転生令嬢はやんちゃする

ナギ

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第二章

空白の時間

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 お茶を飲みつつお菓子食べつつ。
 あのパーティーは結局何だったのか、という話だ。
 ジゼルちゃんはいつもしている定例のものじゃないかしら、と言う。
 テオは情報集めの場かな、と。
 殿下は、特に意味はない遊びじゃないだろうかとおっしゃる。
「遊びですか」
「暇潰しでもいいけどね」
 殿下から見たバルトロメ様というのは、やり手ではある。けれどどこか、ずれているらしい。
 仕事は熱心にしなくてもできる。
 けれど政務の手伝いにでるわけでもなく。ひとまずジャジャル家の仕事をしている程度かなと。
 野心があるようで、ないようで。
「掴みどころがなくて俺も困るんだよね。どう扱えばいいのかって」
 それは将来的なことも含めて、らしい。
 それならまだ、カロンの方が目立ちたいとか、権力欲とか。そういうものがあるからこそ、扱いやすいと。
「お兄様はバルトロメ様苦手とか言ってましたね」
「だろうね。苦手っていうかあれはもう馬が合わないかな」
 私は、バルトロメ様を遠くからしか見たことが無くて。お話したことはないのだけども。
 殿下は挨拶だなんだで接触するもんねー。
「まぁ、でもトリスタンが苦手とか言うのは、煮え湯を飲まされたというか」
「え?」
 おお、何々、お兄様何かやられた系?
 私がそれが気になるとそわそわしていると殿下は笑って。
「前回あったこういうパーティーでちょっとね」
 さすがに内容を言ったと後で知れたら俺がねーと殿下は笑う。
 まるで思い出し笑いのようで私は一層気になってしまう。
「トリスタンに聞いてみればいい。答えてくれないだろうけどね」
「えー」
 それを聞けばお兄様の弱みになるかと思ったのだけど!
 でも逆にそんなことどうして知ってるといびられるような感じもしないでもない。
「で、レティはずっとカロンに話しかけられてたけど」
「ああ、何かいろいろ質問されてたんですけど、何話していたのかはよく覚えてないです」
 あんまり楽しい、って感じではなかったですよと私は言う。
 殿下はカロン様も知っているのでまぁそうだろうなぁと零した。
「カロンは自意識過剰というか……皆、自分のことを好きになるだろうって考えるタイプというか」
「あー」
「よくわかります。そういう方は私もあまり好きではありません」
「けど、ちゃんと努力はしてるからな。から回ってる事はあるけど」
 ジゼルちゃんもカロン様はあまりと言ったところ。
 殿下は、別に嫌いとか苦手はないんだろうなぁ。
「そういえばテオは? あの時間ずーっとデジレ様に絡まれてたよね?」
「ええ、はい」
「姉上とどんな話を?」
 殿下に促されてテオは世間話ですと言う。
 なんかこう、はぐらかされてる感じがすごくあるんだけど。
「なんというか、他の方々もお声がかけたかったみたいですけど盛り上がっているところに声をかけて不興を買うのも、と防波堤のように使われました」
「ああ、なるほど……つまり姉上の演説だったわけか」
「まぁ、そうですね。国の憂いについて語っていただきました」
 だからダメなんだよなーと殿下は笑う。
 姉上はまだ王子であるところが抜けていない。
 政治経済。そういったものに精通しているのは確かなことだ。
 しかし、王女となってはそれに口をだすのはなかなか難しいこともわかっている。
 貴族たちは、女が何をと思うだろうからと。
「姉上は自分の手駒が欲しいんだろうなぁ、とは思うけどね。若い連中に自分の考えと同じものを持つものを見出し、そして育てるというか……」
「自分の派閥が欲しいということですか?」
「それとはちょっと違うかな」
 説明するのは難しいねと殿下は言う。
 なんとなく、言いたいことはわかるのだけど。
「派閥というか……同志ではないですか?」
「あ、それのほうがしっくりくる」
 私の言葉にそれだよと殿下は頷く。
 同志。同志かー。
 ではそれは、何をするための、目指すための仲間なのか。
 デジレ様は、私が知っている限りでは全うだ。
 その、悪の道に進むというより正道を進むタイプ。
 悪い人ではない。ただまっすぐすぎるだけじゃなくて、ちゃんと清濁併せ持ってる感じでもあるけど。
 まー、そうじゃないとやってけないよね!
「……そういえば、殿下はデジレ様の……素敵な怪盗さんをご存じですよね」
「ああ……あれね、うん。知ってる」
 ふと、思い出して。私は問う。ばれたとか言ってたのでご存じのはず。
 その通りで、歯切れの悪い感じで殿下はため息をつく。
「その二代目を私にという話は」
「えっ?」
 あっ。
 この反応。これ知らないやつだ。
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