最も過激で最も普通

ぽあ

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7月

万事部とは。

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「いやー!ごめんなぁ、つい凄んでしまったわ!あははっ!」
「あ、いえ…大丈夫デス。あ、はは…」


『よろずぶ』の部室に連れていかれた俺は、あのヤンキー先輩(仮)に、至れり尽くせりの高待遇を受けていた。

部室の机(何故か切込みがたくさんある)には
お茶菓子が次々と用意され、なんとどこから取り出したのか不明のクラッカーまで鳴らされてしまった。

先程までとの印象に戸惑いつつ、俺はヤンキー先輩にされるがままの状態。
先輩はやけにハイテンションだ。

「俺、3年の田中康仁(たなかやすひと)。万事部のリーダー!よろしくな!」
「あ、鈴木晴斗です!よろしくお願いします」
「ん、ハルティーね。りょーかいりょーかい」

田中先輩は俺の事をさっそくあだ名で呼ぶと、
壁にかかっているカレンダーを指さした。

「にしてもさぁハルティーよぉ。こんな時期に入部してくれるなんて。ビックリするわぁ」

カレンダーには、大きく7という数字が刻まれている。
そう、現在は7月。
もうすぐ夏休みである。

「実は…俺、もともと陸上部だったんですけど、辞めちゃって…」
「へえ。……あーそれ知ってるわ。大喧嘩したんデショ」
「え、なんで知ってるんですか!?」
「ふふふ、俺はな~んでも知ってるんだよ!」

得意げに胸を張る田中先輩。
俺の反応が嬉しかったのか、語尾は上がり気味のままだ。

「まあでも、陸上部を辞めて、うちに来てくれたのは嬉しいよ。今年1年誰も来てくれなかったからさ~」
「……パンフレットにも載ってなかったし、都市伝説みたいに思ってる子もいると思いますよ?」
「あはは。俺たちわざわざ宣伝するようなタイプでも無いから、知らなくても当然だね」
「はあ…」

田中先輩は跳ねるように黒板のもとへ行くと、
大きな字で『かつどうないよう』と書いた。
…ああ、もしかして。あの扉の表札、田中先輩が書いたのかな。

「我が万事部は、その名の通り、いろんなことをします!文化祭、大会のピンチヒッターをしたり、地域の祭りに参加したり…あとは適当に遊んだり?」

「本当なら、他の部員も紹介したいんダケド…まだ来てないね」
「何人いるんですか?」
「君と僕含めて5人だよ。因みに残り全員2年生!はあ…ナマイキな子達ばっかりだ。リーダーである俺の言うことなんかまったく聞かなくって…」
(めちゃくちゃ気になる…)

俺がなんとなくソワソワしていると、急に廊下から女性の大声が聞こえてきた。


「………てー!!!___ぉ……ーーい!!」


「ありゃ、噂をすれば…1人来たみたいだね。申し訳ないけど、扉を開けてあげて」
「え、あ、はい!」

言われた通り扉を開ける。
すると……


バァァアァンッ!!!

「…………は?」

なにかが俺の前を全速力で駆け抜けた。
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