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番外編
ある夏の日の休日 2
しおりを挟む真尋はチラリとリビングのドアを見た後、自分の腰にしっかりと回されている海里の腕に視線を落とす。
どうしたらこの腕から逃げ出せるだろうか
ここは素直にお願いするしかないかもしれない···
「あ···の·····海里······」
小さな声でかれの名を口にしながら、真尋は伺うように視線を向けた。
「ん?」
「·········ト···イレに···行きたいんだけど···」
「もう?もう少し余裕があると思うんだけど」
「······」
早目に言わないとこうやってなかなか離してくれずに間に合わないかもしれないからだよ···と、真尋は心の中で呟いた。
海里に対して少し不満を洩らしていた事を真尋の表情から感じた海里は、
「真尋は俺の事、説教じみた上司だって思っているみたいだから、粗相したらご希望通り叱ってあげようか?」
不敵な笑みを浮かべながら恐ろしい事を口にする。
「······じ··冗談···だよね···」
「さあ···どうかな?」
本気とも冗談ともとれる表情で海里は首を傾げる。
「や···ヤだ···海里、お願いだからトイレ···行かせて」
大人になってまでソファーで粗相なんてしたくはない。
涙目になってしまった真尋の目尻に海里は優しく口づけた。
「泣かせちゃったかな?会社の中じゃないのに真尋が俺を上司だって思ってるのが寂しくて、ちょっと意地悪してみたくなったんだけど····心配しなくても、もう少ししたらトイレに連れて行ってあげるつもりだったよ」
なんだ、ちゃんと連れてってくれるつもりだったんだ···とホッとした傍らで、連れてく?と疑問が頭に過った。
「あの···連れてってもらわなくても···一人で行ける···んだけど···?」
チラリと海里の表情を横目で伺う。
「連れて行ってはあげるけど、少しお仕置きしないと···また俺の事、上司だって思いそうだしね」
「思わないって!」
慌てて真尋は首を横に振った。
「だ···から···もう·····」
そろそろ限界に近い。
真尋は海里の腕をぎゅっと掴んだ。
その力加減から、真尋に余裕が無くなり始めた事が伝わってくる。
海里は真尋の膝の裏に腕を差し入れると、抱き抱える立ち上がった。
「海里、降ろせって!一人で行ける!」
真尋は焦った声で叫びながら、海里を押し退けるように腕を突っ撥ねた。
「そんなに限界に近い状態で一人で行けるの?連れて行ってあげるから大人しくしていて···真尋に怪我させたくないから···」
最初は少し意地悪そうな笑みを含みながら真尋を見下ろしていたが、最後の方は本当に真尋を気遣うような優しい声色に変わっていた。
「·········連れてってくれるだけでいいからな···」
海里の声の変化に真尋は僅かに警戒心を緩め、呟いた。
「·········海里···いつまでそこに···」
トイレで抱えられていた躰を降ろしてもらったのは良いが、海里は真尋の背後にぴったりとくっつき腰に手すら回し離れる気配がない。
「ん?気にせずシテいいよ···」
何でもないように言い放つ海里に、
「っつ···見られながらする趣味は俺にはないから!」
と、僅かに声を荒げながら叫ぶ。
「そう?そのわりには···」
海里は腰に回していた手を真尋の半身へと伸ばし、指でツイ···と軽く撫でた。
「軽く勃ちかけてない?」
「やっ!触···らないで···」
尿意なのか快楽なのか分からない感覚が半身にじわじわと広がっていく。
これ以上快楽が勝ってしまえば、射精するまで尿を出す事が出来なくなってしまう。
「どうしたい?俺にシテる所を見られたい?それとも···一度イかせて欲しい?」
「···どっちも···や···だ······」
「嫌?でも我慢は躰に良くないんじゃない?ほら···早く前を開けないと····どっちも中で洩らす事になるよ」
指でスリスリと軽く擦りながら海里は耳元で囁く。
「······」
真尋は顔を羞恥に染め、肩を小さく震わせた。
海里の手でジッパーを下げられ促されるのであれば、無理にさせられたのだから仕方がないと自分に言い訳も出来るが、自分の手で前を晒すとなれば、自ら見て欲しいと言っているような痴態を演じる事になってしまう。
「ほら···早く···」
促すように言いながら、海里は首筋に口づけた。
「·········無···理···」
泣きそうな声で真尋は小さく呟くと、顔を海里の方へと向けた。
我慢と羞恥の入り混じった潤んだ瞳で上目遣いに見つめられ、海里は口元にふっと笑みを浮かべた。
「もう上司なんて言わない?」
「言わない···から···」
真尋は躰を捻らせ、顔を海里に寄せ震える声で囁いた。
······も···許して····──
─────────────────────
こんな話しに付き合わせてしまい···ごめんなさい(_ _;) 真尋が我慢させられる姿を見たかったんです···(^_^;)
この後、海里は出て行ったのか、行かなかったのかは···皆様の妄想に委ねます///
(2023.10.09)
エールありがとうございます!
嬉しいです(^ ^)
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