彼女にフラれた俺は、封印された何かと暮らすことになった

「……もう、終わりにしよう」

幼なじみであり、恋人だった篠原美琴は、曇りのない声でそう告げた。
その隣には、見たことのない男が立っていた。
肩と肩が、自然に触れ合う距離。否応なく、関係を物語っていた。

「……あ、そう」

静馬はそのまま歩き出した。
行き先もなく、あてもなく。

その時だった。
頭の奥に、どこか色香を含んだ女の声が、すっと囁く。

「……久々の人間ね。
 ねぇ、ちょっと付き合ってくれない? ヒマなのよ。封印されてから、ずっと」

静馬は、少しだけ眉を寄せた。
そして、ため息まじりに、ひとことだけ返した。

「……別にいいけど。オレもヒマだし」

それが、三神静馬と“封印された女”の、すべての始まりだった。
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