蒼天を望むエクリプス

 彼はここにいる
 彼はここにいる
 陽の光を仰ぐように、彼は見上げている
 彼が現れると、陽の光は消えて無くなり、暗い暗い夜になる。
 だから彼が陽を浴びることはない
 だから彼は陽を浴びることを憧れる
 彼は喉の渇きが欲しい
 彼の喉の潤いが狂しい
 輪郭は瞳 深淵は暗闇
 手を伸ばして掻き消し
 けどそれは空を割くばかり

 あぁ、あんなに真っ暗な空が
 明るく僕を捕らえて離さない。

 真っ赤な瞳を、彼は呪い
 自身の血で、喉を潤した。
 金環を巡る 指が踊る
 指は輪っかを消し去って、光すら喰った。

 どこまでも暗い瞳の奥は
 眠るように彼の姿を奪っていった。
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