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島への上陸

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島につくと、マイクおじさんたちが、俺と母さんを船着き場から見えた小屋まで送ってくれた。

小屋はもう人が住んでいないようで、ボロボロだった。雨漏りだらけで、部屋の中にはキノコが沢山生えていた。

すると、マイクおじさんたちが、すぐに小屋の修理を始めてくれた。船の修理道具を使って、器用に修復をしてくれる。そして、日が暮れる前までには、小綺麗な小屋に変身していた。

「夜は魔獣が出るから、絶対に小屋から出ないようにしてくだせえ。あっしたちは伯爵様に報告が必要ですから、帰りやすが、また、必ず様子を見に来やす。絶対に無理はしないで下せえよ」

そう言って、マイクおじさんたちは心配しながらも、大陸に帰って行った。

マイクおじさんたちを送っていき、母さんと部屋に戻ると、暖炉も作られていて、火が入れられていた。小屋の廃材で予備の薪まで用意してくれている。リトマス紙の力があったとはいえ、優しくしてくれたのは彼らの善意だ。彼らの気持ちがこの暖炉と同じように非常に暖かく感じられた。

母さんは俺と2人で楽しそうだった。持ってきた食料で簡単に夕食を済ませたが、母さんは自分の故郷の話や、亡くなった両親のことなどを夢中になって話してくれた。

話の途中で、外で物音が聞こえたような気がした。

2人とも会話をやめて、耳を澄ます。外は完全に日が暮れていて、虫の鳴く声と海の波の音が聞こえる。

小屋は屋根の部分がかなり痛んでいたが、側面はログハウスで、そこそこ頑丈だ。小さな丸い窓から外の様子を見た。魔獣対策のため、窓は極力小さく作ったとマイクおじさんたちが言っていたことを思い出した。

月明りの中で、数匹の狼のような魔獣が、森から出て来て、小屋の様子を見ている。

試しにリトマス紙を使ってみる。

神にも使えたので、生き物なら何にでも使えると思ったのだ。意外にも狼のような魔獣は紫だった。

餌付け出来るのかもしれない。そう思って、玄関を開け、食料を放り投げ、素早く玄関を閉めた。

食料は貴重だが、俺と母さんが食料になってしまっては元も子もない。

狼たちは警戒していたが、食料が投げられて、唖然としているようだった。なんだか人間くさい動きだな、と思っていると、やがて一匹の狼が、食料を奪って森の中に消えて行った。

何度か同じようなことを繰り返し、全部で狼7匹に食料を与えたところで、彼らは森の中に帰っていった。

俺と母さんはしばらく窓から外を見ていたが、狼が戻ってくる気配がないため、安心して干し草のベッドの上で2人で体を寄せ合って寝た。

一緒に寝ようと母さんに誘われたときは、恥ずかしくて断ったのだが、今日だけと懇願してくるので、今日だけという約束でいっしょに寝た。

頭の中では母親だと理解してはいるが、心の中ではまだ綺麗なお姉さんのローズさんという部分が残っていて、何とも奇妙な感覚なのだ。

でも、いろいろとあった1日だったので、身も心も疲れていたのか、すぐに寝入ってしまった。

明日、事態は好転する
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