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第6章 シークレット始動

第120話 台湾

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 「台湾から要請くるかなぁ」

 「くると思うけどね~。そんなにすぐはこないかも~」

 「にゃにゃ!」

 俺はせかせかと卵を運搬しながら桜に話しかける。なんでこの竜は俺が卵を持ってるとクソムーブをかましてくるんですかねぇ。
 こんな意味の分からんクエストをしないといけない意味が分からんぞ。
 果たしてこれはキークエストなのか。俺は調べずに上から順番にクリアしてるんだけど。
 なんか全部クリアしないと、歯抜けみたいで気持ち悪いし。

 桜は糸でねこじゃらしを作ってポテと遊んでいる。いつもはぼけっとしてるポテも本能には逆らえないのか、必死に捕まえようとふしゃってる。

 「自国で討伐出来るか試すんじゃないかな~? だんちょ~が攻略して探索者ブームが来てる事だし~」

 「せっかくブームが来てるのに死者を出したりしたら水を差すと思うんだが」

 台湾は親日家らしいけどさ。なんか国交は建前上断絶してたような気がするんだけど、違ったっけ? まぁ、どうでもいいけど。
 流石に攻略を試しもせずに、他国の探索者に頼むってのは色々な面でよろしくないのかな?
 俺はいつでも要請を受けてもいいようにスタンばってるけど。

 「ニュースは台湾の1級発生一色だな」

 「日本も立て続けに1級が発生した時はやばかったみたいだよ~。言い方は悪いけど島国で良かったなんて言われてたぐらいだからね~。もし崩壊しても海を渡ってまではこないだろうって~」

 「甘い考えですな」

 アンデッドはまぁ大丈夫だっただろう。
 あいつらは空飛ぶ個体が少ないし。
 でも蜂の魔物なんて、普通に日本から韓国ぐらいまでなら飛んで行ける。魔族なんてアメリカまで余裕だっただろう。

 あーっ! 卵落とした!!

 「あー禁忌領域の可能性もあるのか。願わくば台湾の冒険者が引き当てない事を祈るのみだな」

 「だんちょ~。フラグだよ~」

 おっと。こいつは失礼。
 そんな気持ちは一切無かったんだ。
 素直に心配しただけだったんだけど。

 「あれ? 公英と陽花は?」

 「たんぽぽちゃんは警備員候補として雇った人達の所だよ~。だんちょ~に頼られたのが嬉しかったのかもね~。ウキウキで支度して行ってたよ~。お姉さんは隣に居るんじゃないかな~」

 ある程度の指導は済んだから公英に警備員達の取り纏めを頼んだんだけど、それはもう張り切っていた。筋トレは控えめにするようにお願いしたけど、果たしてどうなるか。
 ちょっと警備員区画に行くのが怖いよね。

 陽花は隙あらばお酒を飲んでいる。
 それでいて全く酔わないんだから凄い。
 能力が関係してるんだろうか。てか、自分をお酒に変えたらいつでも飲み放題じゃん。
 流石に自分を飲むってのは気持ち悪いとかあるのかな? 今度聞いておこう。
 
 あ、死んだし。やめやめ。
 ちょっと休憩しよう。

 「台湾の観光スポットでも調べておこうかな」

 「要請される前提じゃ~ん」

 いや、台湾の探索者を舐めてる訳じゃないけど。
 攻略出来るなら俺が帰ってくる必要は無かったし、日本の1級だって攻略してもらってただろう。
 あの朝倉さんや伊達さんが、自国のプライドの為に意地張って要請をしないなんてありえないと思うし。もしかしたら台湾や他の国には世に出てきてない天才が居るのかもしれんが。

 「この九份って場所は見覚えがあるような?」

 何で見たんだっけな。
 なんかこの景色だけ鮮明に覚えてるぞ。

 「映画のロケ地でも使われてるし~昔のジブリのモデルになった場所って言われてるね~」

 「あ~。ジブリか。あれだ。名前を取られるやつ。小さい時にカオナ○を見てトラウマになった覚えがあるなぁ」

 思い出した思い出した。
 フライデーロードショーで初めて見て、テレビの前でギャン泣きした記憶がある。
 生粋のトト○っ子だった俺は裏切られた気持ちになったもんだ。ああいう物語かと思って期待してたのにさ。あれも色々考察されてほっこりするような物語じゃないって噂だけど。

 「えー行ってみたいな。普通に狭間関係無しに聖地巡礼的な事をしてみたい。台湾に行く前にそのジブリは見てみようかな」

 覚えてるのは名前を探すって事と、カオ○シが怖いって事だけだしさ。
 あれ? なんかお父さんお母さんが豚になったりするんだっけ? 三百年前の事なんて覚えてませんね。

 「桜、この前登録した動画アプリの使い方を教えてくれ。お風呂に入りながら映画を見てくる」

 「良いけど~。ジブリは無いんじゃないかな~」

 なんだと?
 何の為に登録したと思ってるんだ。
 昔の古き良き映画を見て懐かしい気持ちになる為に登録したってのに。
 ワイス○の最終作、パンデッミックウォーは傑作だった。ひたすらゾンビを車で轢き殺す映像を流し続けた監督には大きな拍手を送りたい。
 何が面白いか全く分からんかったが。

 「やっぱりないよ~」

 「くそったれめ。DVDを買いに行くしかないのか。今時そんな骨董品売ってるのかね」

 もうなんか一回見ようと思っちゃうと、我慢出来なくなってきた。
 ちょっとアキバに行ってこようかな。

 「あたしも行くよ~。お姉さんも誘ってみよ~っと~」

 「じゃあ俺は公英に連絡しよう」

 神田さんはどうしようかな。
 俺達が積極的に攻略をしないせいで、一回一緒に狭間に行ってからはずっと訓練なんだよね。
 今は新しく変態先を増やす為に観察中なんだけど。邪魔するのは良くないかな? 一応連絡だけはしておこう。
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