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第2章
愚かな王族《アレクシス視点》
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招かれざる客は、北の塔へと収監した。
うるさくて不快で仕方なかった。
自分は王太子だと喚き散らす阿呆に、僕の姿を見た途端、媚びを売るように擦り寄ろうとした阿婆擦れ。
即座に衛兵に連れて行かせたけど、屑の国は屑だとつくづく思う。
北の塔は、罪を犯した王族を軟禁する用の、牢獄だ。
鉄格子のはまった窓とは対照的に、扉には鍵がかけられていない。
だが、収監された人間が外に出ることはできない。
食事を運ぶ者や、掃除をする者を脅して外に出ようとしても、収監された人間は入口で魔法に弾かれる。
そういう魔法をかけたうえで、北の塔に放り込むのだ。
塔の中では、自由に過ごせる。食事も与えられる。湯浴みも出来る。
豪華ではないが、平民よりはマシな服を着ていられる。
だけど、魔法が解かれない限りは2度と外へ出ることは出来ない。
北の塔というのは、そういう場所だ。
アルバム皇国には死刑はない。
それは、建国時に僕の父上が決めたことだ。
かつて、グレイスを死なせた王太子を処刑するしかなかったマーベラス王国国王陛下たち。遠い親戚筋であった彼らの苦悩を、父上は理解していた。
父親としては、息子は可愛い大切な子供だ。だけど、国王として、臣下の罪を見逃すわけにはいかない。
そんな苦悩をマーベラス国王は味わったのだ。
だから、父上は処刑制度を廃止した。
王族は北の塔へ収監。貴族は、西の採掘場での労働義務。平民は、東の魔の森前の辺境地での兵役義務が与えられる。
まぁ、ある意味死刑より辛い目にあうとも言えるが、生き残れる場合もある。
貴族は、きちんと責務を果たしていれば、恩赦が与えられ貴族には戻れなくても平民としてなら生きられる。
平民は、兵役で成果を上げれば、辺境地生活だが、兵役からは逃れることができる。
王族は、そこから出ることは出来ないが、貴族や平民と比べれば危険が伴うわけではない。
セレスティーナに手を出そうとしたのだ。可能なら処刑したい。
その姿形のカケラも残らないように、消し去ってしまいたい。
だけど、血に濡れた手でセレスティーナに触れたくない。
かつて死を選んだからこそ、グレイスは死に対して敏感だ。
ジルベール王太子の死に関しても、多分未だに責任を感じているだろう。
だから、我慢した。
どちらにせよ、ブラシールの王族自体を処罰しなくてはならない。
叔父上が早速、抗議文を送った。
あの、馬鹿な国のことだ。すぐに、意味不明なことを言ってくるだろう。
同時に宰相と騎士団長にも手紙を送ってある。あの2人が立ち上がらなければ、ブラシール王国を滅ぼそう。
うるさくて不快で仕方なかった。
自分は王太子だと喚き散らす阿呆に、僕の姿を見た途端、媚びを売るように擦り寄ろうとした阿婆擦れ。
即座に衛兵に連れて行かせたけど、屑の国は屑だとつくづく思う。
北の塔は、罪を犯した王族を軟禁する用の、牢獄だ。
鉄格子のはまった窓とは対照的に、扉には鍵がかけられていない。
だが、収監された人間が外に出ることはできない。
食事を運ぶ者や、掃除をする者を脅して外に出ようとしても、収監された人間は入口で魔法に弾かれる。
そういう魔法をかけたうえで、北の塔に放り込むのだ。
塔の中では、自由に過ごせる。食事も与えられる。湯浴みも出来る。
豪華ではないが、平民よりはマシな服を着ていられる。
だけど、魔法が解かれない限りは2度と外へ出ることは出来ない。
北の塔というのは、そういう場所だ。
アルバム皇国には死刑はない。
それは、建国時に僕の父上が決めたことだ。
かつて、グレイスを死なせた王太子を処刑するしかなかったマーベラス王国国王陛下たち。遠い親戚筋であった彼らの苦悩を、父上は理解していた。
父親としては、息子は可愛い大切な子供だ。だけど、国王として、臣下の罪を見逃すわけにはいかない。
そんな苦悩をマーベラス国王は味わったのだ。
だから、父上は処刑制度を廃止した。
王族は北の塔へ収監。貴族は、西の採掘場での労働義務。平民は、東の魔の森前の辺境地での兵役義務が与えられる。
まぁ、ある意味死刑より辛い目にあうとも言えるが、生き残れる場合もある。
貴族は、きちんと責務を果たしていれば、恩赦が与えられ貴族には戻れなくても平民としてなら生きられる。
平民は、兵役で成果を上げれば、辺境地生活だが、兵役からは逃れることができる。
王族は、そこから出ることは出来ないが、貴族や平民と比べれば危険が伴うわけではない。
セレスティーナに手を出そうとしたのだ。可能なら処刑したい。
その姿形のカケラも残らないように、消し去ってしまいたい。
だけど、血に濡れた手でセレスティーナに触れたくない。
かつて死を選んだからこそ、グレイスは死に対して敏感だ。
ジルベール王太子の死に関しても、多分未だに責任を感じているだろう。
だから、我慢した。
どちらにせよ、ブラシールの王族自体を処罰しなくてはならない。
叔父上が早速、抗議文を送った。
あの、馬鹿な国のことだ。すぐに、意味不明なことを言ってくるだろう。
同時に宰相と騎士団長にも手紙を送ってある。あの2人が立ち上がらなければ、ブラシール王国を滅ぼそう。
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