円だけ結界で異世界無双?――面が無いから頭で勝つ

結界術が唯一の超常能力であるアルカーナ大陸。術者は「面」を展開して攻防を行い、
矩形が正統、六角形が至高とされる世界で、辺境伯家の次男フイユ(10歳)は
才能発現の儀式で「真円の線」だけを出した。面のない欠陥——周囲はそう断じた。

だがフイユには秘密がある。前世は中二病の高校生・秋捨落葉。
結界バトル小説を書いていた記憶が断片的に残り、幾何学の知識が円に応用を与えた。
高速回転で切断する「カッターリング」、同軸展開で拘束する「筒」。
面がないからこそ、面に縛られない発想で次々と技を生み出す。

フイユはまず、腐敗した代官ドルモンによる領地の搾取構造を暴く。
帳簿の矛盾を数字で詰め、商会との癒着を崩し、公開裁定で罷免に追い込む。
領民は彼を「天使様」と呼び始めた。本人だけが困惑している。

名声は王都に届き、フイユは形師学院への招聘を受ける。
しかし王都では、円を「原初の結界術」として千年間封じてきた円環教会の陰謀が待っていた。
六角形の天才・第二王子ディアメトルとの対立と対話、教会大司教アルクの異端審問、
封印文献が暴く「円こそ本来の原型であり、矩形は簡易版に過ぎない」という真実。
フイユは仲間とともに教会の聖域結界を打ち破り、千年の嘘を白日の下に晒す。

だが、真の脅威はその先にあった。
螺旋の結界を操る謎の形師・スパイラル。その正体は、落葉が前世で書いた小説の
「敵キャラ」が実体化した存在だった。二つの世界を繋ぐ「門」の秘密、
始祖もまた異世界転生者だったという事実、そして「この世界は誰かの想像力から生まれた」
という根源的真実。

フイユは問われる。門を閉じて世界を守るか、開いて前世に帰るか。
螺旋と円、拡張と調和、虚構と現実の狭間で、彼が選んだ答えは——

「俺はもう作者じゃない。登場人物だ。この物語は俺が生きて続きを書く」

面がなくても、世界は丸く収まる。円一つで。
24h.ポイント 256pt
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