが、私は何をされるんでしょうね…。あの強くなるって言った時の織田さんの笑顔が怖すぎて…」
「あー…。ご愁傷様です…」
真田さんと稲葉さん。
なんか真田さんが悲壮感を漂わせてるな。
なんでだろ。馬鹿な天魔君には分かりませんね。
でもこの一ヶ月で一番伸びるのは真田さんじゃないかなと思ってます。
明日からバッキバキにしてやるんだ。
「ここの料理は全部美味しいでありまする!」
「あらあら。そんなに頬に溜めちゃって」
神田さんと陽花は少し離れたところで美味しくご飯を頂いてるな。
てか、神田さんが思ったよりタフである。
訓練が終わって少ししたらケロッとしてるし、今も美味しそうにご飯を食べて訓練疲れを見せない。
「ふむふむ。交流も順調だな」
俺は周りを回ってみんなと軽く話しては次の場所へという事を繰り返していた。
お友達を作ろう大作戦は成功だ。連絡先が増えてホクホクである。
「この一ヶ月で気軽にゲーセンに行ける仲になる事が目標だな」
普段から東京に居る人達しか無理だけどさ。
流石に他県に行ってまでゲーセンは…。
いや、大会とかに出るならありか?
ちょっと検討しておこう。
そして約一ヶ月後。
今日は訓練の総仕上げである。
どこかに都合よく1級か2級が出現しないかなと思ってたんだけど、そこまで甘くなかった。
主人公のご都合主義は発動されなかった模様。
「うんうん。みんな成長したねぇ」
「成長の代わりに大事なものを失ったような気がします」
相変わらず目の前は死屍累々。
でもこの光景にするまで今回はかなり時間がかかったよ。最初にやった時とは雲泥の差だ。
真田さんが表情を無にして何かを言ってるが気にしない。
間違いなくこの一ヶ月で一番ハードな訓練をしたのはこの人だろう。公英達に付き合わせて筋トレをさせては魔法で回復しては無理矢理『超回復』を促す。筋トレが終わると俺が全身の骨をバキバキにする。そして回復する。以後無限ループ。
「公英達みたいにムキムキマッチョマンになると思ったんですけど、引き締まった体のままですね」
「筋密度的なのは凄いですよ。一ヶ月前の自分とは別人の様です。この点だけは織田さんに感謝しています。もっとやり方がマイルドならなお嬉しかったですが」
効率重視なもんで。すみませんね。
光魔法持ちが少ないから、俺のこの無茶な方法は中々実行出来ないんだよね。ポーションも全身骨折レベルのを治すのはかなりお高いし。
「今では骨やら筋肉やらが成長しすぎて痛め付けるのも一苦労ですよ」
「更にレベルアップしたかったらいつでも事務所に来て下さいね。お安くしときますよ?」
痛覚が馬鹿になるまでやってやろう。
一ヶ月も骨を折られ続けて正気を保ってる真田さんが凄いんだけどね。一瞬で治すとはいえ、痛みはあるってのに。いや、表情は無だけど。
これは訓練終わりは大体みんなこうなので、気にしてはいけない。
「よし。じゃあ皆さん一ヶ月間お疲れ様でした。成果確認の為に1級か2級に潜りたいところだったんですけど、残念ながら発生しませんでした。今後日本のどこかで発生したらみんなで仲良く入って成果確認しましょう」
って事でシメに入る。
この一ヶ月一生懸命働きました。
中々一狩り行けなかったくらいだ。
ポテともちゃんと遊べなかったし、当分はダラダラしながら過ごさせてもらおう。
「だんちょ~。ゆっくり出来ないよ~。面接があるからね~」
そうでした。
早く人員を補充しないと、ブラックギルドになっちゃうんでしたよ。
はぁ。早くダラダラしたいでやんす。
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