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”もうひとりの門下生”
【東山 新樹】
しおりを挟む東山 新樹ーーーー
彼の父親は政治家だった。
その父親も、国会議員だった。
代々の名家。
人々からは羨ましがられる存在だ。
家柄も良く、金とて莫大な資産を有している。
何不自由なく、育ったお坊ちゃん・・・・・・
そう思われているのであろう。
だが、現実は違う。
小学校では「昨日お前のとーちゃんテレビに出てたけど、質問されても逃げてるだけじゃん」と、連日ネタにされていた。
それだけならばまだ良いのだが、子供というのは残酷だ。
父親が金持ちと知ると、金にたかるように近づき、与えてくれないと知るやイジメられた。
トイレ掃除のバケツ水を被ったことも、教科書を破って捨てられたこともある。
いじめっ子にサンドバックにされた。
中学校も同じように苦しんだ。
それでも、父親に相談したら警察沙汰になり、介入されるのではないかと恐れて告げ口などできなかった。
そんな学生時代の中でも壮絶だったのが、高校生活。
彼が高校一年生の時に、父親が内閣に入った。そして、財務省の大臣になったのだ。
それが、まさかの増税とタイミングが重なってしまった。
最悪のタイミングだ。
学校の不良や地元のヤンキーたちが「消費税分お前が返せよ」と都合の良いことを言ってカツアゲされる。それが毎日だ。
最初は数百円程度だったが、大人しく出すとバレた途端に、一万円やら二万円やら高額な要求に変わっていった。
断れば、朝食が口から出てくるまで腹を殴られる。
財布を出す以外に、方法はなかった。
とうとう、外出しようとすると吐き気や頭痛に悩まされるようになったのだ。
医者からはPTSDと診断され、自宅学習を勧められた。
父親は、何も聞かず言わずに、それを許した。
高校の卒業式にも出ず、大学受験。
見返すために頑張った。
そして、難関国立大学に見事現役合格!!
・・・・・・喜びは長くは続かなかった。
大学に合格したものの、対人恐怖症を発症してしまい、講義に出られない。
そんな状態のために、入学早々に長期の休学という選択をせざるを得なかった。
家にいても、苦い思い出に苦しめられ、どうしようもない。
・・・・・・強くなりたい。
・・・・・・何で僕ばっかり。
・・・・・・強くなって自分を守りたい。
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