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― 第五章・魔の領域 ―
第229話 鬼姫もまた・・・・。
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日が傾くなか、恩賞を貰う約束となっていた者らが、城の[玉座の間]に呼び集められている。
なお、そこに在った“豪壮な玉座”は、〝偉そうだ〟との理由で、鬼王が既に破壊したそうだ。
このため、彼は、[妖怪の国]から持ち運ばせていた“簡易的な椅子”に腰かけていた。
さて。
“武功第一”の[ゴッド・スレイヤーズ]には、11万枚の金貨が授与されたのである。
驚きを隠せない紫蓮達に、
「最も多く神々を討ったのだから、これぐらい当然だ。」
「なぁに、奴らは金銀財宝を山のように溜め込んでおった故、案ずるな。」
「まだまだ余りあるわい。」
「それらは、この国の発展繫栄を促すために投資していく予定だ。」
〝ニカッ〟と笑みを浮かべる鬼王だった。
〝ふ…む〟と納得する紫蓮らに、
「ところで……。」
「お主たちは、これからどうするつもりだ??」
「何も決まっておらねば、我に仕えてみんか?」
「かなりの手練れ揃いだからな、優遇するぞ。」
鬼王が提案する。
それに対して、
「いや、〝神どもを殲滅する〟という目的があるので、遠慮させていただきたい。」
「この国に残っている神々は、もはや雑魚ばかりだろうから、他へ旅立とうと思っている、…、います。」
「近隣の神国が攻めてくるのであれば、暫くは滞在するけど……。」
このように返す紫蓮であった。
「うぅ~む。」
「どうであろうな??」
「この大陸の神どもは、基本的に“魔族”を警戒しておるようだから、我らとは迂闊に戦を行なおうとはせんだろう。」
「魔王軍に背後を突かれるのを危惧して。」
「まぁ、我としても、友好を結んでおる魔族との関係を強化して、東陸の神々を牽制するつもりだからな。」
「そうなれば、より一層に攻撃は仕掛けてこれぬであろう。」
「この間に“第四神国”を完全制圧して、内政を充実させていきたい。」
「要は〝新たな土台造りに専念したい〟という事だ。」
「そのためにも、数日中には魔王のもとへ使者を…、お、そうだ。」
「こちらの“交渉班”と共に赴いてみるのは、どうか?」
「魔族であれば、そのうち、神々と争う可能性が高いであろうからな。」
「よければ“紹介状”を用意してやろうぞ。」
鬼王の申し出に、紫蓮が黙して考える。
彼の左斜め後ろから、
「無理する必要はありませんよ。」
「紫蓮の幼馴染が魔王軍との戦いで亡くなったのは、仲間の全員が知っていますので、別の選択肢を探しても構わないかと。」
「貴方にとって、魔族は“憎き仇”でしょうし。」
そう気遣ったのは、[魔術士]のタリアノだった。
後ろを振り向いた紫蓮が、
「あの時、魔王軍は自分らの領土を守ろうとしただけのことだから、もう恨んでなどはいない。」
「そもそも、“悪の根源”は神どもだしな。」
軽く〝ふぅー〟と息を吐いて、
「“魔の領域”に向かう。」
「それで、いいか??」
皆を窺う。
この意見に、各自が〝おう!!〟や〝うむ!〟といった具合に応じた流れで、
「面白そうじゃ!!」
「妾も加わろう!」
嬉々としたのは、“鬼王の次女”こと、百桃星である。
「は?!」
「どういう意味だ?」
鬼王が目を丸くしたところ、
「“GOD SLAYER’S”の一員となって、世の中を巡り、見聞を広めたい!」
「父上!! 何卒ご許可を!」
百桃星が会釈した。
〝むぅ~ッ〟と困り顔になる鬼王に、
「よろしいのでは??」
「それが、この娘の成長に繋がるのであれば。」
妃が声をかける。
「一理あるが……、お主らにとっては迷惑だろう?」
鬼王に訊かれ、
「全然いいよな??」
紫蓮が確認したら、揃って〝うん うん〟と頷くパーティーメンバーであった。
「おお―ッ!!」
「ありがたい!」
大喜びする百桃星に、
「ただし!!」
「条件があります。」
「あなたの護衛係を、私と陛下に決めさせなさい。」
「それを呑まないのであれば、故郷に帰しますよ!」
“鬼王の妻”が言い放つ。
それによって、
「分かりました。」
「母上に従いましょう。」
先ほどよりも深々と頭を下げる百桃星だった―。
なお、そこに在った“豪壮な玉座”は、〝偉そうだ〟との理由で、鬼王が既に破壊したそうだ。
このため、彼は、[妖怪の国]から持ち運ばせていた“簡易的な椅子”に腰かけていた。
さて。
“武功第一”の[ゴッド・スレイヤーズ]には、11万枚の金貨が授与されたのである。
驚きを隠せない紫蓮達に、
「最も多く神々を討ったのだから、これぐらい当然だ。」
「なぁに、奴らは金銀財宝を山のように溜め込んでおった故、案ずるな。」
「まだまだ余りあるわい。」
「それらは、この国の発展繫栄を促すために投資していく予定だ。」
〝ニカッ〟と笑みを浮かべる鬼王だった。
〝ふ…む〟と納得する紫蓮らに、
「ところで……。」
「お主たちは、これからどうするつもりだ??」
「何も決まっておらねば、我に仕えてみんか?」
「かなりの手練れ揃いだからな、優遇するぞ。」
鬼王が提案する。
それに対して、
「いや、〝神どもを殲滅する〟という目的があるので、遠慮させていただきたい。」
「この国に残っている神々は、もはや雑魚ばかりだろうから、他へ旅立とうと思っている、…、います。」
「近隣の神国が攻めてくるのであれば、暫くは滞在するけど……。」
このように返す紫蓮であった。
「うぅ~む。」
「どうであろうな??」
「この大陸の神どもは、基本的に“魔族”を警戒しておるようだから、我らとは迂闊に戦を行なおうとはせんだろう。」
「魔王軍に背後を突かれるのを危惧して。」
「まぁ、我としても、友好を結んでおる魔族との関係を強化して、東陸の神々を牽制するつもりだからな。」
「そうなれば、より一層に攻撃は仕掛けてこれぬであろう。」
「この間に“第四神国”を完全制圧して、内政を充実させていきたい。」
「要は〝新たな土台造りに専念したい〟という事だ。」
「そのためにも、数日中には魔王のもとへ使者を…、お、そうだ。」
「こちらの“交渉班”と共に赴いてみるのは、どうか?」
「魔族であれば、そのうち、神々と争う可能性が高いであろうからな。」
「よければ“紹介状”を用意してやろうぞ。」
鬼王の申し出に、紫蓮が黙して考える。
彼の左斜め後ろから、
「無理する必要はありませんよ。」
「紫蓮の幼馴染が魔王軍との戦いで亡くなったのは、仲間の全員が知っていますので、別の選択肢を探しても構わないかと。」
「貴方にとって、魔族は“憎き仇”でしょうし。」
そう気遣ったのは、[魔術士]のタリアノだった。
後ろを振り向いた紫蓮が、
「あの時、魔王軍は自分らの領土を守ろうとしただけのことだから、もう恨んでなどはいない。」
「そもそも、“悪の根源”は神どもだしな。」
軽く〝ふぅー〟と息を吐いて、
「“魔の領域”に向かう。」
「それで、いいか??」
皆を窺う。
この意見に、各自が〝おう!!〟や〝うむ!〟といった具合に応じた流れで、
「面白そうじゃ!!」
「妾も加わろう!」
嬉々としたのは、“鬼王の次女”こと、百桃星である。
「は?!」
「どういう意味だ?」
鬼王が目を丸くしたところ、
「“GOD SLAYER’S”の一員となって、世の中を巡り、見聞を広めたい!」
「父上!! 何卒ご許可を!」
百桃星が会釈した。
〝むぅ~ッ〟と困り顔になる鬼王に、
「よろしいのでは??」
「それが、この娘の成長に繋がるのであれば。」
妃が声をかける。
「一理あるが……、お主らにとっては迷惑だろう?」
鬼王に訊かれ、
「全然いいよな??」
紫蓮が確認したら、揃って〝うん うん〟と頷くパーティーメンバーであった。
「おお―ッ!!」
「ありがたい!」
大喜びする百桃星に、
「ただし!!」
「条件があります。」
「あなたの護衛係を、私と陛下に決めさせなさい。」
「それを呑まないのであれば、故郷に帰しますよ!」
“鬼王の妻”が言い放つ。
それによって、
「分かりました。」
「母上に従いましょう。」
先ほどよりも深々と頭を下げる百桃星だった―。
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