230 / 267
― 第五章・魔の領域 ―
第230話 首途
しおりを挟む
その夜は、祝勝会となった。
城内はもとより、外でも、飲食が楽しまれている。
庭の一角で語らっているのは、[ゴッド・スレイヤーズ]と[餓狼の蒼群]であった。
ちなみに、この場には、百桃星の姿はない。
〝鬼王の娘 = 姫〟という立場から、城の“宴会場”に居るようだ。
さて。
背丈が168㎝くらいで、銀髪ロングの褐色肌に、30代後半ばといった、ルギーが、
「“魔族の領土”に赴くのは決定なの?」
ふと尋ねた。
「ええ、そうですが……。」
「やはり、危険なのでしょうか??」
そのように質問したのは、[弓術士]のランソワである。
「いえ、噂によれば、人間や獣人に妖精なども、それなりに優遇されているらしいわ。」
「要は、〝世界中の神国みたいに、他種族を奴隷のようには扱っていない〟とのことよ。」
「ただ…、要職に就いているのは魔族ばかりみたいね。」
「それでも、〝種族に関係なく割と住みやすい環境になっている〟て、以前、知り合った冒険者の一団が話していたわ。」
「まぁ、その人たちも魔族領に足を踏み入れた事がないから、実情は分からないようだったけれども。」
ルギーの説明を受けて、紫蓮らが〝成程〟と理解を示したのだった……。
二日後の朝――。
王城のエントランスには、[鬼の一族]と、数体の妖怪に、[GOD SLAYER’S]が、集まっている。
「魔王との交渉は臨機応変にな。」
部下に念を押した鬼王が、
「“紹介状”と、外交官らを護衛する報酬は、百桃星に持たせてある。」
「面倒を掛けてすまんが、いろいろと頼んだぞ。」
パーティーのリーダーである紫蓮に伝えた。
紫蓮が首を縦に振ったところで、
「それでは、行って参ります!」
朗らかに告げた百桃星である。
「うむ。」
父と、
「あまり迷惑にならないようにしなさいね。」
母を軸に、
「達者でな。」
「羽目を外し過ぎないように。」
「お元気で!!」
兄・姉・弟が、見送っていた。
百桃星は、五体の妖怪を連れている。
もともと、“鵺”だけが、彼女のサーヴァントであった。
ここに四体が加わったことになる。
なんでも、それまでは島で生活していたので、あまり必要性を感じなかったそうだ。
しかし、旅に出るのであれば、[鬼姫]の安全面を今までよりも一層に考慮しなければならない。
こうした理由で、昨日のうちに、両親が選んだ妖怪と、百桃星が、契約を済ませたとの事だった…。
一同は、“北側の城門”に向かって、歩いている。
門の側には[餓狼の蒼群]が佇んでいた。
ルギーたちは、まだ暫く残って、傭兵として稼ぐのだそうだ。
鬼王が国を完全制圧するまでは雇ってもらえるらしいので。
「いつかまた、機会があったら。」
ルギーが優しく微笑み、
「ああ。」
紫蓮を筆頭に、メンバーの誰もが、穏やかに頷く。
なお、ランソワは、ルギーと固い握手を交わしたようだ。
かくして、“魔王の支配地”を目指す紫蓮達であった―。
城内はもとより、外でも、飲食が楽しまれている。
庭の一角で語らっているのは、[ゴッド・スレイヤーズ]と[餓狼の蒼群]であった。
ちなみに、この場には、百桃星の姿はない。
〝鬼王の娘 = 姫〟という立場から、城の“宴会場”に居るようだ。
さて。
背丈が168㎝くらいで、銀髪ロングの褐色肌に、30代後半ばといった、ルギーが、
「“魔族の領土”に赴くのは決定なの?」
ふと尋ねた。
「ええ、そうですが……。」
「やはり、危険なのでしょうか??」
そのように質問したのは、[弓術士]のランソワである。
「いえ、噂によれば、人間や獣人に妖精なども、それなりに優遇されているらしいわ。」
「要は、〝世界中の神国みたいに、他種族を奴隷のようには扱っていない〟とのことよ。」
「ただ…、要職に就いているのは魔族ばかりみたいね。」
「それでも、〝種族に関係なく割と住みやすい環境になっている〟て、以前、知り合った冒険者の一団が話していたわ。」
「まぁ、その人たちも魔族領に足を踏み入れた事がないから、実情は分からないようだったけれども。」
ルギーの説明を受けて、紫蓮らが〝成程〟と理解を示したのだった……。
二日後の朝――。
王城のエントランスには、[鬼の一族]と、数体の妖怪に、[GOD SLAYER’S]が、集まっている。
「魔王との交渉は臨機応変にな。」
部下に念を押した鬼王が、
「“紹介状”と、外交官らを護衛する報酬は、百桃星に持たせてある。」
「面倒を掛けてすまんが、いろいろと頼んだぞ。」
パーティーのリーダーである紫蓮に伝えた。
紫蓮が首を縦に振ったところで、
「それでは、行って参ります!」
朗らかに告げた百桃星である。
「うむ。」
父と、
「あまり迷惑にならないようにしなさいね。」
母を軸に、
「達者でな。」
「羽目を外し過ぎないように。」
「お元気で!!」
兄・姉・弟が、見送っていた。
百桃星は、五体の妖怪を連れている。
もともと、“鵺”だけが、彼女のサーヴァントであった。
ここに四体が加わったことになる。
なんでも、それまでは島で生活していたので、あまり必要性を感じなかったそうだ。
しかし、旅に出るのであれば、[鬼姫]の安全面を今までよりも一層に考慮しなければならない。
こうした理由で、昨日のうちに、両親が選んだ妖怪と、百桃星が、契約を済ませたとの事だった…。
一同は、“北側の城門”に向かって、歩いている。
門の側には[餓狼の蒼群]が佇んでいた。
ルギーたちは、まだ暫く残って、傭兵として稼ぐのだそうだ。
鬼王が国を完全制圧するまでは雇ってもらえるらしいので。
「いつかまた、機会があったら。」
ルギーが優しく微笑み、
「ああ。」
紫蓮を筆頭に、メンバーの誰もが、穏やかに頷く。
なお、ランソワは、ルギーと固い握手を交わしたようだ。
かくして、“魔王の支配地”を目指す紫蓮達であった―。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
27
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる