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拒絶される理由
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国王生誕祝賀会の数日後、まさかバーバラがルーカスを待ち伏せるとは、想像もしていなかった。
毎日王立図書館に、エレインを送り迎えしている事を誰かが知らせたのだろう、本を読む訳でもなく片隅にある喫茶スペースでお茶を飲んでいたのだ。
ルーカスの姿を捉えると、立ち上がり用件だけを言って来た。
「オルターナ皇子、お話をして差し上げますわ。貴賓館のサロンへ行きましょう」
不愉快に思ったルーカスは、エレインを連れて執務室へ行こうとしたのだが、それは拒まれてしまった。
「エリー。今日は一緒に執務室へ行こう」
「いいえ、お兄様。私はここでバーバラ様とお話を致しますから、おいて行って下さいませ」
「何を言っている。エリーを一人には出来ない」
エレインは、ルーカスの言葉に構わず、バーバラへと声を掛けたのだ。
「ごきげんよう、バーバラ様。お兄様には、お仕事がございますのよ。お話がしたいのであれば、私がお相手を致しますわ」
バーバラは、不愉快な態度を隠そうともしない。
「お前と話す事は、何もなくってよ」
エレインも、負けじとルーカスを庇う発言をした。
「それならば、お兄様も同じでしてよ。何故親しくもない女性と、二人きりでお茶を飲まなくてはいけないのです」
険悪な二人の様子を見て堪らなくなったルーカスは、何とかエレインを連れ出そうとするが、うまく行かなかった。
「エリー。相手にする必要は無い。今日は諦めて、僕と一緒に執務室へ行こう。本なら、あそこにも沢山ある」
「嫌ですわ、お兄様。私は、バーバラ様とお話がしたいのです」
「そこまで言うのでしたら、お相手してさしあげますわ。エレイン、付いて来なさい」
バーバラは先にサロンに向けて歩き出したが、それに続こうとしたエレインを、ルーカスが止めてしまう。
「エリー。行ってはいけない」
「お兄様、大丈夫でしてよ」
「駄目だ。一人には出来ない」
「お兄様。私には、とても優秀な護衛が付いております。一人では、ありませんのよ。それに、ここは王宮ですわ。近衛騎士も、沢山おりますのよ」
ルーカスが必死に引き留めている姿を見て、バーバラは苛立っていた。
「まあ。私が、何かするとでも考えているのかしら。そんなに妹が心配でしたら、ご一緒に来たら宜しいのではなくって」
ルーカスは不本意だがお茶を共にする事にして、アルフレッドには傍付きから少し遅くなる事を伝えて貰うのだった。
貴賓館のサロンに来ると、既にお茶の用意がされていたが、椅子は二脚しか無かった。
宮仕えたちはエレインが無理に付いて来たと思い慌てて椅子を用意したのだが、ルーカスへ出す予定だったお茶は、何故か全て片付けられてしまったのだ。
バーバラはルーカスに媚薬を盛り、既成事実を作ろうと企んでいたのである。
ルタオー王国での行動を知っていたルーカスは、アルフレッド共々警戒はしていたのだが、本当に行動を起こすとは思っていなかったので愕然としていた。
この後出された物には、いっさい手を付けなかったのは言うまでもない。
準備が整ったところで、バーバラがエレインに声をかけて来た。
「私への話しとは、何かしら」
エレインは、バーバラに対して怒りを携えている。
「お言葉に甘えて、遠慮なく申し上げますわね。バーバラ様は留学生として来たと言うのに学園には通わず、貴賓館に居座りアルフレッド殿下を追いかけ回していらっしゃると聞いておりました。私は学園にいらっしゃるよう、お声をかけようと思っていたのですが、気が変りましてよ。貴方様は、いったいお兄様に、何をする気なのです。ルタオー王国での騒動は、お聞きしておりますのよ。婚約者である令息を騙して媚薬を飲ませたと言うのは、ただの噂だと思っておりましたが、どうやら同じ事をお兄様にもなさろうとされたのですね。私、怒っておりますのよ」
バーバラは、元婚約者に媚薬を盛った事を、何故エレインが知っているのか理解出来ずにいた。
「国王陛下の生誕祝賀会でも、婚約者のいらっしゃる令息を、お誘いしようとされていたのでしょう。バーバラ様の行動は、全て筒抜けでしてよ」
バーバラはアルフレッドが言いふらしたのだと思うのだが、エレインの静かな怒りに恐れを感じてしまい、何も言い返す事が出来なかったのだ。
