上司と部下の恋愛事情

朔弥

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狙われた真尋

34 (強姦未遂の表現有り)

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 ─── 海里から電話がかかってくる数十分前



 酔い潰れた城戸の覚束無おぼつかない足取りを支えるように、松永は彼の腕を肩に回させ店を出た。
「だから言ったじゃねぇか···セーブするって言ったの誰だよ···」
 松永は溜め息を吐きながらも、ちゃんと城戸の面倒を見ている。
「松永さん、じゃあ俺は真尋を送ってくんで失礼します」
 さり気なく腰に手を回してくる三浦の手首を真尋は掴んで止めた。
「三浦、俺は大丈夫だから···」
「帰る方向同じだし、真尋さっきから足元フラついてるから危ないって」
 爽やかな笑みを浮かべながら、真尋の制しなど物ともせず腰を抱えて歩き出した。
 酔いの回っている躰では、それ以上抗う事も出来ずアパートの近くまでの我慢か···と、大人しく歩き出した。



「三浦、もうそこが家だから···」
 もう帰れよ、と言う真尋の言葉など聞かず三浦はアパートの部屋の前まで強引についてきた。

 何なんだ···

 強引さを不安に感じ、真尋は三浦の前で家の鍵を出すのを躊躇ためらっていたその時、スーツのポケットのスマホの振動を感じた。
 スマホを取り出し画面を見ると海里からの着信だった。
 彼の名前を見ただけで安心感が広がる。
 画面をスワイプし電話に出た。
「あ、もしもし···」
『まだ飲んでいたか?』
 海里の優しい声が耳に響く。帰ったらメールすると伝えておいたが、遅くて心配になってかけてきてくれたのだろうか、と嬉しくなる。
「もう···家に着く所だから、また後に···」
 かけるよ、と言いかけた真尋に顔を近づけた三浦は、
「誰からの電話?」
 と、聞いてきた。真尋は電話の相手が海里であると知られるわけにはいかないと、スマホを咄嗟に背中に隠した。
「あ、うん···あの三浦、もうここでいいから···」
 三浦の躰を押し退け、彼を早く帰そうとした。
「三浦、ほんとに大丈夫だから···ちょっ···帰っ···」
 だが、逆に三浦にドアに背を押し付けられ、真尋は焦りの声を上げた。その拍子に通話を終了するボタンが押され、スマホがカツンと音を立てて廊下に落下する。
「スマホ、落としたよ···手元が危ういくらい酔ってるんだから無理しなくていいよ、部屋まで行ってあげるから」
 スマホを拾いあげた三浦が、スマホを差し出しながら言った。口元には笑みを浮かべているが、真尋を見るそのには仄暗ほのぐらい光を宿している。
 その瞳を見た真尋は三浦に対する感情が不安から恐怖へと変わった。
「ほんと···に···大丈夫···」
 スマホを受け取る指先が震える。
「どうしたの?震えてるけど···早く家の中に入った方がいいんじゃない?」
 スマホを渡しながら三浦は空いている方の手で真尋の鞄の中を探り、あっさり家の鍵を探しだした。
 恐怖からくる緊張で躰が強張っていた真尋は鍵を奪われるまで動けずにいた。
「見ぃつけた」
 鞄から取り出した鍵を真尋の目の前にチラつかせて見せられる。
 失くさないようにと鍵に付けられたキーホルダーがゆらゆらと揺れるのを見て、ようやく口が開く。
「あ···返しっ···」
 返してと最後まで言い終わる前に三浦はドアの鍵穴に鍵を差し込み、静かなアパートの廊下にガチャッと鍵の開く金属音が響いた。
「中に入りなよ···」
 真尋は小さく首を横に振った。
「どうして?自分の家なのに」
 三浦に腕を掴まれ、ぐいっと引き寄せられた。ドアから背中が離れるとドアを開けた三浦に、躰を突き飛ばされるように玄関へ押し込められる。
 酔いが回っている躰では突然の動きについていけず、足がもつれ玄関先の廊下に倒れ込んだ。
「痛っ···」
 起き上がろうとした真尋だが、すぐ後ろから入ってきた三浦に馬乗りにされ起き上がれない。
「どい···て···」
 体重を背中にかけられ、胸が床に圧迫され息苦しい。
 逃れようと躰に力を入れるが抜け出せない真尋を三浦は楽しそうな表情で見下ろしていた。




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