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第二章 愛される末っ子姫
第7話 怒り
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ハリナが戻ってきたときには、そこにはセリアがいた。
「ハリナ。どうだったの?」
「皇女殿下を狙っているのがいるのは間違いないわ。非公式に依頼とかもされているらしいし」
酒場で聞いたことなので、本当の情報かはわからないが、火のない所に煙は立たないとも言うので、大まかな部分では事実なのだろう。
「じゃあ、私が処理したのは、依頼を受けたやつの可能性が高いわね。売るとか言っていたから、てっきり人身売買だと思っていたけど」
「……まさか、殺したんじゃないでしょうね?」
「そんなわけないじゃない。そんな簡単には死なせないわよ。月明かりの塔に送っておいたわ」
ふふと笑っているセリアに、ハリナも笑みがこぼれる。
「それじゃあ、陛下はもちろんのこと、第五皇子殿下と、第三皇女殿下にもご報告しておきましょうか」
「いえいえ、第二皇女殿下にもご報告いたしましょう」
そう言って、二人はフィレンティアたちがいる方に歩きだした。
ルンルン気分になっているローランドとアマリリスを、フィレンティアが冷めたような目で見ている。そこに、ハリナとセリアがよってくる。
服を買うことに夢中になっている二人は気づかなかったが、フィレンティアは二人の存在に気がついた。
「きたの?」
フィレンティアが声をかけたことによって、ローランドとアマリリスも二人の存在に気づく。
「どうした?」
「第五皇子殿下と第三皇女殿下にお話したいことがございまして」
「あら、なによ」
「この場では……」
そう言いながら、フィレンティアの方に視線を向ける。フィレンティアは、一瞬ハリナと目が合ったことに首をかしげたが、大して気には止めなかった。
ハリナの視線の意図に気がついた二人は、フィレンティアに声をかける。
「ティア。セリアと一緒に、先に帰っててくれる?」
「私たちは、もうちょっとここで買い物してるから」
「……うん。わかった」
「では、参りましょうか」
セリアと手を繋ぎながら、フィレンティアが出ていく。フィレンティアの姿が見えなくなるまで手を振り、見えなくなったら、店主の方に顔を向ける。
「お金は後で払うわ。ちゃんと取っておきなさい」
「は、はい!承知しました!」
本来なら、お金も払っていないのに店を出ていくなんて、止めるに決まっているのだが、皇族である彼らの歩みは止められない。
それに、彼らは約束事はちゃんと守るタイプだ。冷血な一族と呼ばれているが、それは、彼らの逆鱗に触れるような行いをしていたからであって、それさえしなければ、彼らは義理堅い一族だ。
それでも、店主にとっては、皇族は恐ろしい存在でしかなかった。
* * *
ハリナが、ローランドとアマリリスを連れて、路地裏に来る。
「それで、何の用なのよ?」
「ここで怒って魔力を暴走させたりしないでくださいよ?」
「気をつけるから、もったいぶってないで話してくれない?」
(あなたが一番心配なんですけど……)
ハリナはそう思いながら、ローランドの方を見る。でも、こう言っているなら大丈夫かと思って、話し出した。
「フィレンティア皇女殿下を売り飛ばそうとする輩がーー」
そこまで言うと、二人の表情が無になった。それは、どこからどう見てもキレる寸前だ。
「……そいつら、どこにいるの?」
「月明かりの塔にセリアが送ったそうですので、詳細は彼女からお聞きください。私はこの後、陛下と第二皇女殿下にもお話しますので」
「わかったわ。教えてくれてありがとう」
アマリリスがハリナに笑みを向けながらお礼を言う。そして、「行ってくるわ」と言って、転移した。
「じゃあ、僕もーー」
「第五皇子殿下。私はあの数の服を買うほどのお金は持っていませんが」
そう言われて、服を買おうとしていたところだったのを思い出した。
ローランドは、懐から何枚か金貨を取り出す。
「これだけあれば足りるでしょ。それじゃあ、行ってくるね!」
そう言って、ローランドも転移した。ハリナは、そのお金を持って、服屋に向かった。
「ハリナ。どうだったの?」
「皇女殿下を狙っているのがいるのは間違いないわ。非公式に依頼とかもされているらしいし」
酒場で聞いたことなので、本当の情報かはわからないが、火のない所に煙は立たないとも言うので、大まかな部分では事実なのだろう。
「じゃあ、私が処理したのは、依頼を受けたやつの可能性が高いわね。売るとか言っていたから、てっきり人身売買だと思っていたけど」
「……まさか、殺したんじゃないでしょうね?」
「そんなわけないじゃない。そんな簡単には死なせないわよ。月明かりの塔に送っておいたわ」
ふふと笑っているセリアに、ハリナも笑みがこぼれる。
「それじゃあ、陛下はもちろんのこと、第五皇子殿下と、第三皇女殿下にもご報告しておきましょうか」
「いえいえ、第二皇女殿下にもご報告いたしましょう」
そう言って、二人はフィレンティアたちがいる方に歩きだした。
ルンルン気分になっているローランドとアマリリスを、フィレンティアが冷めたような目で見ている。そこに、ハリナとセリアがよってくる。
服を買うことに夢中になっている二人は気づかなかったが、フィレンティアは二人の存在に気がついた。
「きたの?」
フィレンティアが声をかけたことによって、ローランドとアマリリスも二人の存在に気づく。
「どうした?」
「第五皇子殿下と第三皇女殿下にお話したいことがございまして」
「あら、なによ」
「この場では……」
そう言いながら、フィレンティアの方に視線を向ける。フィレンティアは、一瞬ハリナと目が合ったことに首をかしげたが、大して気には止めなかった。
ハリナの視線の意図に気がついた二人は、フィレンティアに声をかける。
「ティア。セリアと一緒に、先に帰っててくれる?」
「私たちは、もうちょっとここで買い物してるから」
「……うん。わかった」
「では、参りましょうか」
セリアと手を繋ぎながら、フィレンティアが出ていく。フィレンティアの姿が見えなくなるまで手を振り、見えなくなったら、店主の方に顔を向ける。
「お金は後で払うわ。ちゃんと取っておきなさい」
「は、はい!承知しました!」
本来なら、お金も払っていないのに店を出ていくなんて、止めるに決まっているのだが、皇族である彼らの歩みは止められない。
それに、彼らは約束事はちゃんと守るタイプだ。冷血な一族と呼ばれているが、それは、彼らの逆鱗に触れるような行いをしていたからであって、それさえしなければ、彼らは義理堅い一族だ。
それでも、店主にとっては、皇族は恐ろしい存在でしかなかった。
* * *
ハリナが、ローランドとアマリリスを連れて、路地裏に来る。
「それで、何の用なのよ?」
「ここで怒って魔力を暴走させたりしないでくださいよ?」
「気をつけるから、もったいぶってないで話してくれない?」
(あなたが一番心配なんですけど……)
ハリナはそう思いながら、ローランドの方を見る。でも、こう言っているなら大丈夫かと思って、話し出した。
「フィレンティア皇女殿下を売り飛ばそうとする輩がーー」
そこまで言うと、二人の表情が無になった。それは、どこからどう見てもキレる寸前だ。
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「わかったわ。教えてくれてありがとう」
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「じゃあ、僕もーー」
「第五皇子殿下。私はあの数の服を買うほどのお金は持っていませんが」
そう言われて、服を買おうとしていたところだったのを思い出した。
ローランドは、懐から何枚か金貨を取り出す。
「これだけあれば足りるでしょ。それじゃあ、行ってくるね!」
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