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― 第三章・南陸行路 ―
第93話 サッツゥーの忍びの里・後編
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「とにもかくにも、こちらの預かり知らぬところで、そのような事件が起きていたのは、甚だ遺憾である。」
「この里からも数十の手練れを放ち、犯人どもを一網打尽にしてくれようぞ!」
頭領である“隼の獣人”が怒りを露わにする。
「では…、成蔵様に、“サッツゥーの忍”の潔白を報告しておきましょう。」
撫子が述べ、
「うむ、頼んだ。」
“隼の獣人”が頷いた。
タイミングを見計らっていた紫蓮が、
「すまないが……、“赤いミノタウロス”についての情報はないだろうか?」
と窺う。
「赤色の??」
「…、お! 確か……、先日、とある任務から帰還した者が、そのようなことを申しておったな。」
「サッツゥーの西に在る“アーキン国”の都で噂を耳にしたらしい。」
初めての有力な手がかりに、
「感謝いたす。」
紫蓮が、お辞儀したのである
屋敷の外で、撫子が左手首の腕輪から[画面]を開く。
どうやら、“忍者マスター”に連絡するようだ。
その近くで、
「総帥や、孫君がたと、近衛兵らに、良き土産話ができた。」
「いずれヒーゴン国に足を運ぶとよい。」
「皆、喜ぶであろうぞ。」
信義が微笑みながら促し、紫蓮が首を縦に振る。
「では、達者でな。」
翼を動かして飛び立つ信義を、紫蓮と共に、涼音とペイニーが見送った。
サッツゥーの首都へと帰る道中、ペイニーが、
「そういえば、撫子。」
「サーヴァント達を呼ぶ事態になったときに使おうとしていた術って、なんなの??」
と、尋ねた。
「ん?」
「ああ、それは、なんと……、“分身の術”だ!!」
自慢げな撫子に、
「分身が出来るのですか?!」
涼音が目を丸くする。
紫蓮も驚いているようだ。
彼らを横目に、
「うむ!」
「正確には“影分身”だがな!!」
「普通の“分身の術”は高速移動や幻術で増えているかのように見せかけているのだが…、私の“影分身”は実際に人数が増えるのだ!」
撫子が力説した。
「その“影分身”というのは、忍者であれば誰でも扱えるのか??」
紫蓮が聞いてみたところ、
「いや、“分身の術は”修行によって得られるが、“影分身”はスキルなので、一部の者しか持ち合わせておらぬ。」
「例えば、“忍者マスター”である成蔵様の一族であったりとかな。」
「ま、私や、成蔵様たちの忍術は、どれもスキルなのだが……。」
「現在の私は分身を一人しか出現させられん。」
「ちなみに、2分30秒で元に戻ってしまう。」
「しかし…、あの屋敷内で、もし襲撃されていたとしても、それだけの時間があれば、私達が戦っている際に、待機していたサーヴァントらに分身が状況を伝えられると思ったのだ。」
このように説明したのである―。
「この里からも数十の手練れを放ち、犯人どもを一網打尽にしてくれようぞ!」
頭領である“隼の獣人”が怒りを露わにする。
「では…、成蔵様に、“サッツゥーの忍”の潔白を報告しておきましょう。」
撫子が述べ、
「うむ、頼んだ。」
“隼の獣人”が頷いた。
タイミングを見計らっていた紫蓮が、
「すまないが……、“赤いミノタウロス”についての情報はないだろうか?」
と窺う。
「赤色の??」
「…、お! 確か……、先日、とある任務から帰還した者が、そのようなことを申しておったな。」
「サッツゥーの西に在る“アーキン国”の都で噂を耳にしたらしい。」
初めての有力な手がかりに、
「感謝いたす。」
紫蓮が、お辞儀したのである
屋敷の外で、撫子が左手首の腕輪から[画面]を開く。
どうやら、“忍者マスター”に連絡するようだ。
その近くで、
「総帥や、孫君がたと、近衛兵らに、良き土産話ができた。」
「いずれヒーゴン国に足を運ぶとよい。」
「皆、喜ぶであろうぞ。」
信義が微笑みながら促し、紫蓮が首を縦に振る。
「では、達者でな。」
翼を動かして飛び立つ信義を、紫蓮と共に、涼音とペイニーが見送った。
サッツゥーの首都へと帰る道中、ペイニーが、
「そういえば、撫子。」
「サーヴァント達を呼ぶ事態になったときに使おうとしていた術って、なんなの??」
と、尋ねた。
「ん?」
「ああ、それは、なんと……、“分身の術”だ!!」
自慢げな撫子に、
「分身が出来るのですか?!」
涼音が目を丸くする。
紫蓮も驚いているようだ。
彼らを横目に、
「うむ!」
「正確には“影分身”だがな!!」
「普通の“分身の術”は高速移動や幻術で増えているかのように見せかけているのだが…、私の“影分身”は実際に人数が増えるのだ!」
撫子が力説した。
「その“影分身”というのは、忍者であれば誰でも扱えるのか??」
紫蓮が聞いてみたところ、
「いや、“分身の術は”修行によって得られるが、“影分身”はスキルなので、一部の者しか持ち合わせておらぬ。」
「例えば、“忍者マスター”である成蔵様の一族であったりとかな。」
「ま、私や、成蔵様たちの忍術は、どれもスキルなのだが……。」
「現在の私は分身を一人しか出現させられん。」
「ちなみに、2分30秒で元に戻ってしまう。」
「しかし…、あの屋敷内で、もし襲撃されていたとしても、それだけの時間があれば、私達が戦っている際に、待機していたサーヴァントらに分身が状況を伝えられると思ったのだ。」
このように説明したのである―。
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