ヤンデレ魔法使いに捕まって、従属魔法で逃げられない

すももゆず

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2.従属(後編)

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「なんで、知って……」
「ロアのことなら何でも知ってんだよ」

 数日前、父さんから見合いの話が来た。相手は隣町の令嬢。ちいさな家柄らしいが、それでも下町にある一般的な俺の家よりはずいぶん格上だ。結婚相手を探していた令嬢が、俺の写真を見て会ってみたいと言ったらしい。

 でも俺は、騎士団にまだいたかったし、それに……ラウルスと過ごす日々も大切で……何かを変えようとは思ってなかった。なのに……

「なあ、なんでまだ保留にしてる?」
「それはっ……父さんに、会うだけ会えって言われたんだ、会ったら、すぐに……」
「……俺以外のものになるなんて許さない」

 ドチュンッッッ♡♡♡
 再び、ラウルスの腰が強く打ち付けられるッ♡

「お前は俺のなんだよ!なあ、そうだろ!? なあ、ロア!ロアだって俺のこと好きだもんな!♡好きって言えよ!」
「あっ、あああっ♡とまって♡とまってぇ♡♡」

 パンッ♡パンッ♡パンッ♡パンッ♡

「俺だってなあ、こんなことするつもりなかったよ。我慢してたんだよ。このまま一緒に過ごしていけたらいいかな、とか甘いこと考えてた。でもそんな悠長にしてられないよなあ。お前は将来有望な騎士様だもんな、そりゃ見合いの一つや二つ転がってくるよなあ?」
「あっ♡やめっ……ラウルスッ♡ おれ、ほんとに♡ ことわる、つもりでっ♡騎士のしごと、やりたいしっ♡だからっ……、ぬいてぇ♡♡」
「分かったんだ。誰かのものになるなら、閉じ込めるしかないってな。もう、俺は我慢できない……♡」

 どろどろと、真っ黒な愛欲に溶けた瞳。もう何を言っても届かない。ラウルスは口を開き、何語か分からない、呪文を唱えた。

「~~~~~~~~~~~ッ!?♡♡♡」

 その瞬間、ビリビリと電流が全身を駆け抜け、イった。相手を強制的に絶頂させる魔法……?そんな魔法があってたまるか。いや、その方がマシだったかもしれない。

 電流はやがて、首もとに集まり消えていった。

「うまくいった。ロア、目を開けてみろ」
「っ……♡ はぁっ……っ♡ え……あ……♡」

 目を開け、焦点を合わせる。どこから取り出したのか、ラウルスの手には手鏡が握られていた。そこに映った俺の首には、赤黒い血の色で古代の文字のような謎の言語が綴られていて、巻き付くように首を一周している。なんだ、これは。

 俺の動揺を見透かし、ラウルスは顔を歪めて笑う。指先がつうっと首に触れた。

「従属魔法。これでもう、お前は俺に逆らえない」
「は……? そんなもの、存在するのか……!?」
「確かめてみるか?」

 繋がったまま体を起こされ、ラウルスの腹の上に乗せられる。騎乗位ってやつだ……っ

「ロア、腰振ってにゃんにゃん喘げ♡」
「えっ……にゃっ……!?♡」

 とちゅ♡とちゅ♡とちゅ♡とちゅっ♡

「ひっ、にゃっ♡あっ♡あっ♡ にゃああああ"ッ♡♡♡にゃんっ♡にゃっ♡にゃあああんッッ♡♡♡」

 うそだろ!?♡ 止まらないっ♡腰振るの止まらないっ……♡♡気持ちいい……っ♡♡

「ははっ……♡必死で腰振って、可愛い♡ 前立腺コリコリするのが好きなのか? あ、そうだ、猫耳と尻尾もつけたらどうだろうな」

 パチンと指が鳴った。腰を振るのに必死で、確認できないけど、ラウルスが楽しそうに笑ってるから、きっと耳と尻尾がついているんだろう。

「あはははっ!似合ってる、可愛いなあ、ロア♡  尻尾触ってやるよ!」
「にゃっ♡にゃああああああっ♡♡♡」

 ビクビクビクビクッ♡♡♡
 尻尾握られて、イった♡すっげえ快感走った♡残ったせーえき全部出た♡

「頑張って腰振ったご褒美なっ♡」
「うにゃっ!?♡」

 腰を掴まれ、ラウルスに揺さぶられる♡こんなん、強すぎる♡

 ドチュドチュドチュドチュドチュドチュドチュ♡♡♡

「ほら喜べっ♡出すぞっ……くっ……♡」
「っ、にゃ~~~~~~~~~~~~ッッ♡♡♡♡♡♡」

 猫みたいに腰を振って、達する。前でイったのか後ろでイったのか、訳わかんない。もう精液はほとんど出なかった。ほんとに言われた通り『にゃあん』としか喘げなかった。頭が、身体が、こいつに支配されてるっ……♡♡

 力尽きてバタンとラウルスの胸板に倒れ込む。

「ああ、楽しかった。はい、にゃんにゃん終わり。普通に喋っていいよ」
「あっ……♡はあっ……っ♡ しゃべれる……つかれた……っ♡」
「少しぐらい休憩するか。これは抜かないけど」
「抜けよ……うぐっ♡」

 絶対抜かないとばかりに、奥にグッと押し込まれた。こいつの出した精液が横から溢れてる感触が気持ち悪い。そのままラウルスに抱きしめられ、よしよし、と猫耳ごと頭を撫でられた。猫耳と尻尾まだ残ってるぞ……!

