49 / 66
第五章 幸せの刻限
49 愛の檻【4】♥
しおりを挟む
貴明は、笑いながら続ける。
「知っていた? 本当はずっと、こうしたかったんだ。あなたの温かな肉を全部むさぼって、すっかり骨にしてしまいたかった……あなたが泣きわめくと、とても悲しい。そして、とても、うれしい……かわいくて、たまらなくなる」
(貴明さん……泣いてる?)
みゆきは度を超した快楽の波にたゆたいながら、貴明の声音だけを聞いて心配になる。
貴明の声は安定しない。
高くなり、低くなり、みゆきの腰にすがりつくようにして、中を犯しながら、いらいらと続く。
「俺は、こういう男なんだ……戦場の話も、あなたに、最後まではしなかったね? あれは、できなかったんだ。俺だって、殺しに快楽を感じていたからだよ。俺も……あの地で、魔物になっていたから」
ぎしり、と帯が鳴った。
みゆきが身じろいだからだった。
みゆきはまだぼうっとしたまま、指で空中をかき乱す。
抱きしめなくては、と、思う。
あなたが、すきだ。
難しいことは、わからない。理性なんかとうに飛ばされてしまった。
だから、わかるのは、あなたが泣いていることだけで。
(泣かなくていい。悲しまなくていい。魔物でもいい。いいの)
それが、あなたのすべてなら。
あなたのすべてを、私にくれるというのなら。
私は、それでいいんだ。
私は、それがいいんだ。
何かをつかもうとうごめく指に、貴明も気付いたのだろうか。
ひらり、と銀色の光が頭上あたりをかすめたかと思うと、みゆきの上半身は布団の上にうつぶせに崩れ落ちた。
(あ……? 帯、斬れて……?)
手首はまだ縛られたままだが、梁にかけられていた帯はぶっつりと斬れている。
快楽に疲れて重くなった体は、姿勢を変えられてもすぐに動くことなどできない。
みゆきはみっともなく尻を上げる形で布団に倒れ伏し、かすんだ目で斬れた帯を見ている。
貴明自身はまだ中にしっかりと入ったままで、すぐに激しい抽挿が始まった。
「あぅ……ッ、はぁ……、あ、あぁっ……!」
これだけ長々と体をかき乱されているのに、まだ感覚は麻痺しない。
それどころか、みゆきの狭い花筒は割り開かれるたびに貴明の形を強く感じる。
彼は執拗にみゆきの中をえぐり、削って、そこに空洞があることを思い知らせては退いていく。
「ん、んぅうっ、や、やぁ……、もう、やぁぁ!」
「もっと泣き叫んで……みゆき」
噛みしめるように囁かれ、ひときわ強く腰をたたき付けられた。
その衝撃が全部体の奥に響き渡り、みゆきは頭の中身が空になるような感覚に襲われる。
「ぁ! ……ぁ……ぁ」
腰の奥に凄まじい電流が走り、足ががくがくと震えた。
(きもちいい、きもちい、きもちいい……)
快感の天井が、急に抜けてしまった気がする。
さっきまでぎりぎり感じていた、腹の奥をえぐられるときの痛み。
それが、どろりと溶けてなくなる。
裏返って、凶暴な快感になって帰ってくる。
ごつん、ともう一度同じところを貴明自身で殴られると、今度こそみゆきは悲鳴を上げた。
「これ……きもち、ぃ……うぅ…っ……っ、ぉく……んんんっ!! ひ、あッ、な、なにか、くる、ぅッ……! あっ、きてる、ずっときてるッ……!!」
ぱちぱちと火花の散るあの感覚に舞い上げられて、そのまま降りてこられない。
ずっと、ずっと気持ちいい。気持ちがよすぎて、他が消える。
何がなんだかわからない。
自分も。周りも。何も。
「もう、なんでもいいんだな」
苦しそうに貴明は笑っているのだけが、うっすらわかる。
なんでもいい。そんなのは、当たり前だ。
あなただから、なんでもいい。
ずっと、ずっと、そう。
貴明はそのあとも好き勝手腰を使い、やがて絞り出すように言う。
「中にあげるよ……俺の、みゆき」
尻を叩くような音と共に貴明自身が奥に納まり、ほどなく、体内がどろりと濡れた感触があった。
「あ……」
やっと、やっと中に出してもらえた。
まだ充分に快感から降りてこられないまま、みゆきはぼんやりと笑う。
やっと、ほんの少しだけ、満たしてもらった気がする。
貴明の手が、その頭に触れて、何度か撫でてくれた。
「まだ、終われなさそうだから……諦めてね」
貴明の言葉は、いつも優しくて、酷い。
「知っていた? 本当はずっと、こうしたかったんだ。あなたの温かな肉を全部むさぼって、すっかり骨にしてしまいたかった……あなたが泣きわめくと、とても悲しい。そして、とても、うれしい……かわいくて、たまらなくなる」
(貴明さん……泣いてる?)
