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― 第四章・西陸行路 ―
第182話 仕熟す
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翌日の午後二時を過ぎた頃である。
[ミーノン軍]が王城を取り囲んだところ、全ての門が内側から開かれた。
その流れで、[武術マスター]のもとに使者が訪れたようだ…。
30代半ばくらいの男性が、
「城には、もはや、神は一柱もおりません。」
「神次様の判断にて、我々は無条件で降伏いたします。」
このように伝えたのである。
「ふむ。」
「……、“護衛隊”のみを連れてゆく故、それ以外は待機しておれ。」
馬上で周囲に指示した利通が、
「安内せよ!」
使いの者を促した。
庭には、甲冑姿の兵士たちが整列している。
戦う意志はなさそうだ。
そこを通過して、城内に入ったところ、50人ほどの[ビショップ]がエントランスに佇んでいた。
「ミーノンの国主である。」
武術マスターが告げたら、
「この国の神次にございます。」
50代前半ぐらいの女性が跪き、他のビショップらも倣ったのである。
「西の大通りで、神どもとの市街戦となり、建物などが、一部、破損したゆえ、早急に修復いたせ。」
「当然、無償での。」
「それと…、“ヒッダー国”の復活を全土に報せよ。」
こう述べた利通に、
「は。」
「あ、いえ……。」
「私どもは、神の庇護を受け、贅沢な暮らしを送ってまいりました。」
「そのため、虐げられてきた国中の人々から憎しみの対象となっております。」
「なので、国主様に王城を明け渡した後に、野に下るつもりでいたのですが…。」
神次が返す。
「……、行く当てはあるのか?」
武術マスターが訊ねたところ、
「いいえ。」
「城を出てから、皆で話し合う予定です。」
神次が気落ちしたかのように俯いた。
「ならば、生まれ変わるヒッダーの為に尽力し、信頼回復に努めよ。」
「そなたらが、これまでどおり都で生活することを許す。」
「ま、地位は剝奪させてもらうがのッ。」
優しげな目をする利通に、
「お、あ…、ありがとうございます。」
心より感謝した神次に司教らが、深々と頭を下げる……。
とりあえずは、武術マスターや、その息子(次男)に、此度の最高幹部らと、五千程のミーノン兵達が、王城を使う運びとなった。
利通などの数名は、神次たちの先導にて、[宝物庫]に訪れている。
「よくも、また、集めおったのぉー。」
山積みとなっている金銀財宝に呆れた武術マスターではあったが、
「しかし、まぁ、これらを投資に回せば、国民は必ずや豊かになるじゃろう。」
前向きに検討していくみたいだ。
とにもかくにも、
「詳細な分配は会議で決めていくとして…、まずは、戦の恩賞を与えていくとするかの。」
「功労第一位は、間違いなく、“ゴッド・スレイヤーズ”であろうぞ。」
どこか嬉しそうに笑みを浮かべる利通だった―。
[ミーノン軍]が王城を取り囲んだところ、全ての門が内側から開かれた。
その流れで、[武術マスター]のもとに使者が訪れたようだ…。
30代半ばくらいの男性が、
「城には、もはや、神は一柱もおりません。」
「神次様の判断にて、我々は無条件で降伏いたします。」
このように伝えたのである。
「ふむ。」
「……、“護衛隊”のみを連れてゆく故、それ以外は待機しておれ。」
馬上で周囲に指示した利通が、
「安内せよ!」
使いの者を促した。
庭には、甲冑姿の兵士たちが整列している。
戦う意志はなさそうだ。
そこを通過して、城内に入ったところ、50人ほどの[ビショップ]がエントランスに佇んでいた。
「ミーノンの国主である。」
武術マスターが告げたら、
「この国の神次にございます。」
50代前半ぐらいの女性が跪き、他のビショップらも倣ったのである。
「西の大通りで、神どもとの市街戦となり、建物などが、一部、破損したゆえ、早急に修復いたせ。」
「当然、無償での。」
「それと…、“ヒッダー国”の復活を全土に報せよ。」
こう述べた利通に、
「は。」
「あ、いえ……。」
「私どもは、神の庇護を受け、贅沢な暮らしを送ってまいりました。」
「そのため、虐げられてきた国中の人々から憎しみの対象となっております。」
「なので、国主様に王城を明け渡した後に、野に下るつもりでいたのですが…。」
神次が返す。
「……、行く当てはあるのか?」
武術マスターが訊ねたところ、
「いいえ。」
「城を出てから、皆で話し合う予定です。」
神次が気落ちしたかのように俯いた。
「ならば、生まれ変わるヒッダーの為に尽力し、信頼回復に努めよ。」
「そなたらが、これまでどおり都で生活することを許す。」
「ま、地位は剝奪させてもらうがのッ。」
優しげな目をする利通に、
「お、あ…、ありがとうございます。」
心より感謝した神次に司教らが、深々と頭を下げる……。
とりあえずは、武術マスターや、その息子(次男)に、此度の最高幹部らと、五千程のミーノン兵達が、王城を使う運びとなった。
利通などの数名は、神次たちの先導にて、[宝物庫]に訪れている。
「よくも、また、集めおったのぉー。」
山積みとなっている金銀財宝に呆れた武術マスターではあったが、
「しかし、まぁ、これらを投資に回せば、国民は必ずや豊かになるじゃろう。」
前向きに検討していくみたいだ。
とにもかくにも、
「詳細な分配は会議で決めていくとして…、まずは、戦の恩賞を与えていくとするかの。」
「功労第一位は、間違いなく、“ゴッド・スレイヤーズ”であろうぞ。」
どこか嬉しそうに笑みを浮かべる利通だった―。
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