「猫耳はとりあえずいいか。今度猫ちゃんプレイもしよーな♡」

 ラウルスがまた指を鳴らすと、耳と尻尾は消えた。

「おまえ、こんな魔法、どこで……」
「え?猫耳?」
「じゃなくて!これだよ!」

 顔をあげ、俺は首もとに指を当てた。赤い鎖が焼き付いたような、恐ろしい従属魔法。ラウルスは「ああ」と軽く笑った。そんなことか、と付け足した。

「封印されてた古文書。さすがの俺でも、読み解くのにはけっこう時間かかったな。でも解除は簡単だった」

 抱きしめる力が強くなる。苦しいほどに。

「解除方法は……従属させたい相手への想いの強さ……」

 耳を舐めながら囁かれ、ゾワッとした寒気が襲ってくる。ラウルスは淡々と、物語を語るように話し出す。

「古代、従属魔法が作られ、魔法使いが政治……いや、世界を自分たちのものにした。簡単だったろうな。誰が相手でも奴隷にすることができるんだから。そうして世界は崩壊しかけた。古代人たちは、強力すぎるこの魔法を作ってしまったことを悔い、効果を弱くして封印することにした。誰にでも使えるんじゃなく、魔法を手にした者が選んだひとりだけに使えるようにした。それが古文書の要約。最後にはこう書いてあった。"この魔法を解き放つ者、汝、その覚悟を見せよ。さすれば望みのひとりが手に入ろう"」
「っ……」
「だって。生ぬるいよなぁ? せっかく封印したのに、そんな楽な証明だけで使えるようになるなんて。この魔法、封印されてから誰も解除できなかったらしいのに。笑えるよ」

 ラウルスは俺の顎を持ち上げ、目を合わせる。透き通っていた紫の瞳は闇のように濁っていた。

「どうやって……証明したんだ……」
「ああ、ひとまず、街の人を皆殺しにしようとした。俺はロア以外要らないからな。その後は森を焼いて、植物も動物も焼こうかと思ったけど、それだと食べ物がなくなってしまうな、と考えていた。そしたら古文書の方から自分を使えとばかりに封印が解けた。世界の平和のために封印されてたんだもんな、そりゃ焦るか。あはははっ!」

 あっけらかんと笑っている。恐怖で、言葉にならなかった。古文書はラウルスが本気だと分かったんだ。本気で街の人を、俺の家族でさえも殺そうとしたんだ。

「あ……ああ……」
「震えてるのか? 心配するな、殺すのはやめたから。ロアを俺のものにできた。もう何も要らない」
「やだ……どうして……こわい……」
「まだ怖いのか? なあ、なんでだよ!」

 ガリっと首に犬歯が突き立てられた。痛い。血が首を伝う感覚がする。訳がわからなくて、ついに涙が落ちた。

「ううっ……ラウルス、なんで……なんで俺なんだよ……」
「人間は身勝手だ。魔法使いのことを除け者にし、魔法を使えと脅したり、怯えたり! でもロアは、純粋に俺の魔法を見たいと言ってくれた。たくさん遊びに来てくれた。可愛くて、大切だった。だが、人間と魔法使いの時の流れは違う。ロアに置いていかれるのは嫌だ。離れていくのは嫌だ。ずっと……俺の隣にいてくれ。俺のものになるんだ、ロア」

 ラウルスは苦しそうに、笑っていた。俺だって、ラウルスと一緒に過ごしたかった。こんな歪な形じゃなくても、一緒にいられたはずだ。人間と魔法使いの寿命の違い……ラウルスは俺を繋ぎ止めておくのに必死だったんだ……ならちゃんと、俺の気持ち伝えないと。
 流れる血を舐められ、身体が震える。

「っ、ラウルス……おれ……」
「はは……っ、泣いた顔も、痛そうな顔も可愛いな……♡ 安心しろ、怖くない。ロアはずっと、俺に愛されていればいい。何もしなくていいんだ。それで、俺無しじゃ生きられないようにしてやるからな。楽しみだなあ?」

 優しい声で、濃厚な口づけを落とされる。舌が絡んで、熱くてとける。体勢を回転させて押し倒され、むさぼるように食べられる。こわいのに、体が快楽を求めて、熱いキスに応えてしまう。流し込まれるラウルスの唾液は甘かった。このままじゃ、ほんとにラウルスなしじゃ、生きられなくなる……っ♡

「じゃ、再開な♡」
「んえ……♡」
「はは、とろけてるなぁ♡キス好きか?」
「キスきもちい……♡ラウルス……♡」
「そーかそーか。じゃあもっと気持ち良くなろうな♡」

