GOD SLAYER’S

猫乃麗雅

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― 第二章・それぞれの成長 ―

第52話 雪煙

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ヒーゴン軍の先駆け隊は、前回の戦で最後尾を指揮していた老兵の【騎士】である。

左翼隊と右翼隊の司令官に変わりはない。

中央隊は二弾構えになっており、一段目を侍王が、二段目を長女のさちが率いているようだ。

そして、今回の最後尾は、次男の晴清はるきよが務めている。


降雪が強まっていく平原にて、肉弾戦が白熱すると共に、魔法やスキルに矢が飛び交う。

一進一退の攻防が繰り広げられるなかで、総帥が、

「押し上げよッ!!」

と、中央隊を動かした。

兵数の差は約5万だが、それをものともしないヒーゴン軍が怒涛の攻めを展開していったのである。

それにひるんだ敵軍が、徐々に後退していく。

このまま一気に戦況が傾くだろうと思われた、のだが。

敵軍の中央・左方・右方から、突如、幅5㎝×長さ50㎝の[紫色の線光ビーム]が、大量に、

ヒュンッ!ヒュンッ!ヒュンッ!ヒュンッ!ヒュンッ!ヒュンッ!ヒュンッ!ヒュンッ!

と発射されたのである。

これによって、敵味方関係なく最前線にいた2万ほどの者たちが死傷してしまったようだ。

ビームの出所を確認してみたところ、左方にワーウルフ(狼型)、中央にはラミア(蛇型)、右方にノール(ハイエナ型)が、見受けられた。

この魔物らは、全身が黒く、左右の丸い目が不気味に白い。

三体には鉄製の首輪が填められているみたいだ。

更には、首輪一つにつき、左斜め前/右斜め前/左斜め後ろ/右舐め後ろに“鎖のリード”が伸びている。

その鎖を、一本につき4人の敵兵が握り締めていた。

ウィッチの幸永歌さえかが、

「何、あれ?」

と、眉間にシワを寄せ、

「なんか、キモイわね。」

とクレリックの永美香さえかが引いてしまう。

「あれは、“成れの果て”に違いねぇ。」

と、述べる紫蓮しれんに、千代ちよたちが首を傾げるも、後ろに控えていた清虎きよとらが、

「ほぉう、よく知っておるのぉ。」

と少なからず感心したのである。

「以前、やり合った事があるので。」

と、返した紫蓮に、

「ならば、対策も分かっておるの?」

と総帥が訊ねた。

紫蓮が、

「こちらから攻撃しなければ、向こうは微動だにしない。」

と、答える。

「うむ、その通り。」

と侍王が頷いて、

「じゃが…、あっちは、それを打開しておるようじゃ。」

と、苦々しそうにした。

(どういことだ?)

と、紫蓮が目を凝らしたところ、ラミアの後方から矢がられたのである。

それがラミアの右肩に刺さるのとほぼ同時に、ワーフルとノールの脇腹が槍で突かれた。

これらは、どれも、[南陸なんりく第十神国しんこく]の兵によるものだ。

ともあれ、痛みに反応した三体が、直径5Mの魔法陣を構築する。

再び光線を放つために―。
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