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第1章 12歳。ニンデリー王国にあるニンデリー王立学園へ行こう。大人の思惑通りに動かないのは、少女の特権。
10.青春の1ページ。思い出は美しいままに。思い出から抜け出してきた人は、思い出通りの人ではもうない。
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バネッサの手癖の悪い使用人を帰し、わたし達は、バネッサの兄がいない分、のびのびやっている。
「先程の男性はお知り合い?」
とバネッサ。
伯爵家子息の兄が、ろくな抵抗もできずに、引きずられていけば、気になるか。
「やり手の方は、兄の知り合い。おっとりしていたのが、わたしの兄。」
「おっとり。でも、マーゴットの扱いにとても怒ってくれていたわ。」
とバネッサは羨ましそう。
「兄は怒っていただけよ。
妹が受けた不条理な扱いに腹を立ててくれたのは、嬉しい。
でも、仕事をしたのは、兄の隣にいたやり手。」
キャスリーヌが吹き出した。
「怒っていないで、さっさと手をうたないの?とは思った。」
「3番目の兄に関しては、今まで、周りが手を回してきた弊害ね。仕事をしていくうちに、自分から、動くようになるわ。」
「バネッサ。アレックスから、学校について聞いていることはある?
学内は荒れていないと聞いたんだけどね。暴力沙汰がないだけ、なのか、荒れている、の基準が違ったのか。
教授情報と治安情報は調べたわ。」
わたしがバネッサに話をふると、バネッサは、ハズレ兄から聞いたという話をしてくれた。
「12歳から15歳までが中等部。16歳から18歳までが高等部。
中等部と高等部には、それぞれ、生徒会という生徒の自主性を育むための学生組織があって、ニンデリー王国の王太子殿下の在学中は、王太子殿下が生徒会長、兄が会計を担当した縁で親しくなったそう。王太子殿下と兄は同級生だったと聞いているわ。」
王子や王女に学校という場で、練習させるには、国立じゃなく王立の方が融通がきく。
王子や王女のために整えた環境を第2王子が従来にない使い方をしたから、騒ぎになった、というところ?
「会長や会計はどう選出するの?」
「自薦、もしくは他薦だと聞いているわ。」
とバネッサ。
「その後は?」
「現行役員の承認だそうよ。」
とバネッサ。
「1度選出されて、2度目がなかったら、憶測を呼ぶね。」
とキャスリーヌ。
「今は第2王子派閥が席巻している状態?」
とキャスリーヌ。
「聞いていないわ。」
とバネッサ。
「学内の様子を知らないということ?よくそれで引き受けたね。」
とキャスリーヌは呆れている。
「挨拶に行って、打ち合わせをすることになっていたから。」
バネッサは、居心地悪そうに答えた。
「それ、王子の醜態と国の恥を外部に漏らさないために、打ち合わせに行ったら、秘密厳守という誓約で縛られるやつ。」
とキャスリーヌ。
「失敗したら消されるパターンによくある前フリ。」
「ええ!」
とバネッサ。
「王太子殿下と兄は仲が良いって。」
「王太子殿下と、後継ぎではない外国の伯爵子息じゃ、覚悟も考え方も立場も重ならない。しょせん、青春の1ページ。」
とキャスリーヌ。
キャスリーヌ、アレックスが居なくなったら、饒舌になったわね。
わたしも参戦しよう。
「簡単に口外できないほど、よろしくない状況の想定はしておいた方がいい。わたし達3人は、身の安全のために、ニンデリー王国の王室トラブルには無関係を貫く。第1王子が寄越したスパイだと思われたら、狙われる可能性がある。自国の貴族の子どもを使わず、後継ぎでもない外国の伯爵子息の次男を動かし、その妹を使うんだから、自国の貴族を使いたくないような事情があるということ。」
「先程の男性はお知り合い?」
とバネッサ。
伯爵家子息の兄が、ろくな抵抗もできずに、引きずられていけば、気になるか。
「やり手の方は、兄の知り合い。おっとりしていたのが、わたしの兄。」
「おっとり。でも、マーゴットの扱いにとても怒ってくれていたわ。」
とバネッサは羨ましそう。
「兄は怒っていただけよ。
妹が受けた不条理な扱いに腹を立ててくれたのは、嬉しい。
でも、仕事をしたのは、兄の隣にいたやり手。」
キャスリーヌが吹き出した。
「怒っていないで、さっさと手をうたないの?とは思った。」
「3番目の兄に関しては、今まで、周りが手を回してきた弊害ね。仕事をしていくうちに、自分から、動くようになるわ。」
「バネッサ。アレックスから、学校について聞いていることはある?
学内は荒れていないと聞いたんだけどね。暴力沙汰がないだけ、なのか、荒れている、の基準が違ったのか。
教授情報と治安情報は調べたわ。」
わたしがバネッサに話をふると、バネッサは、ハズレ兄から聞いたという話をしてくれた。
「12歳から15歳までが中等部。16歳から18歳までが高等部。
中等部と高等部には、それぞれ、生徒会という生徒の自主性を育むための学生組織があって、ニンデリー王国の王太子殿下の在学中は、王太子殿下が生徒会長、兄が会計を担当した縁で親しくなったそう。王太子殿下と兄は同級生だったと聞いているわ。」
王子や王女に学校という場で、練習させるには、国立じゃなく王立の方が融通がきく。
王子や王女のために整えた環境を第2王子が従来にない使い方をしたから、騒ぎになった、というところ?
「会長や会計はどう選出するの?」
「自薦、もしくは他薦だと聞いているわ。」
とバネッサ。
「その後は?」
「現行役員の承認だそうよ。」
とバネッサ。
「1度選出されて、2度目がなかったら、憶測を呼ぶね。」
とキャスリーヌ。
「今は第2王子派閥が席巻している状態?」
とキャスリーヌ。
「聞いていないわ。」
とバネッサ。
「学内の様子を知らないということ?よくそれで引き受けたね。」
とキャスリーヌは呆れている。
「挨拶に行って、打ち合わせをすることになっていたから。」
バネッサは、居心地悪そうに答えた。
「それ、王子の醜態と国の恥を外部に漏らさないために、打ち合わせに行ったら、秘密厳守という誓約で縛られるやつ。」
とキャスリーヌ。
「失敗したら消されるパターンによくある前フリ。」
「ええ!」
とバネッサ。
「王太子殿下と兄は仲が良いって。」
「王太子殿下と、後継ぎではない外国の伯爵子息じゃ、覚悟も考え方も立場も重ならない。しょせん、青春の1ページ。」
とキャスリーヌ。
キャスリーヌ、アレックスが居なくなったら、饒舌になったわね。
わたしも参戦しよう。
「簡単に口外できないほど、よろしくない状況の想定はしておいた方がいい。わたし達3人は、身の安全のために、ニンデリー王国の王室トラブルには無関係を貫く。第1王子が寄越したスパイだと思われたら、狙われる可能性がある。自国の貴族の子どもを使わず、後継ぎでもない外国の伯爵子息の次男を動かし、その妹を使うんだから、自国の貴族を使いたくないような事情があるということ。」
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