 ドチュンッ♡♡♡
 パチュパチュパチュパチュパチュパチュッッ♡♡♡

「うあッ♡♡あっ♡あっ♡あっ♡あっ♡あっ♡あっ♡」
「ロア♡ロア♡ ずっとこうやっていたいな……♡」
「ラウ、ルスっ!♡おれの、はなし、きいてぇ♡あっ♡」
「なんだ? 従属魔法なら解かないぞ。お前が死ぬまでな」
「ちっ……がうぅ♡」

 腰を打ちつけられながら俺は必死で手を伸ばし、ラウルスの頭を掴んで引き寄せた。そして口づけをした。
 不意打ちになったらしい。ラウルスは目を見開いて、動きを止めた。

「……ロア……?」
「聞いて……おれも、ラウルスのこと好きだよ……」
「え……」
「ラウルスといたくて、今のままでいたくて、見合いは断るつもりだった……これから先、俺が先に歳をとって、ラウルスと過ごす時間がなくなって、ラウルスを置いていくのかなって心配してたんだ……だから、俺も、同じ気持ち……ラウルスのこと、大切に思ってる……!」
「っ、ロア……ロア……!」

 ラウルスに強く抱きしめられる。顔は見えないけど、泣いてるみたいだ。ラウルスも不安だったんだ。話せばきっと分かりあえると思ってた。だって、小さい頃から隣にいたんだから。

 これで元通り。普段の生活に戻って、また平和な時を過ごすんだ。

「なあ俺たち、恋人ってことになるんだよな?」
「そうだな。嬉しい。たっぷり愛してやるからな♡」

 ラウルスは涙をぬぐって笑った。まだ目元は赤いけど、その姿も綺麗だな、と思う。

「あはは……ありがと……じゃ、この従属魔法は解いて……」
「は?何言ってんだ?」
「え?」

 話が噛み合わず、2人してぽかんと見つめ合う。俺は次第に冷や汗が出てきた。

「いや、あの……恋人になったんだし、魔法で縛り付けなくても、俺はお前のになったというか……」
「死ぬまで解かないって言ったろ。今更離してやれるものか」
「俺だって騎士団があるし、家族もいるし、ここに住むとしても、適度に実家には帰りたいけど!?」
「駄目だ。お前には俺だけでいいんだよ。他人と話すなんて、いつどこで誰がロアを狙うか分からない。嫌だ」

 ラウルスは子どもみたいに頰を膨らませて駄々をこねている。いや、そんなに可愛らしいものではない。束縛と嫉妬がえげつねぇ!
 唖然とする俺に気づいたラウルスは頭を撫でてきた。

「ここから出なくても、食べ物も欲しい物も用意してやるから、大丈夫。たまには外に冒険するのもいいかもな。行きたいところにも転移魔法で家ごと移動できるからな」
「俺……今まで通りの生活がいいって!一緒に過ごすから、自由にしてくれ!」
「俺の本性バラしたのに、これ以上我慢しろとか、無理。お前は俺のものだ……♡ロア……♡……俺の欲を満たしてくれ……もっと、イってるところ、見せてくれ……♡」
「ちょ、待っ……」

 まずい、と思った時には手遅れで。ラウルスは紅潮させた顔に、笑顔を浮かべた。

「イけ」
「えっ、あっ!?♡♡」

 動いてないのにっ!?熱が上がるッ♡ 待って、むりむり♡
 勝手に、イくッ♡♡♡

「ああああ"~~~ッ♡♡♡」
「イけっ!」
「ひぃい"ッ♡♡♡♡」
「胸でもイけ♡」

 ぢゅーーーーーッ♡♡♡

「ふあ~~~~~~ッッ♡♡♡」

 頭が揺さぶられるッ♡従属魔法で、ラウルスの言葉通りにイきまくるしかできない♡

「あはははははっ!!すっげえ可愛いっ!ロアッ♡♡ もっと鳴けよっ!もっと媚びて俺のことを欲しがれっ!♡ロア!ロア!」

 バチュバチュバチュバチュバチュバチュ♡♡♡

「あっ♡ひあっ♡ラウ、ルスッ♡♡ラウルスゥッ♡♡ もっと、もっと♡突いて♡♡おれのおまんこっ♡ついてぇ♡♡おっ♡おっ♡あああああ"ん"ッ♡♡♡♡」

 こんな恥ずかしいこと言いたいんじゃないのに♡従ってしまう♡ラウルスのばか♡性癖ねじ曲がってやがる♡

「すきっ♡ラウルス、だいすきぃッ♡♡もっと、ちょーだいッ♡きもちいの、ちょうだいッ♡♡♡」
「ロア、ロア……♡気持ちいいな♡俺もイくから、同時にイこうな……♡ ほら、出すぞっ♡♡」
「あっ♡きたああっ♡イくイくイくッ……♡ ッ~~~~~~~~~~~~~~~~ッッッ♡♡♡♡♡♡」

 ビューーーーーッ♡♡♡ドプッドプッ……♡♡♡

「ずっとずっと……一緒だ……ロア……♡ 大切にするからな……♡」

 爪先まで感じる快楽。与えられる甘いキスに身を委ね、俺は意識を落とした。

 もうここから、逃れられない。
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