「国王陛下の生誕祝賀会には、沢山の招待客が王宮に来ておりました。その方たちが、バーバラ様を見ていらしたのです。一人や二人ではありませんのよ。複数で、同じ事を話していたのならば、噂など広まるのは容易い事ですわ」
バーバラはやはり男の視線を釘付けに出来ていたのだと納得し、やっとエレインに言い返す事が出来た。
「そう。私の美貌は、目立ちますものね。いつも沢山の男たちからの視線に慣れてしまっていたから、気が付きませんでしたわ。気が付いたとしても、私に相応しくない男等、声をかけるのも烏滸がましい事ですわね」
エレインは、冷たい微笑みを携えて、ただ静かに語るのだった。
「バーバラ様にお声をかける殿方は、まともな方ではありませんので、お気を付けた方が宜しいかと思いますわ」
「それは、どう言う意味なのかしら。返答によっては、ただでは済まなくってよ」
「私が知っている事を、お聞きしたいと仰るのでしたら包み隠さずにお話致しますが、憤慨されると思いましてよ」
バーバラは既に憤慨しているのだが、エレインの静かな怒りの前では、虚勢を張るのが精一杯だった。
「さっさと話しなさい。じらされるのは、好きではなくってよ」
これには、ルーカスの方が慌てて話に割って入って来た。
「待ちなさい、僕から話そう。エリーの口が穢れてしまう」
ルーカスは、各国にバーバラが警戒されている事を、包み隠さずに話して聞かせたのだ。
ロイズ王国でもそれは有名な事で、誰からもバーバラが歓迎されていない事も付け加えた。
何時何処で誰の子を孕むか分からない王女を、娶りたいと思っている高位貴族や王族はいない事を、バーバラはこの時漸く理解する事になる。
「その様な戯言を、誰が信じると言うのです」
「国王陛下の生誕祝賀会に出席した賓客の中に、お前の目に叶う男はいたのか。女性ばかりで、誰も誘う気にはならなかったのではないか」
バーバラは宮仕えの言っていた言葉を思い出し、何も言い返す事が出来ず、顔色を悪くしていた。
ルーカスは、気に掛ける事もなく、畳みかける様に言葉を続ける。
「祝賀会に招待される貴族家は、みな爵位の高い者ばかりだからな。お前の様な尻癖の悪い女を、嫡男の嫁に欲しいと思う訳が無い。誰の子を孕むか分からない女を嫁に迎えたら、建国当初から続いている血筋が、途絶えてしまうだろう。そんな事も理解出来ず、未だにアルフレッドの妃になれると思っているおめでたい奴に、僕が本気で惚れるとでも思っているのか。媚薬を盛って既成事実を作ったとして、何が悲しくてお前を娶らねばならん。子を産みたければ、勝手に産めばいい。理不尽な遣り方で僕が被害を受けたのならば、責任を取る義理も無いだろう。逆に慰謝料を請求しても、良いくらいだ。お前に声をかけて来るのは失う物も責任を取るつもりも無い、お前と同じく快楽だけを求めて、飽きたら平気で捨てる碌でも無い男だけだ。そんな奴らとアルフレッドを一括りにされては、不愉快極まりない。お前のその自慢の美貌など、ただの性欲の捌け口に過ぎないと言う事を、覚えておけ。今更服装を変え行動を改めたところで、自ら進んで複数の男の手付きになった汚らわしいお前など、同じ席で茶を飲むのも気持ちが悪くて吐き気がする。我が国に居座られているのも腹が立つ。誰からも歓迎されていないのだから、さっさと荷物を纏めて、国へ帰れ」
ルーカスは立ち上がると、エレインをエスコートして、貴賓館のサロンを後にした。
去って行く兄妹の後姿を、バーバラは放心状態で見送る事しか出来ずにいる。
全く動かなくなってしまった主を心配した宮仕えが、声をかけるが反応がない。
何度か声をかけたところで、やっと正気を取り戻したのだった。
「おひいさま。そろそろ日が傾いて来ました。お部屋へ戻りましょう」
「お前たちは、知っていたのかしら」
青褪めた顔の宮仕えたちを見て、知らなかったのは自分だけなのだと、バーバラは理解した。
「そう。知っていたのなら、何故教えてはくれなかったの」
「申し開きもございません」
バーバラは、大きく深呼吸をして呟く様に問いかけて来る。
「私は、後悔などしていないわ。そうでしょう、こんなに美しく産まれたのですもの。一人の男に縛られるなど、あってはならない事なのよ」
「ですが…」
宮仕えは、その後の言葉が続かなかった。
「お前たちの言いたい事は、分かっていてよ。このままでは、私は居場所を無くしてしまう。どんな事をしてでも、オルターナ皇子を私の物にしてみせるわ。ここで諦める事など、出来るはずが無いのですもの」
バーバラは悪足掻きと分かっていても、どうしても諦める事が出来なかった。
ルーカスが見向きもしない原因が何かを考える事もせず、矛先は自然とエレインへと向いてしまうのだった。