みゆきは度を超した快楽の波にたゆたいながら、貴明の声音だけを聞いて心配になる。
貴明の声は安定しない。
高くなり、低くなり、みゆきの腰にすがりつくようにして、中を犯しながら、いらいらと続く。
「俺は、こういう男なんだ……戦場の話も、あなたに、最後まではしなかったね? あれは、できなかったんだ。俺だって、殺しに快楽を感じていたからだよ。俺も……あの地で、魔物になっていたから」
ぎしり、と帯が鳴った。
みゆきが身じろいだからだった。
みゆきはまだぼうっとしたまま、指で空中をかき乱す。
抱きしめなくては、と、思う。
あなたが、すきだ。
難しいことは、わからない。理性なんかとうに飛ばされてしまった。
だから、わかるのは、あなたが泣いていることだけで。
(泣かなくていい。悲しまなくていい。魔物でもいい。いいの)
それが、あなたのすべてなら。
あなたのすべてを、私にくれるというのなら。
私は、それでいいんだ。
私は、それがいいんだ。
何かをつかもうとうごめく指に、貴明も気付いたのだろうか。
ひらり、と銀色の光が頭上あたりをかすめたかと思うと、みゆきの上半身は布団の上にうつぶせに崩れ落ちた。
(あ……? 帯、斬れて……?)
手首はまだ縛られたままだが、梁にかけられていた帯はぶっつりと斬れている。
快楽に疲れて重くなった体は、姿勢を変えられてもすぐに動くことなどできない。
みゆきはみっともなく尻を上げる形で布団に倒れ伏し、かすんだ目で斬れた帯を見ている。
貴明自身はまだ中にしっかりと入ったままで、すぐに激しい抽挿が始まった。
「あぅ……ッ、はぁ……、あ、あぁっ……!」
これだけ長々と体をかき乱されているのに、まだ感覚は麻痺しない。
それどころか、みゆきの狭い花筒は割り開かれるたびに貴明の形を強く感じる。
彼は執拗にみゆきの中をえぐり、削って、そこに空洞があることを思い知らせては退いていく。
「ん、んぅうっ、や、やぁ……、もう、やぁぁ!」
「もっと泣き叫んで……みゆき」
噛みしめるように囁かれ、ひときわ強く腰をたたき付けられた。
その衝撃が全部体の奥に響き渡り、みゆきは頭の中身が空になるような感覚に襲われる。
「ぁ! ……ぁ……ぁ」
腰の奥に凄まじい電流が走り、足ががくがくと震えた。
(きもちいい、きもちい、きもちいい……)
快感の天井が、急に抜けてしまった気がする。
さっきまでぎりぎり感じていた、腹の奥をえぐられるときの痛み。
それが、どろりと溶けてなくなる。
裏返って、凶暴な快感になって帰ってくる。
ごつん、ともう一度同じところを貴明自身で殴られると、今度こそみゆきは悲鳴を上げた。
「これ……きもち、ぃ……うぅ…っ……っ、ぉく……んんんっ!! ひ、あッ、な、なにか、くる、ぅッ……! あっ、きてる、ずっときてるッ……!!」
ぱちぱちと火花の散るあの感覚に舞い上げられて、そのまま降りてこられない。
ずっと、ずっと気持ちいい。気持ちがよすぎて、他が消える。
何がなんだかわからない。
自分も。周りも。何も。
「もう、なんでもいいんだな」
苦しそうに貴明は笑っているのだけが、うっすらわかる。
なんでもいい。そんなのは、当たり前だ。
あなただから、なんでもいい。
ずっと、ずっと、そう。
貴明はそのあとも好き勝手腰を使い、やがて絞り出すように言う。
「中にあげるよ……俺の、みゆき」
尻を叩くような音と共に貴明自身が奥に納まり、ほどなく、体内がどろりと濡れた感触があった。
「あ……」
やっと、やっと中に出してもらえた。
まだ充分に快感から降りてこられないまま、みゆきはぼんやりと笑う。
やっと、ほんの少しだけ、満たしてもらった気がする。
貴明の手が、その頭に触れて、何度か撫でてくれた。
「まだ、終われなさそうだから……諦めてね」
貴明の言葉は、いつも優しくて、酷い。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
88
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる