GOD SLAYER’S

猫乃麗雅

文字の大きさ
上 下
182 / 267
― 第四章・西陸行路 ―

第182話 仕熟す

しおりを挟む
翌日の午後二時を過ぎた頃である。

[ミーノン軍]が王城を取り囲んだところ、全ての門が内側から開かれた。

その流れで、[武術マスター]のもとに使者が訪れたようだ…。


30代半ばくらいの男性が、

「城には、もはや、神は一柱もおりません。」
神次かみつぐ様の判断にて、我々は無条件で降伏いたします。」

このように伝えたのである。

「ふむ。」
「……、“護衛隊”のみを連れてゆく故、それ以外は待機しておれ。」

馬上で周囲に指示した利通としみちが、

安内あないせよ!」

使いの者を促した。


庭には、甲冑姿の兵士たちが整列している。

戦う意志はなさそうだ。

そこを通過して、城内に入ったところ、50人ほどの[ビショップ司教]がエントランスに佇んでいた。

「ミーノンの国主である。」

武術マスターが告げたら、

「この国の神次にございます。」

50代前半ぐらいの女性が跪き、他のビショップらもならったのである。

「西の大通りで、神どもとの市街戦となり、建物などが、一部、破損したゆえ、早急に修復いたせ。」
「当然、無償での。」
「それと…、“ヒッダー国”の復活を全土に報せよ。」

こう述べた利通に、

「は。」
「あ、いえ……。」
わたくしどもは、神の庇護を受け、贅沢な暮らしを送ってまいりました。」
「そのため、虐げられてきた国中の人々から憎しみの対象となっております。」
「なので、国主様に王城を明け渡した後に、野に下るつもりでいたのですが…。」

神次が返す。

「……、く当てはあるのか?」

武術マスターが訊ねたところ、

「いいえ。」
「城を出てから、みなで話し合う予定です。」

神次が気落ちしたかのようにうつむいた。

「ならば、生まれ変わるヒッダーの為に尽力し、信頼回復に努めよ。」
「そなたらが、これまでどおり都で生活することを許す。」
「ま、地位は剝奪させてもらうがのッ。」

優しげな目をする利通に、

「お、あ…、ありがとうございます。」

心より感謝した神次に司教らが、深々と頭を下げる……。


とりあえずは、武術マスターや、その息子(次男)に、此度の最高幹部らと、五千程のミーノン兵達が、王城を使う運びとなった。

利通などの数名は、神次たちの先導にて、[宝物庫]に訪れている。

「よくも、また、集めおったのぉー。」

山積みとなっている金銀財宝に呆れた武術マスターではあったが、

「しかし、まぁ、これらを投資に回せば、国民は必ずや豊かになるじゃろう。」

前向きに検討していくみたいだ。

とにもかくにも、

「詳細な分配は会議で決めていくとして…、まずは、いくさの恩賞を与えていくとするかの。」
「功労第一位は、間違いなく、“ゴッド・スレイヤーズ”であろうぞ。」

どこか嬉しそうに笑みを浮かべる利通だった―。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

婚約破棄していただき、誠にありがとうございます!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:4,877pt お気に入り:1,882

許してもらえるだなんて本気で思っているのですか?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:4,920pt お気に入り:3,625

ここはあなたの家ではありません

恋愛 / 完結 24h.ポイント:62,806pt お気に入り:2,036

王女殿下に婚約破棄された、捨てられ悪役令息を拾ったら溺愛されまして。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:24,893pt お気に入り:7,102

不死王はスローライフを希望します

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:47,466pt お気に入り:17,482

離縁するので構いません

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:82,127pt お気に入り:850

令嬢はまったりをご所望。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:4,366pt お気に入り:21,426

処理中です...