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44話 協力体制 その2
しおりを挟む「条件付きでの協力って意味?」
「うん、そんなところだよ? 昨日、アイリーンちゃんと話して纏まったんだ。フェルナンドたちもOKしてくれたし」
元気よく話しながら、シエラは隣に立つフェルナンドを見上げた。
「オホン……確かに協力体制は承認いたしました。ただし、あくまでも条件付き。アイリーン殿、忘れてはおりますまいな?」
親衛隊の一人であるフェルナンドからの強い視線がアイリーンを襲った。しかし、彼女は動じている様子はない。力強く頷いてみせる。
「ええ、もちろんです。それで、タイネーブの安全がより強固になるのならば」
アイリーンからしてみれば、タイネーブの安全の方が優先だ。それと引き換えであれば、アランドロ女王国への協力など屁でもない。元々、彼女は今後とも協力する予定だったのだからなおさらだ。
「アイリーン様への条件とは……? まさか、アイリーン様の身体を……!?」
「ぶふっ!! そ、そんなわけがないでしょう……!」
「あははははは! フェルナンド変態だ~~~!」
意外なミランダからの妄想攻撃……彼女は大真面目に言ったつもりだったが、フェルナンドは予期せぬ言葉に顔を赤くし、シエラに至っては爆笑していた。その様子を見て、アイリーンも少し笑ってしまう。
「違うわよミランダ。私が今後、女王国の繁栄の為に情報提供を含めて協力するってこと」
「あ、そうだったのですね……申し訳ありません、早とちりをしてしまいました……」
ミランダは顔を真っ赤にして少し後退する。自分の言ったセリフに、とても恥じている様子だった。
「それに、フェルナンドさんは妻子持ちでしょう。私みたいな子供に興味なんてないわよ」
アイリーンは設定資料集の片隅に書いてあったことを思い出し話した。自分の知識をさりげなく披露しているのだ。フェルナンドも驚いた表情になっている。
「……なるほど、千里眼持ちというのは、あながち嘘ではないようだ……」
「ね? アイリーンちゃんってば、凄いでしょ?」
「はい……」
フェルナンドはシエラですら知らない情報を、彼女が持っていたことに驚きを隠せないでいた。既婚者ということは伏せていたのだから。
「……詳しい事情はわかりませんが、一晩の間にずいぶんと事が進展したようですね」
「ごめんね、アルガスちゃん。そんなわけだから、昨日のことは忘れて」
「畏まりました、シエラ女王陛下。それでは、タイネーブ殿の冒険者連合との協力体制を整えるということでよろしいのでしょうか?」
「うん、よろしく~~~」
シエラとの協力体制は上手く行きそうだ。アイリーンは安堵の表情を見せながら、窓の外を眺めていた。ゲーム内では終盤の大イベント……来るべきそれに向けて、彼女は気を引き締めることを決意した。
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