GOD SLAYER’S

猫乃麗雅

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― 第五章・魔の領域 ―

第230話 首途

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その夜は、祝勝会となった。

城内はもとより、外でも、飲食が楽しまれている。

庭の一角で語らっているのは、[ゴッド・スレイヤーズ]と[餓狼がろう蒼群そうぐん]であった。

ちなみに、この場には、百桃星ももせの姿はない。

鬼王きおうの娘 = 姫〟という立場から、城の“宴会場”に居るようだ。

さて。

背丈が168㎝くらいで、銀髪ロングの褐色肌に、30代後半ばといった、ルギーが、

「“魔族の領土”に赴くのは決定なの?」

ふと尋ねた。

「ええ、そうですが……。」
「やはり、危険なのでしょうか??」

そのように質問したのは、[弓術士]のランソワである。

「いえ、噂によれば、人間や獣人に妖精なども、それなりに優遇されているらしいわ。」
「要は、〝世界中の神国しんこくみたいに、他種族を奴隷のようには扱っていない〟とのことよ。」
「ただ…、要職に就いているのは魔族ばかりみたいね。」
「それでも、〝種族に関係なく割と住みやすい環境になっている〟て、以前、知り合った冒険者の一団が話していたわ。」
「まぁ、その人たちも魔族領に足を踏み入れた事がないから、実情は分からないようだったけれども。」

ルギーの説明を受けて、紫蓮しれんらが〝成程〟と理解を示したのだった……。


二日後の朝――。

王城のエントランスには、[鬼の一族]と、数体の妖怪に、[GOD SLAYER’S]が、集まっている。

「魔王との交渉は臨機応変にな。」

部下に念を押した鬼王が、

「“紹介状”と、外交官らを護衛する報酬は、百桃星に持たせてある。」
「面倒を掛けてすまんが、いろいろと頼んだぞ。」

パーティーのリーダーである紫蓮に伝えた。

紫蓮が首を縦に振ったところで、

「それでは、行って参ります!」

ほがらかに告げた百桃星である。

「うむ。」

父と、

「あまり迷惑にならないようにしなさいね。」

母を軸に、

「達者でな。」

羽目はめを外し過ぎないように。」

「お元気で!!」

兄・姉・弟が、見送っていた。


百桃星は、五体の妖怪を連れている。

もともと、“ぬえ”だけが、彼女のサーヴァントであった。

ここに四体が加わったことになる。

なんでも、それまでは島で生活していたので、あまり必要性を感じなかったそうだ。

しかし、旅に出るのであれば、[鬼姫]の安全面を今までよりも一層に考慮しなければならない。

こうした理由で、昨日のうちに、両親が選んだ妖怪と、百桃星が、契約を済ませたとの事だった…。


一同は、“北側の城門”に向かって、歩いている。

門の側には[餓狼の蒼群]が佇んでいた。

ルギーたちは、まだ暫く残って、傭兵として稼ぐのだそうだ。

鬼王が国を完全制圧するまでは雇ってもらえるらしいので。

「いつかまた、機会があったら。」

ルギーが優しく微笑み、

「ああ。」

紫蓮を筆頭に、メンバーの誰もが、穏やかに頷く。

なお、ランソワは、ルギーと固い握手を交わしたようだ。

かくして、“魔王の支配地”を目指す紫蓮達であった―。
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