上司と部下の恋愛事情

朔弥

文字の大きさ
76 / 85
番外編

ある夏の日の休日 2

しおりを挟む



 真尋はチラリとリビングのドアを見た後、自分の腰にしっかりと回されている海里の腕に視線を落とす。



 どうしたらこの腕から逃げ出せるだろうか

 ここは素直にお願いするしかないかもしれない···



「あ···の·····海里······」
 小さな声でかれの名を口にしながら、真尋は伺うように視線を向けた。
「ん?」
「·········ト···イレに···行きたいんだけど···」
「もう?もう少し余裕があると思うんだけど」
「······」
 早目に言わないとこうやってなかなか離してくれずに間に合わないかもしれないからだよ···と、真尋は心の中で呟いた。
 海里に対して少し不満を洩らしていた事を真尋の表情から感じた海里は、
「真尋は俺の事、説教じみた上司だって思っているみたいだから、粗相したらご希望通り叱ってあげようか?」
 不敵な笑みを浮かべながら恐ろしい事を口にする。
「······じ··冗談···だよね···」
「さあ···どうかな?」
 本気とも冗談ともとれる表情で海里は首をかしげる。
「や···ヤだ···海里、お願いだからトイレ···行かせて」
 大人になってまでソファーこんな所で粗相なんてしたくはない。
 涙目になってしまった真尋の目尻に海里は優しく口づけた。
「泣かせちゃったかな?会社の中じゃないのに真尋が俺を上司だって思ってるのが寂しくて、ちょっと意地悪してみたくなったんだけど····心配しなくても、もう少ししたらトイレに連れて行ってあげるつもりだったよ」
 なんだ、ちゃんと連れてってくれるつもりだったんだ···とホッとした傍らで、連れてく?と疑問が頭によぎった。
「あの···連れてってもらわなくても···一人で行ける···んだけど···?」
 チラリと海里の表情を横目で伺う。
「連れて行ってはあげるけど、少しお仕置きしないと···また俺の事、上司だって思いそうだしね」
「思わないって!」
 慌てて真尋は首を横に振った。
「だ···から···もう·····」
 そろそろ限界に近い。
 真尋は海里の腕をぎゅっと掴んだ。
 その力加減から、真尋に余裕が無くなり始めた事が伝わってくる。


 海里は真尋の膝の裏に腕を差し入れると、抱きかかえる立ち上がった。
「海里、降ろせって!一人で行ける!」
 真尋は焦った声で叫びながら、海里を押し退けるように腕を突っねた。
「そんなに限界に近い状態で一人で行けるの?連れて行ってあげるから大人しくしていて···真尋に怪我させたくないから···」
 最初は少し意地悪そうな笑みを含みながら真尋を見下ろしていたが、最後の方は本当に真尋を気遣うような優しい声色に変わっていた。
「·········連れてってくれるだけでいいからな···」
 海里の声の変化に真尋は僅かに警戒心を緩め、呟いた。
 



「·········海里···いつまでそこに···」
 トイレで抱えられていた躰を降ろしてもらったのは良いが、海里は真尋の背後にぴったりとくっつき腰に手すら回し離れる気配がない。
「ん?気にせずシテいいよ···」
 何でもないように言い放つ海里に、
「っつ···見られながらする趣味は俺にはないから!」
 と、僅かに声を荒げながら叫ぶ。
「そう?そのわりには···」
 海里は腰に回していた手を真尋の半身へと伸ばし、指でツイ···と軽く撫でた。
「軽く勃ちかけてない?」
「やっ!触···らないで···」
 尿意なのか快楽なのか分からない感覚が半身にじわじわと広がっていく。
 これ以上快楽が勝ってしまえば、射精するまで尿を出す事が出来なくなってしまう。
「どうしたい?俺にシテる所を見られたい?それとも···一度イかせて欲しい?」
「···どっちも···や···だ······」
「嫌?でも我慢は躰に良くないんじゃない?ほら···早く前を開けないと····どっちも中で洩らす事になるよ」
 指でスリスリと軽く擦りながら海里は耳元で囁く。
「······」
 真尋は顔を羞恥に染め、肩を小さく震わせた。
 海里の手でジッパーを下げられうながされるのであれば、無理にさせられたのだから仕方がないと自分に言い訳も出来るが、自分の手で前を晒すとなれば、自ら見て欲しいと言っているような痴態を演じる事になってしまう。
「ほら···早く···」
 促すように言いながら、海里は首筋に口づけた。
「·········無···理···」
 泣きそうな声で真尋は小さく呟くと、顔を海里の方へと向けた。
 我慢と羞恥の入り混じった潤んだ瞳で上目遣いに見つめられ、海里は口元にふっと笑みを浮かべた。
「もう上司なんて言わない?」
「言わない···から···」
 真尋は躰を捻らせ、顔を海里に寄せ震える声で囁いた。
 


 ······も···許して····──




─────────────────────



 こんな話しに付き合わせてしまい···ごめんなさい(_ _;) 真尋が我慢させられる姿を見たかったんです···(^_^;)
 この後、海里は出て行ったのか、行かなかったのかは···皆様の妄想に委ねます///
 

          (2023.10.09)


 エールありがとうございます!
 嬉しいです(^ ^)
しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...