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島での最初の仲間

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2匹の狼はかなり大きい。オスの方は2メートルほどある。メスの方はオスよりもひとまわり小さい。2匹とも綺麗な銀色の毛並みをしている。

オスもメスも胸のあたりを刺されていたが、今は傷は完全に塞がっていて、血もきれいに洗い流した。失血分の輸血は魔法ではできないので、そこは自然治癒にゆだねるしかない。

2匹とも眠っているが、呼吸は安定していて、恐らく持ち直すんじゃないか、と思う。

リトマス紙は2匹とも赤になった。

夜、小屋の外で、狼の遠吠えが聞こえた。昨夜とは違い、森から出て来ることはなかった。

朝、起きたら、ベッドの上にメスの方の狼が寝ていた。母さんを見ると、オスの狼がベッドの下でうつぶせになっている。

凄い回復力だ。もう2匹とも問題ないようだ。

俺は狼の毛並みを撫でてやった。すると目を開けて嬉しそうに首を摺り寄せてくる。

これ、犬といっしょだ。名前をつけよう。

オスを「ショパン」、メスを「もぐ」とつけた。前世で飼っていた犬の名前だ。

もぐを連れて、昨日仕掛けた魚の網を見に行った。びっくりするほどの大漁だった。魚、飢えてるのかな。

リトマス紙で確認したところ、1匹だけ青い魚がいた。毒でもあるのだろうか。そのほかは全部赤だった。

もぐが珍しそうに魚を見ている。

「これ、見たことないか?」

(ない)

「え? しゃべった!? これ食べたことある?」

(ない)

話しているのではなく、脳に直接話しかけてきているんだ。

「言葉わかるの」

(考えていることが伝わってくる)

「そうなんだ。ケガの調子はどう?」

(問題ない。助けてもらって、兄ともども感謝している)

「えっと、まずは小屋に帰ろうか。この魚、母さんに料理してもらおう」

小屋に戻ると母さんがショパンと話をしているようだった。

「母さん、話した?」

「うん、驚いたわ。この子たち話せるのね」

彼女たちは狼ではなくフェンリルという種族だという。

彼女の名前はレラ、兄の名はギンだそうだ。もぐとショパンの名前は却下しよう。あの犬どもはバカだったから、彼女たちには似つかわしくない。

残りの5匹は家族らしい。両親と兄弟の7匹で暮らしているという。フェンリルはこの7匹のみで、驚いたことにもう300年以上この島で暮らしているらしい。

島にはほかにも魔獣がたくさんいて、昨日戦っていたのはアラクネという蜘蛛の魔獣で、いつもは戦わないのだが、昨日は縄張りに入ってきたので、迎撃したとのことだ。多分、俺たちを見に来たのではないかという。

小屋はフェンリルの縄張り内にあり、昨夜は昔住んでいた人間が戻ってきたのかと思ったらしいのだが、においが違うので、威嚇しようとしたらしい。たが、エサをくれたので、あれ? って感じになり、少し様子を見るつもりだったらしい。

(とりあえず怪我も治ったので、いったん家に帰りたい)

「もちろん、どうぞ。いつでも遊びにきてね」

フェンリルは森に帰っていった。

そして、数時間後、7匹のフェンリルが揃って小屋にやって来た。
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