この国に来てからずっとエレインの存在を疎ましく思っていたのだが、とうとう行動を起こす時が来たと考えてしまったのである。
毎日王立図書館に、エレインを送り迎えしている事を誰かが知らせたのだろう、本を読む訳でもなく片隅にある喫茶スペースでお茶を飲んでいたのだ。
ルーカスの姿を捉えると、立ち上がり用件だけを言って来た。
「オルターナ皇子、お話をして差し上げますわ。貴賓館のサロンへ行きましょう」
不愉快に思ったルーカスは、エレインを連れて執務室へ行こうとしたのだが、それは拒まれてしまった。
「エリー。今日は一緒に執務室へ行こう」
「いいえ、お兄様。私はここでバーバラ様とお話を致しますから、おいて行って下さいませ」
「何を言っている。エリーを一人には出来ない」
エレインは、ルーカスの言葉に構わず、バーバラへと声を掛けたのだ。
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バーバラは、不愉快な態度を隠そうともしない。
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エレインも、負けじとルーカスを庇う発言をした。
「それならば、お兄様も同じでしてよ。何故親しくもない女性と、二人きりでお茶を飲まなくてはいけないのです」
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「エリー。相手にする必要は無い。今日は諦めて、僕と一緒に執務室へ行こう。本なら、あそこにも沢山ある」
「嫌ですわ、お兄様。私は、バーバラ様とお話がしたいのです」
「そこまで言うのでしたら、お相手してさしあげますわ。エレイン、付いて来なさい」
バーバラは先にサロンに向けて歩き出したが、それに続こうとしたエレインを、ルーカスが止めてしまう。
「エリー。行ってはいけない」
「お兄様、大丈夫でしてよ」
「駄目だ。一人には出来ない」
「お兄様。私には、とても優秀な護衛が付いております。一人では、ありませんのよ。それに、ここは王宮ですわ。近衛騎士も、沢山おりますのよ」
ルーカスが必死に引き留めている姿を見て、バーバラは苛立っていた。
「まあ。私が、何かするとでも考えているのかしら。そんなに妹が心配でしたら、ご一緒に来たら宜しいのではなくって」
ルーカスは不本意だがお茶を共にする事にして、アルフレッドには傍付きから少し遅くなる事を伝えて貰うのだった。
貴賓館のサロンに来ると、既にお茶の用意がされていたが、椅子は二脚しか無かった。
宮仕えたちはエレインが無理に付いて来たと思い慌てて椅子を用意したのだが、ルーカスへ出す予定だったお茶は、何故か全て片付けられてしまったのだ。
バーバラはルーカスに媚薬を盛り、既成事実を作ろうと企んでいたのである。
ルタオー王国での行動を知っていたルーカスは、アルフレッド共々警戒はしていたのだが、本当に行動を起こすとは思っていなかったので愕然としていた。
この後出された物には、いっさい手を付けなかったのは言うまでもない。
準備が整ったところで、バーバラがエレインに声をかけて来た。
「私への話しとは、何かしら」
エレインは、バーバラに対して怒りを携えている。
「お言葉に甘えて、遠慮なく申し上げますわね。バーバラ様は留学生として来たと言うのに学園には通わず、貴賓館に居座りアルフレッド殿下を追いかけ回していらっしゃると聞いておりました。私は学園にいらっしゃるよう、お声をかけようと思っていたのですが、気が変りましてよ。貴方様は、いったいお兄様に、何をする気なのです。ルタオー王国での騒動は、お聞きしておりますのよ。婚約者である令息を騙して媚薬を飲ませたと言うのは、ただの噂だと思っておりましたが、どうやら同じ事をお兄様にもなさろうとされたのですね。私、怒っておりますのよ」
バーバラは、元婚約者に媚薬を盛った事を、何故エレインが知っているのか理解出来ずにいた。
「国王陛下の生誕祝賀会でも、婚約者のいらっしゃる令息を、お誘いしようとされていたのでしょう。バーバラ様の行動は、全て筒抜けでしてよ」
バーバラはアルフレッドが言いふらしたのだと思うのだが、エレインの静かな怒りに恐れを感じてしまい、何も言い返す事が出来なかったのだ。
「国王陛下の生誕祝賀会には、沢山の招待客が王宮に来ておりました。その方たちが、バーバラ様を見ていらしたのです。一人や二人ではありませんのよ。複数で、同じ事を話していたのならば、噂など広まるのは容易い事ですわ」
バーバラはやはり男の視線を釘付けに出来ていたのだと納得し、やっとエレインに言い返す事が出来た。
「そう。私の美貌は、目立ちますものね。いつも沢山の男たちからの視線に慣れてしまっていたから、気が付きませんでしたわ。気が付いたとしても、私に相応しくない男等、声をかけるのも烏滸がましい事ですわね」
エレインは、冷たい微笑みを携えて、ただ静かに語るのだった。
「バーバラ様にお声をかける殿方は、まともな方ではありませんので、お気を付けた方が宜しいかと思いますわ」
「それは、どう言う意味なのかしら。返答によっては、ただでは済まなくってよ」
「私が知っている事を、お聞きしたいと仰るのでしたら包み隠さずにお話致しますが、憤慨されると思いましてよ」
バーバラは既に憤慨しているのだが、エレインの静かな怒りの前では、虚勢を張るのが精一杯だった。
「さっさと話しなさい。じらされるのは、好きではなくってよ」
これには、ルーカスの方が慌てて話に割って入って来た。
「待ちなさい、僕から話そう。エリーの口が穢れてしまう」
ルーカスは、各国にバーバラが警戒されている事を、包み隠さずに話して聞かせたのだ。
ロイズ王国でもそれは有名な事で、誰からもバーバラが歓迎されていない事も付け加えた。
何時何処で誰の子を孕むか分からない王女を、娶りたいと思っている高位貴族や王族はいない事を、バーバラはこの時漸く理解する事になる。
「その様な戯言を、誰が信じると言うのです」
「国王陛下の生誕祝賀会に出席した賓客の中に、お前の目に叶う男はいたのか。女性ばかりで、誰も誘う気にはならなかったのではないか」
バーバラは宮仕えの言っていた言葉を思い出し、何も言い返す事が出来ず、顔色を悪くしていた。
ルーカスは、気に掛ける事もなく、畳みかける様に言葉を続ける。
「祝賀会に招待される貴族家は、みな爵位の高い者ばかりだからな。お前の様な尻癖の悪い女を、嫡男の嫁に欲しいと思う訳が無い。誰の子を孕むか分からない女を嫁に迎えたら、建国当初から続いている血筋が、途絶えてしまうだろう。そんな事も理解出来ず、未だにアルフレッドの妃になれると思っているおめでたい奴に、僕が本気で惚れるとでも思っているのか。媚薬を盛って既成事実を作ったとして、何が悲しくてお前を娶らねばならん。子を産みたければ、勝手に産めばいい。理不尽な遣り方で僕が被害を受けたのならば、責任を取る義理も無いだろう。逆に慰謝料を請求しても、良いくらいだ。お前に声をかけて来るのは失う物も責任を取るつもりも無い、お前と同じく快楽だけを求めて、飽きたら平気で捨てる碌でも無い男だけだ。そんな奴らとアルフレッドを一括りにされては、不愉快極まりない。お前のその自慢の美貌など、ただの性欲の捌け口に過ぎないと言う事を、覚えておけ。今更服装を変え行動を改めたところで、自ら進んで複数の男の手付きになった汚らわしいお前など、同じ席で茶を飲むのも気持ちが悪くて吐き気がする。我が国に居座られているのも腹が立つ。誰からも歓迎されていないのだから、さっさと荷物を纏めて、国へ帰れ」
ルーカスは立ち上がると、エレインをエスコートして、貴賓館のサロンを後にした。
去って行く兄妹の後姿を、バーバラは放心状態で見送る事しか出来ずにいる。
全く動かなくなってしまった主を心配した宮仕えが、声をかけるが反応がない。
何度か声をかけたところで、やっと正気を取り戻したのだった。
「おひいさま。そろそろ日が傾いて来ました。お部屋へ戻りましょう」
「お前たちは、知っていたのかしら」
青褪めた顔の宮仕えたちを見て、知らなかったのは自分だけなのだと、バーバラは理解した。
「そう。知っていたのなら、何故教えてはくれなかったの」
「申し開きもございません」
バーバラは、大きく深呼吸をして呟く様に問いかけて来る。
「私は、後悔などしていないわ。そうでしょう、こんなに美しく産まれたのですもの。一人の男に縛られるなど、あってはならない事なのよ」
「ですが…」
宮仕えは、その後の言葉が続かなかった。
「お前たちの言いたい事は、分かっていてよ。このままでは、私は居場所を無くしてしまう。どんな事をしてでも、オルターナ皇子を私の物にしてみせるわ。ここで諦める事など、出来るはずが無いのですもの」
バーバラは悪足掻きと分かっていても、どうしても諦める事が出来なかった。
ルーカスが見向きもしない原因が何かを考える事もせず、矛先は自然とエレインへと向いてしまうのだった。
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