その牙っ娘にエサを与えないでください

 ある日、リュリュナは気がついた。
 自分のなかに、貧しい村の暮らしで知るはずのない美味しいものたちの記憶があることに。

「みんなにおいしいものを食べさせたい!」

 そんな思いを胸に村を出て出稼ぎに行った街で、リュリュナはこの世界にはないと思っていた甘味の存在を知り、目を輝かせる。
 けれど村のみんなに食べさせるために! とがまんして働くリュリュナのくちに、おいしいものを放り込む男が現れた。

「あなたの食べている姿で、胸がいっぱいです」

ちっちゃな牙っ娘と、彼女に餌付けしたい男の物語。


小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。
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