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第3章
148. 草むしり
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「あっ!ベイローレルさん!」
僕は受付に歩いていくのを呼び止めた。振り返ったベイローレルさんが「なんだ?」と聞いてくる。
「あの、依頼を受ける人にだけ場所を教えると言ってもただの庭の草むしりですよ?今まで他の人がやってもおかしくないのになんでそれは残っていたんでしょうか?」
「そうだなぁ…考えれるとしたら、この依頼を頼む奴は貴族の可能性が高いってことだな。貴族は自分家の庭なんて他人任せだろ?庭師に頼んでもいいんだが、たまに雑草が伸びすぎて庭師にも手に負えない時はこうやってギルドに依頼が来る。依頼をする貴族がギルドにお金を支払ってランク上げの材料にする、さらにその依頼をこなした冒険者にもお金を払う、ランクの低い依頼でも二重にお金を支払うわけだからそれなりに金持ちじゃないとこういうことはできない。で、なんでこの依頼が残ってたかって言うと、変にやっかみを受けたくないからだろうな。お貴族様に皆、関わりたくねぇんだ。ランクを上げる為なら弱い魔獣を倒してランクを上げる方が早いからな。そしたら必然的にこういうのが残っていく、わかったか?まぁあくまで俺の予想だけどな。」
そう言いながら依頼の紙をピラピラ揺らしているベイローレルさんは「これは出してきていいのか?」と聞いてくる。
「ああ!すみません!お願いします。」
僕はそう返事をして後を追った。
受付で手続きを済ますと依頼主の家の住所と地図そして名前がわかった。僕は名前を見た瞬間、依頼を受けたことを後悔した。
なんとそこにはリーフ・セイボリーと書かれている。
「(カラマス君のお父さんじゃん!)」と溜息をつくとベイローレルさんが「どうしたんだ?やっぱりお貴族様で嫌なのか?」と聞いてくる。「いえ、そうではないんですが…。」と苦笑いで答えると「俺も手伝うから頑張ろうぜ。」と微笑みながら頭を撫でられた。その不意打ちにドキリとする。僕は頭をフルフルと振り恥ずかしさ紛らわせた。
リーフ様のお屋敷に着いた僕達はドアノッカーを鳴らし人を呼んだ。
「はい、どなたでしょうか?」と執事さんが出てきたので「こんにちは、私はフェンネルと言います。ギルド依頼の庭の草むしりをしに来ました。」と答えた。
「畏まりました、ご案内致します。」
執事さんは新しい人に変わっており、僕のことを知らないみたいだ。
執事さんに案内された庭に着くとその光景に驚いた。雑草が無造作に生え、綺麗だった花がしおれている。
「(前にカラマス君と見たときはこんなんじゃなかったのに…。)」
僕がその姿に呆然としていると執事さんは「驚かれますよね、ここ数ヶ月手入れをされてないのです。私共も手を加えようと思ったのですが、庭を触るのを禁止されていまして…。」と言った。
「禁止…ですか?」
「はい、こちらの次兄様がとても大事にされている庭らしく自分以外は触らせたくないとかで…。」
「そうですか…。
(大事なはずなのにこれはヒドイ…。)」
その話に疑問を持ちながらも執事さんからこの庭の整備について説明をされる。
「あの…今更なんですが、僕がこの庭を触っても大丈夫なんでしょうか?大事にされているなら触らない方が…。」
「それは大丈夫です。この屋敷のご主人様が痺れを切らして依頼を出しましたので。」
「(リーフ様か…。)」
「では、一通り草を抜いて頂いて、花壇が見えるようにしておいてください。花壇内は私共がします。」
「わかりました。」
僕はそう返事をするとベイローレルさんに向き直った。
「ベイローレルさん、実はこのお屋敷の方々と僕は少し関係がありまして、多分草むしりをして帰るだけならなんの問題もないとは思いますが、もしご迷惑をかけたらすみません…。」
「…?ああ…事情はよく分からんが特に何もなければ問題ない。さぁやるか。」
ベイローレルさんは雑木林と化してる庭を見る。
「ベイローレルさん、この草むしり、手作業じゃないとダメなんですかね?」
「えっ?嫌、別にそんな決まりはないが…。どうする気だ?」
「僕も生活魔法程度の火は使えますので、光魔法でバリアを張りながら雑草を燃やせば他に被害も出なくていいのかな…と。」
「…たしかに。そんな考えはなかったなぁ。じゃあ表面的にはそうやって処理して根だけ掘り起こして更に焼いたら完璧じゃないか?」
「そうですね!そうしましょう。じゃあ早速始めますね。」
僕は周りを見渡しバリアを張る。そのままその中に火を灯して雑草を燃やしていく。
「(これをすれば煙も出ないし、環境にもいいよね。あとで燃えカスだけ片付けよう。)」
そう思いながら黙々とやるとほんの1時間程ですべての雑草は燃え尽きた。
「ベイローレルさん、出来ました!じゃあ次はこの鍬を使って根を掘り起こしたらいいんですね。」
