上司と部下の恋愛事情

朔弥

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狙われた真尋

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 金曜日は残業をする社員は少ない。それが23時を過ぎようとする時間ともなるとオフィスに残っている人間は海里だけとなっていた。


「まだ仕事してんの?」
 オフィスの扉をコンコンと叩きながら入口に怜司が立っていた。
「ああ···でも、もう帰るよ」
「今日は飲みに行ってるんだって?恋人がいないんじゃ、金曜に早く帰ってもしょうがねえか」
「何で真尋が飲みに行ってるって知ってるんだよ···」
彼奴あいつらと一緒に飲みに行ったの俺の後輩だからな」
 怜司に言われ、今日はいつものメンバーに営業部の奴がいると真尋が言っていた事を思い出す。
「もう飲み終わって帰ってきたか?」
「帰ったらメールすると言っていたが···ないからまだなんじゃないのか?」
 スマホの画面を確認するが、メッセージの受信を知らせる表示はない。
 何故、帰ってきた事を気にするのだろうか···と、海里は眉を僅かにひそめ怜司を見た。
 そんな海里の視線に気づき、言うべきか少し迷う素振りをした後、
「今日、一緒に行った三浦···だけどな、彼奴のスマホにお前の···真尋だっけか?そいつの写真が···いや、チラっと見えただけだから見間違えかもしれないが···」
 怜司にしては、やけに歯切れの悪い言い方をしている。
「そいつのスマホに写真があると何かまずいのか?」
「いや··どう···かな?噂···だしな···」
 煮え切らない態度でブツブツ言っている怜司に、海里はさっさと言えよと苛立った視線を向けた。
「そう睨むなよ、俺だって噂の域を出ない事を言って良いのか迷ってんだから···」
「だから、何だ」
「彼奴の後輩が今年、急に辞めたんだが···その理由がセクハラっていうか···営業の間じゃ無理矢理ヤられたって一時噂になってて···辞めた本人は一身上の都合って言うだけで実際の所、本当かどうかは···だから写真がちょっと気になってな···」
 海里は話しを聞きながらスマホの画面に視線を落とす。
 画面は暗いままだ。
「二人で飲んでるわけじゃないんだろ?」
「松永と城戸が一緒だが···」
 城戸が酔っ払えば松永がまた送って行くかもしれない。そうなれば三浦と真尋が二人きりになる。


 海里の指がスマホの画面を滑るように操作し、真尋の電話のコール画面をタッチした。
 まだ数回のコール音しか鳴っていないのに、やけに長く感じられる。
『あ、もしもし···』
 真尋の声を聞き、海里はホッと安堵した。
「まだ飲んでいたか?」
『もう···家に着く所だから、また後に···』
 そう言った真尋の声とは別の声がスマホから聞こえてきた。
『誰からの電話?』
『あ、うん···あの三浦、もうここでいいから···』
 スマホを口元から離したのか、真尋の声が遠くなる。だが、まだ通話は切られていなかった。
 時々、服の擦れる音と、ガタッと何か物音が聞こえてくる。
『三浦、ほんとに大丈夫だから···ちょっ···帰っ···』
 焦りの混じった真尋の声が微かに聞こえ、電話はそこで切れた。


「···っ!」
 海里は鞄を掴むと、走り出した。
「おい、海里!俺も行く」
 海里のただならぬ雰囲気に、状況を察した怜司は海里の後を追った。



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