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第十六章

ラスボス祖父登場②

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「何かヒントがあったようだが、もう一つ大事なことを忘れてるぞ」
「はあ?何だ?」

 父の言葉に怜が不思議そうな顔をしているが、最難関かもしれない。

「俺達は大賛成だが、親父にはまだ言ってないんだろう?籍を入れる以前に、先ずは親父に連絡しろよ」

 そう、怜の両親は賛成だが、祖父にはまだ何も報告していない。

 祖父は、神楽坂グループの創業者で世界でも知られる著名人だ。間もなく八十歳になるが、小柄で背筋がピンと伸び、いつも和装で存在感が半端ない。

「今、連絡してみる」

 善は急げとばかりにスマホを取り出す。周りは息を呑み見守る。

『はい』
「ご無沙汰してます。怜です」
『お主、何があった』
「えっ?」
『声に深みがある』
「!?」

 声だけで怜の変化がわかるらしい。流石と言うべきか……。

『で?要件は?』
「はい。結婚したい相手がいます」
『ほう……』

 両親の反応とは違い落ち着いている。賛成なのか反対なのか全く分からない。

「驚かれないんですね……」
『驚いてはいる。どこの令嬢じゃ?』
「家柄は関係ありますか?」
『お主、今何処にいる?』
「今は、沖縄ですが……」
『わかった』

 これだけの会話で電話を切られた。結局、真意はわからないまま……。

「親父何だって?」
「分からない……」
「来るつもりじゃないか?」
「はぁ……。かもな」
「あの~、私の家柄ではお眼鏡に叶うとは思えないんですが……」

 さくらは、電話の向こうの祖父の声は聞こえなかったが、怜の会話で聞かれていることは理解した。

「さくらちゃん、お父様は厳しいけれど、人を見る目はあるから心配しないで。さくらちゃんは、素敵な女性よ。あとは、怜次第ね」
「そうだよ。親父は頭ごなしに反対するようなタイプではないから」
「はい……」

 すでに怜の息子まで存在する。不安だが、両親は味方してくれている。反対されないことを祈るしかない。

 そして両親と同じく、連絡後すぐに沖縄行きの飛行機を手配したのだろう。その日のうちにやって来た。
 
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