16 / 34
haze
2-9 【※過激挿絵あり】
しおりを挟む
「暖房、何度にしよう」
ベッドの脇に腰掛け、リモコンを操作する。
「ねぇ、聞いてる?」
昂良、と言いかけた口を唇で塞がれる。前触れなく落ちてきた暗闇は、始まりの合図だ。諦めてオートモードにし、キスの続きを受け入れる。余程飢えていたのか、今日はやけに性急だった。
裾から侵入してきた手が素肌を弄り始め、そのまま押し倒す。顎を伝って鎖骨まで降りてきた唇は、五日前と同じ場所に吸い付き、消え掛かっていた痣を再生させた。
体が密着し、心地良い甘さを含んだ柑橘系の香りに包まれる。
昂良が好んで使っている香水の香りだ。朔斗はこの香りを“昂良の匂い”として認識している。
セックスの前は二人ともシャワーを浴びるのがルーティンになっていた。故に、普段のボディソープとは全然違う香水の香りは、昂良に抱かれているという事実を一層鮮明にする。
よく知った匂いがそばに在るというのは、思っている以上に心を安堵させるらしい。
「ずっとこうしたかった……」
彼のものは布越しでも分かる程に膨張していた。息遣いを聞けば、心身が限界に近付いている事も容易く察知できる。けれど胸を愛撫する手はやけに懇篤で、目には見えないはずの愛念を直に体感する。
――――出張先で他の誰かとセックスするんじゃ無いか、と言うのは要らぬ心配だったようだ。
同時に、ただセックスに付き合っているだけなのにそんな心配をしてしまった自分が、急に馬鹿らしくなる。
今自分を愛撫するこの手は、これまで不特定多数の人間に触れてきたのだ。所詮、自分だけが知っているものではない。
ぼんやりとした思考が、不意に下半身を撫でた冷気によって遮断される。
冷気よりさらに冷たい液体が狭間に垂れ、中に指が入ってくる。丁寧に内側を濡らす指は感覚に慣れる前に増え、朔斗は我知らず昂良の服を掴んだ。
「ア、ぅあ……ッ」
二本の長い指が、深い場所と浅い場所を行き来する。淫猥な水音は徐々に激しくなっていき、意識せざるを得なくなる。
上半身の衣類と靴下が、体温の上昇に加担して、発熱しているんじゃないかと思うほど熱い。
またローションが足される。熱くなっているそこに注がれる冷たさには、毎回身が竦む。
「今日後ろからしていい?」
埋め込んだ三本の指で中を潤しながら、昂良が耳打ちする。
正直、後背位はあまり好きではない。意思に関係なく初めての時が蘇り、身が強張ってしまうからだ。
けれどこれは――――昂良の為の行為なのだから、ただ与えるのが、たった一つの自分の役目だ。
返事をする代わりに起き上がり、自ら四つん這いになる。
蕩かされた窄まりに冷たい粘液が垂れる。直後、熱いものが宛てがわれ、朔斗は反射的にシーツを握った。
ベッドの脇に腰掛け、リモコンを操作する。
「ねぇ、聞いてる?」
昂良、と言いかけた口を唇で塞がれる。前触れなく落ちてきた暗闇は、始まりの合図だ。諦めてオートモードにし、キスの続きを受け入れる。余程飢えていたのか、今日はやけに性急だった。
裾から侵入してきた手が素肌を弄り始め、そのまま押し倒す。顎を伝って鎖骨まで降りてきた唇は、五日前と同じ場所に吸い付き、消え掛かっていた痣を再生させた。
体が密着し、心地良い甘さを含んだ柑橘系の香りに包まれる。
昂良が好んで使っている香水の香りだ。朔斗はこの香りを“昂良の匂い”として認識している。
セックスの前は二人ともシャワーを浴びるのがルーティンになっていた。故に、普段のボディソープとは全然違う香水の香りは、昂良に抱かれているという事実を一層鮮明にする。
よく知った匂いがそばに在るというのは、思っている以上に心を安堵させるらしい。
「ずっとこうしたかった……」
彼のものは布越しでも分かる程に膨張していた。息遣いを聞けば、心身が限界に近付いている事も容易く察知できる。けれど胸を愛撫する手はやけに懇篤で、目には見えないはずの愛念を直に体感する。
――――出張先で他の誰かとセックスするんじゃ無いか、と言うのは要らぬ心配だったようだ。
同時に、ただセックスに付き合っているだけなのにそんな心配をしてしまった自分が、急に馬鹿らしくなる。
今自分を愛撫するこの手は、これまで不特定多数の人間に触れてきたのだ。所詮、自分だけが知っているものではない。
ぼんやりとした思考が、不意に下半身を撫でた冷気によって遮断される。
冷気よりさらに冷たい液体が狭間に垂れ、中に指が入ってくる。丁寧に内側を濡らす指は感覚に慣れる前に増え、朔斗は我知らず昂良の服を掴んだ。
「ア、ぅあ……ッ」
二本の長い指が、深い場所と浅い場所を行き来する。淫猥な水音は徐々に激しくなっていき、意識せざるを得なくなる。
上半身の衣類と靴下が、体温の上昇に加担して、発熱しているんじゃないかと思うほど熱い。
またローションが足される。熱くなっているそこに注がれる冷たさには、毎回身が竦む。
「今日後ろからしていい?」
埋め込んだ三本の指で中を潤しながら、昂良が耳打ちする。
正直、後背位はあまり好きではない。意思に関係なく初めての時が蘇り、身が強張ってしまうからだ。
けれどこれは――――昂良の為の行為なのだから、ただ与えるのが、たった一つの自分の役目だ。
返事をする代わりに起き上がり、自ら四つん這いになる。
蕩かされた窄まりに冷たい粘液が垂れる。直後、熱いものが宛てがわれ、朔斗は反射的にシーツを握った。
応援ありがとうございます!
21
お気に入りに追加
127
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる