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23.作戦会議(2)

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「ごちそうさまでした。オレンジジュースおいしかったよー」

 旅の話をしたり、恋人ごっこのような甘々な時間を過ごし、各々が頼んだ飲み物を味わい尽くしたころ、時計の針は、午後の九時半近くを指していた。

「そろそろ、洗濯物が乾いてるころだな。取りに行って部屋に帰ろう」

「うん」

 ラウンジでの会計を済ませた俺たちは、コインランドリーで乾燥機にかけていた衣服を回収し、客室へと戻る。

「うわ、寒いな!」

「ほんとだねー。お風呂上がりの時はそうでもなかったのに」

 夜になった事と、今もなお降っている雨によって気温が下がってきたからか、部屋に入った途端、あらかじめ設定していた温度の冷房がやたら寒く感じた。

 湯上がりからしばらく経った体を冷やしすぎると体調を崩しかねないので、まずは温度と送風の強さを調節し、快適な環境作りを行う。

 そしてコインランドリーから回収した衣服を畳み終わったら、お次は荷物と貴重品の整理だ。

 連泊なので、翌日もこの部屋に泊まる事は確定しているのだが、日が明けたら、チェックアウト時間の午前十一時までには、一旦部屋を出てほしいとの要請なのである。

 ただ、部屋を空にしろというわけではなく、荷物は置いたままで、貴重品類も金庫に閉まっておいて構わないそうだ。

 要するにホテル側としては、もう一泊してくれるお客様のために、再度、掃除やルームウェアの交換、ベッドメイキングなどを行い、改めて綺麗な状態にした部屋を客に提供したいのである。

 その客室のクリーニングは念入りに行うため、およそ二十分は要するとの事。

 そういう事情があるので、明日はまず朝食を取った後、チェックアウトの時間ギリギリまでのんびりと過ごし、十一時になったら部屋を出る。

 クリーニングが終わり、再び客室を利用できるようになるまでには、俺たちはホテル内外の施設を散策したり、地階のレストランで昼食を取っておくなど、やりたい事を全部済ませておく予定だ。

 ソファーに座った俺は、チェックインの時に渡された、紙幣を模した昼食券を手に取って眺めながら、ポツリとつぶやいた。

翔風楼しょうふうろうかぁ……」

「ねぇねぇお兄ちゃん」

 ひとり物思いにふけっていると、ウサちゃんのぬいぐるみを抱いたミオがやって来て、俺の隣に腰掛ける。

「ん? どうしたんだい? ミオ」

「明日のお昼ご飯って、どこで食べるの?」

「さっきディナーを食べに行ったフロアがあっただろ? あそこにいくつか並んでるレストランの一つで、これを使ってご飯が食べられるんだよ」

 俺はそう言って、二枚ある昼食券の一枚をミオに手渡す。

「お金はいらないの?」

「うん。ホテルに泊まるための予約をした時に、全部先払いしちゃったからね」

「そうなんだ。何だか、難しい漢字のお店だね」

「名前からして中華料理の店かな? って思ったんだけど、実際はまだ何料理を出すのか分かってないんだよなぁ」

「でも、きっとおいしいご飯が食べられるよ」

 ミオが確信を持ってそう答えたのは、れっきとした理由があるからだ。
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