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友達だろ?
07
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翌日、夕映は記憶を頼りにコンサートで聴いた曲をインターネットで検索した。何度も探してようやくたどり着くと、スマートフォンで繰り返しそれを聴いた。
クラシックなんて聞いたこともなかったのに、なんとなく部屋の中で落ち着いた音楽が流れていると非日常的でまるで自分の人生ではないような気がした。
その更に翌日は、クラシックのおかげかよく睡眠がとれたことでいつもより元気に出勤できた。あんなにも毎日が辛く、もう辞めたいとすら思ったのに、山本が教育係から外れたことと師長がより目を光らせるようになったことで夕映に対する不当な扱いも減り、以前ほど辛くなくなった。
最近はいいことばかりだ、と夕映の笑顔も増えていった。加えて夜天が時々技術や知識を提供してくれるものだから、医師達からも必要以上に叱られることもない。さすが医者目線で教えてくれているものだと夕映は感心した。
退勤処理を済ますと、夕映は足早に外来へ向かった。本日は旭のところだ。会いに行ける2週間後は土日を挟んでしまったため、ようやく待ちに待った日がやってきた。
自分で決めたルールだが、旭に会えない日々が続くのは寂しい。一目でもいいからあの笑顔を見たいと願うのに、そんな日に限って1度も見かけることはない。
明日は旭の外来日だし、きっと準備をしに来ているはずだ。そう思ったら鼓動が速くなり、自然と頬が熱くなった。
スキップでもしたい気分で辿り着いた内分泌内科。大きく深呼吸をしてから3回ノックをした。すぐに返事が聞こえた。旭の声だと確信すると、夕映はそっとドアを開けた。
「荻乃先生……」
そろっとカーテンを開けて中を覗く。パソコンに向き合っていた旭が視線だけを夕映に向けた。
「お疲れ様です。どうしたんですか?」
すぐにパソコン画面に視線を戻した旭。なんとなく避けられているような気がした。キュッと胸が苦しくなる。
夜天さんにはまた来たのかよって疎まれても平気なんだけどな……。直接何か言われたわけじゃないのになんでこんな気持ちになるんだろう……。
悲しいような切ないようなモヤッとした複雑な気分になる。当然先程までの弾むような気持ちとは異なる。
クラシックなんて聞いたこともなかったのに、なんとなく部屋の中で落ち着いた音楽が流れていると非日常的でまるで自分の人生ではないような気がした。
その更に翌日は、クラシックのおかげかよく睡眠がとれたことでいつもより元気に出勤できた。あんなにも毎日が辛く、もう辞めたいとすら思ったのに、山本が教育係から外れたことと師長がより目を光らせるようになったことで夕映に対する不当な扱いも減り、以前ほど辛くなくなった。
最近はいいことばかりだ、と夕映の笑顔も増えていった。加えて夜天が時々技術や知識を提供してくれるものだから、医師達からも必要以上に叱られることもない。さすが医者目線で教えてくれているものだと夕映は感心した。
退勤処理を済ますと、夕映は足早に外来へ向かった。本日は旭のところだ。会いに行ける2週間後は土日を挟んでしまったため、ようやく待ちに待った日がやってきた。
自分で決めたルールだが、旭に会えない日々が続くのは寂しい。一目でもいいからあの笑顔を見たいと願うのに、そんな日に限って1度も見かけることはない。
明日は旭の外来日だし、きっと準備をしに来ているはずだ。そう思ったら鼓動が速くなり、自然と頬が熱くなった。
スキップでもしたい気分で辿り着いた内分泌内科。大きく深呼吸をしてから3回ノックをした。すぐに返事が聞こえた。旭の声だと確信すると、夕映はそっとドアを開けた。
「荻乃先生……」
そろっとカーテンを開けて中を覗く。パソコンに向き合っていた旭が視線だけを夕映に向けた。
「お疲れ様です。どうしたんですか?」
すぐにパソコン画面に視線を戻した旭。なんとなく避けられているような気がした。キュッと胸が苦しくなる。
夜天さんにはまた来たのかよって疎まれても平気なんだけどな……。直接何か言われたわけじゃないのになんでこんな気持ちになるんだろう……。
悲しいような切ないようなモヤッとした複雑な気分になる。当然先程までの弾むような気持ちとは異なる。
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