【完結】伯爵家当主になりますので、お飾りの婚約者の僕は早く捨てて下さいね?

MEIKO

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第四章・Yesterday,Today,Forever…

47・予期せぬ兄弟

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 えっ…今、何て言ったの?オ、オリヴァーだと?どうしてそこにオリヴァーの名前が出るのかなぁ…
 おまけにオリヴァーは、元々ロテシュ伯爵家の使用人。なのに何故だろうか…
 
 僕は驚き過ぎて言葉が出なかった。何の得にもならなそうな僕に快く付いて来てくれて、何かにつけ力になってくれる…そんな頼れる相棒のオリヴァーが!?

 愕然とする僕の心情をおもんばかってか、ミシェルはウンウン頷きながらビックリさせてごめんね…と謝ってくる。

 ──ビックリし過ぎですけど?だけど、どうしてそんなことになるのかな?不思議過ぎるっ。

 「ついでに言うけど、オリヴァーは父上の間者かんじゃだよ。父上から密命を受けてロテシュ伯爵家に入り込んでいたんだ。だから厳密にはギルフォード公爵家の人間だってことになる」(※間者=スパイ)

 「な、な、なにーっ!そうなの?うっそ~全然気が付いてなかったよ。やっぱり貴族って…怖い!」

 いまや自分だって貴族のくせに、ショックを受けそんな事を口走ってしまった僕…

 「だけど安心して欲しい!オリヴァーがマリンに付いてこの公爵家に来たのは、純粋に君を心配した上での事だ。決してそれは父の指図ではないし、私だって君と来たオリヴァーを見てビックリしたくらいなんだ!」

 ──それを聞いてちょっと安心…あのオリヴァーの優しい態度や言動が、嘘だったとは思えなかったから…あれが偽りだったならトラウマ級だよ!
 
 僕の可笑しな行動を馬鹿にする事もなく、ただ家族のように接してくれている。純粋な行動…そう聞いて心の底からホッとする。

 「父はオリヴァーを子供の頃から面倒を見ている。オリヴァーの母親と友達だから助けてやりたいと言ってね。学校も行かせたし、卒業してからは公爵家の事業を手伝うようにと。それからロテシュ伯爵が怪しい行動をするようになり、オリヴァー自ら間者として志願した。だけど実は…母と私はずっと二人の関係を疑っていたんだ。そして隠し子だって噂を聞いた母が問い詰めて…結局父は明言はしなかったけどね。だけど決まりだろ?そうとしか考えられない」

 ──なんと!オリヴァーって、子供の頃からの苦労人なんだ。だからきっと優しいんだね…
 
 だけどここまで聞いてしまったからには、ハッキリさせた方がいいのでは?って思う。
 仲違なかたがいして領地に行ったままのミシェルの両親もどうにかしないといけないと思うし、もしオリヴァーが兄上なら、本当の家族だからね?もっと家族として一緒に過ごしたいと思う!

 「ミシェル、これはハッキリさせよう!今直ぐオリヴァーを呼ぶね」

 それで執事のスミンさんに頼んで、ロテシュ伯爵家の方に居るオリヴァーを呼び出して貰う。オリヴァーは何事だろうかと慌てて駆け付けてくれて…

 ハッキリとするまで誰にも知られてはいけないと僕とミシェルだけで応接室でオリヴァーを迎える。入るなり僕達のただならぬ様子にギクッとした様子のオリヴァーが「何かありました?」って怖々聞いてくる。それには愛想笑いで、取り敢えず落ち着かせようと座ってもらい、それからミシェルは意を決して切り出す。

 「オリヴァー、実は父上の間者としてロテシュ伯爵家に行ってもらった件をマリンに話させてもらった。それはマリンも納得してくれたんだけど…それよりもオリヴァーに尋ねたい事があるんだ。君は私の兄なんだね?私の父であるギルフォード公爵の隠し子…なんだろう?」

  ──ヒュッ!
 
 オリヴァーが驚きで息を呑む音が聞こえる。これだけ驚いているという事はやっぱり…

 「いいえ違います!決してミシェル様の兄ではありませんから…そしてギルフォード公爵様の子供でもありません。これは神に誓って本当です!だから安心なさって下さい」

 そうキッパリと言い切ったオリヴァー。違うのか?と思ったら、安心したような残念なような複雑な気持ちになった。オリヴァーだったら、本当に兄上だったとしても嬉しいな!って思ってたから…
 
 僕とミシェルはふーっと深い息を吐いて、これで一つハッキリしたなって思う。
 なんだ違うのか…とどこかガッカリしていると、これで終りじゃなかった!なんと今度はオリヴァーが爆弾発言をすることに…

 「実は私、マリン様の兄なんです!」

 ──ぼ、ぼ、僕の兄上…だと?
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