いたいのいたいの

 その若い魔女はどんな傷も病も掴める手を持っていました。その癒しの手で人々を治癒するうちに、魔女でありながら癒しの聖女と呼ばれるようになりました。
 けれど、自身は魔女だと考えている彼女にとって、聖女と呼ばれるのは苦痛です。住処の土地が疲弊する頃、彼女は闇夜に紛れて姿を消しました。

 やがて、その地に原因不明の流行病が蔓延します。誰もが癒しの聖女を捜しました。自身が救われるために。
 貧しい娘もその一人でした。貧しい娘は若い魔女を捜します。
 その罪を、その身を、裁くために。
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