「ああ、それは俺も手伝ってやる。」
僕達は黙々と根を掘り起こした。
僕は受付に歩いていくのを呼び止めた。振り返ったベイローレルさんが「なんだ?」と聞いてくる。
「あの、依頼を受ける人にだけ場所を教えると言ってもただの庭の草むしりですよ?今まで他の人がやってもおかしくないのになんでそれは残っていたんでしょうか?」
「そうだなぁ…考えれるとしたら、この依頼を頼む奴は貴族の可能性が高いってことだな。貴族は自分家の庭なんて他人任せだろ?庭師に頼んでもいいんだが、たまに雑草が伸びすぎて庭師にも手に負えない時はこうやってギルドに依頼が来る。依頼をする貴族がギルドにお金を支払ってランク上げの材料にする、さらにその依頼をこなした冒険者にもお金を払う、ランクの低い依頼でも二重にお金を支払うわけだからそれなりに金持ちじゃないとこういうことはできない。で、なんでこの依頼が残ってたかって言うと、変にやっかみを受けたくないからだろうな。お貴族様に皆、関わりたくねぇんだ。ランクを上げる為なら弱い魔獣を倒してランクを上げる方が早いからな。そしたら必然的にこういうのが残っていく、わかったか?まぁあくまで俺の予想だけどな。」
そう言いながら依頼の紙をピラピラ揺らしているベイローレルさんは「これは出してきていいのか?」と聞いてくる。
「ああ!すみません!お願いします。」
僕はそう返事をして後を追った。
受付で手続きを済ますと依頼主の家の住所と地図そして名前がわかった。僕は名前を見た瞬間、依頼を受けたことを後悔した。
なんとそこにはリーフ・セイボリーと書かれている。
「(カラマス君のお父さんじゃん!)」と溜息をつくとベイローレルさんが「どうしたんだ?やっぱりお貴族様で嫌なのか?」と聞いてくる。「いえ、そうではないんですが…。」と苦笑いで答えると「俺も手伝うから頑張ろうぜ。」と微笑みながら頭を撫でられた。その不意打ちにドキリとする。僕は頭をフルフルと振り恥ずかしさ紛らわせた。
リーフ様のお屋敷に着いた僕達はドアノッカーを鳴らし人を呼んだ。
「はい、どなたでしょうか?」と執事さんが出てきたので「こんにちは、私はフェンネルと言います。ギルド依頼の庭の草むしりをしに来ました。」と答えた。
「畏まりました、ご案内致します。」
執事さんは新しい人に変わっており、僕のことを知らないみたいだ。
執事さんに案内された庭に着くとその光景に驚いた。雑草が無造作に生え、綺麗だった花がしおれている。
「(前にカラマス君と見たときはこんなんじゃなかったのに…。)」
僕がその姿に呆然としていると執事さんは「驚かれますよね、ここ数ヶ月手入れをされてないのです。私共も手を加えようと思ったのですが、庭を触るのを禁止されていまして…。」と言った。
「禁止…ですか?」
「はい、こちらの次兄様がとても大事にされている庭らしく自分以外は触らせたくないとかで…。」
「そうですか…。
(大事なはずなのにこれはヒドイ…。)」
その話に疑問を持ちながらも執事さんからこの庭の整備について説明をされる。
「あの…今更なんですが、僕がこの庭を触っても大丈夫なんでしょうか?大事にされているなら触らない方が…。」
「それは大丈夫です。この屋敷のご主人様が痺れを切らして依頼を出しましたので。」
「(リーフ様か…。)」
「では、一通り草を抜いて頂いて、花壇が見えるようにしておいてください。花壇内は私共がします。」
「わかりました。」
僕はそう返事をするとベイローレルさんに向き直った。
「ベイローレルさん、実はこのお屋敷の方々と僕は少し関係がありまして、多分草むしりをして帰るだけならなんの問題もないとは思いますが、もしご迷惑をかけたらすみません…。」
「…?ああ…事情はよく分からんが特に何もなければ問題ない。さぁやるか。」
ベイローレルさんは雑木林と化してる庭を見る。
「ベイローレルさん、この草むしり、手作業じゃないとダメなんですかね?」
「えっ?嫌、別にそんな決まりはないが…。どうする気だ?」
「僕も生活魔法程度の火は使えますので、光魔法でバリアを張りながら雑草を燃やせば他に被害も出なくていいのかな…と。」
「…たしかに。そんな考えはなかったなぁ。じゃあ表面的にはそうやって処理して根だけ掘り起こして更に焼いたら完璧じゃないか?」
「そうですね!そうしましょう。じゃあ早速始めますね。」
僕は周りを見渡しバリアを張る。そのままその中に火を灯して雑草を燃やしていく。
「(これをすれば煙も出ないし、環境にもいいよね。あとで燃えカスだけ片付けよう。)」
そう思いながら黙々とやるとほんの1時間程ですべての雑草は燃え尽きた。
「ベイローレルさん、出来ました!じゃあ次はこの鍬を使って根を掘り起こしたらいいんですね。」
「ああ、それは俺も手伝ってやる。」
僕達は黙々と根を掘り起こした。
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