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番外編
指輪 1
しおりを挟むジュエリーショップの店構えは煌やかで、硝子の多く使われた造りの店舗は通りからでも中の様子が伺えた。
数組の客がショーケースを見ながら幸せそうな表情をしている。だが、そのどのカップルも男女の組み合せである事に真尋は気づかされる。
無理···かもしれない···
一緒に指輪を買いに行こうと言われ頷きはしたが、店内の男女のカップルを目の当たりにしてしまうと、男同士でジュエリーショップに入るには敷居が高すぎる。
「真尋?」
店の入口から少し離れた場所で足を止めてしまった真尋に海里はどうしたのかと、振り返った。
「あ···」
真尋はどう答えればいいのか迷い、足を止めてしまった理由を言葉に出来ないでいた。
人の目が気になるから店に入りにくい。
一言で言ってしまえばそうなのだが、海里と付き合ってる事に後ろめたさを抱いているわけでも恥ずかしい事だと思っているわけではない。だが、世間の目からすれば自分達がどんな目に映っているかくらいは分かっていた。
本気で想い合っている自分達を何も知らない彼らに興味本位で見られたくなかった。
どう言えば誤解されずに伝えられるのか···
困った顔で見つめた真尋に海里は優しく微笑んだ。
「ここの近くに美味しい珈琲のお店があるの知ってる?せっかくだから飲んで帰ろうか」
海里は真尋の手を取り歩き出した。
ジュエリーショップの入口の横を通り過ぎていく。
指輪を買いに行こうと嬉しそうに言っていたのに、店に入る勇気のない自分を見ても、少しも責める顔をせず優しい笑みを崩さない海里にチクリと胸が傷んだ。
「······ごめん」
俯きながら小さく呟く。
「無理しなくていいよ。指輪がなくても···こうして手を繋いでくれるだけで真尋が俺を想ってくれているのは分かるから」
海里の言葉に真尋は顔を赤らめた。
どうして彼はこんなにも、欲しい言葉が分かるのだろうか。
言葉を返す代わりに真尋は繋いだ手にキュッと力を込めた。
こんなにも全身で愛してくれる彼に何も返せない自分がもどかしい
もっと彼を愛したいのに ────
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