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だれ
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ボディーガードの訓練を終え、俺は部屋に戻ってシャワーを浴びていた。ところどころ打ち身になって痛いけれど貴重な体験が出来たと思う。
「ふーっ……」
シャワーヘッドを壁の留め具に引っ掛けたまま落ちてくる水を浴びる。高所からの連続する水滴が肌を叩き、なぞり、排水溝に吸い込まれていく。
汗を流すための行為だ。
「…………っ、ん……」
皮膚に付着した汚れを落とすための流水の刺激は俺の身体を熱く昂らせていく。胸元や股間の分かりやすい性感帯だけでなく、頭皮から爪先まで全て感じる。湯に愛撫されている。
立っていられなくなった俺はシャワーを握って風呂場用の椅子に座る。貞操帯は自分では外せないから付けっぱなしだけれど、後ろに何か入れられている訳ではないので座ることそのものに問題はない。
「ぁ、んっ……はぁっ…………これ、イイかも……」
根元を締め付けられて射精は出来ないけれど、別の貞操帯のように革に覆われたりはしていないのでシャワーの刺激は直接与えられる。
剥き出しの亀頭に水圧を上げたシャワーを当て、焦れったい刺激を楽しむ。水がもったいないなんて思考は今は出来なかった。
「はぁーっ、あぁ……もっと、強く……」
どんなに刺激を与えても射精はできないというのに、俺はそれを忘れて手を伸ばす。親指で中指を押さえて弾くいわゆるデコピンの形を作り、先端に添える。
「ふーっ、ふー…………ぁんっ! はぁっ……」
雪兎にされる時のように連続で弾くことは出来ないけれど、ぶるんと震わされた陰茎の快感はそれなりのものだった。
けれど絶頂には足りない。
俺は自分を焦らすことに決め、シャワーを止めてボディソープに手を伸ばした。
全身を撫でる感触に更に焦らされ、再びのシャワーで足が震えて……それでも何とかシャワーを終えた。脱衣所に出てバスタオルを手に取り、これで全身を擦るなんて耐えられないと棚に戻す。とりあえずタオルを頭に巻いて、バスローブを羽織る。着替えを用意していなかったことを思い出して脱衣所を後にしようとすると、不意に全身を映す大きな鏡が目に入った。
「…………ははっ」
紅潮した頬や潤んだ瞳、口で呼吸してしまって情けなく半開きの唇に、その端から垂れた唾液。三白眼の男がそんな顔をしていても扇情的でも何でもない、ただただみっともない。けれど雪兎はこの顔を喜ぶのだろう。
「……ま、造形は悪くねぇよ。でも……」
俺は好きじゃないな、この顔。
「…………誰だよお前」
いつかネットかどこかで見た話を思い出し、悪ふざけ。
「……お前はポチだよ。ポーチ、犬だ。人間じゃねぇ、犬だよ」
狂ってしまってはたまらないのですぐに答えを教えてやる。
「雪兎坊っちゃまの愛犬、ド淫乱のペット、それがお前だ」
どんどんと顔が蕩けてきた気がする。悪ふざけはそろそろこの辺りでやめておこう、そう考えても自分自身に投げかける言葉が止まらない。
「全身性感帯でさ、何されてもあんあん鳴いてさ? はは、あぁ……ユキ様喜ぶかな」
自分で自分が何を言っているのか分からなくなってきた。けれど、発情しきった今の俺を見たら雪兎は喜ぶだろうということは分かる。
「ユキ様っ……ユキ様ぁ、早く帰ってきて、抱いて……早く犬にして……」
長く一人で居ては、人間らしさを持ってしまっては、俺はきっと狂ってしまう。
だから、早く、失神するまで抱きに来て。
「ふーっ……」
シャワーヘッドを壁の留め具に引っ掛けたまま落ちてくる水を浴びる。高所からの連続する水滴が肌を叩き、なぞり、排水溝に吸い込まれていく。
汗を流すための行為だ。
「…………っ、ん……」
皮膚に付着した汚れを落とすための流水の刺激は俺の身体を熱く昂らせていく。胸元や股間の分かりやすい性感帯だけでなく、頭皮から爪先まで全て感じる。湯に愛撫されている。
立っていられなくなった俺はシャワーを握って風呂場用の椅子に座る。貞操帯は自分では外せないから付けっぱなしだけれど、後ろに何か入れられている訳ではないので座ることそのものに問題はない。
「ぁ、んっ……はぁっ…………これ、イイかも……」
根元を締め付けられて射精は出来ないけれど、別の貞操帯のように革に覆われたりはしていないのでシャワーの刺激は直接与えられる。
剥き出しの亀頭に水圧を上げたシャワーを当て、焦れったい刺激を楽しむ。水がもったいないなんて思考は今は出来なかった。
「はぁーっ、あぁ……もっと、強く……」
どんなに刺激を与えても射精はできないというのに、俺はそれを忘れて手を伸ばす。親指で中指を押さえて弾くいわゆるデコピンの形を作り、先端に添える。
「ふーっ、ふー…………ぁんっ! はぁっ……」
雪兎にされる時のように連続で弾くことは出来ないけれど、ぶるんと震わされた陰茎の快感はそれなりのものだった。
けれど絶頂には足りない。
俺は自分を焦らすことに決め、シャワーを止めてボディソープに手を伸ばした。
全身を撫でる感触に更に焦らされ、再びのシャワーで足が震えて……それでも何とかシャワーを終えた。脱衣所に出てバスタオルを手に取り、これで全身を擦るなんて耐えられないと棚に戻す。とりあえずタオルを頭に巻いて、バスローブを羽織る。着替えを用意していなかったことを思い出して脱衣所を後にしようとすると、不意に全身を映す大きな鏡が目に入った。
「…………ははっ」
紅潮した頬や潤んだ瞳、口で呼吸してしまって情けなく半開きの唇に、その端から垂れた唾液。三白眼の男がそんな顔をしていても扇情的でも何でもない、ただただみっともない。けれど雪兎はこの顔を喜ぶのだろう。
「……ま、造形は悪くねぇよ。でも……」
俺は好きじゃないな、この顔。
「…………誰だよお前」
いつかネットかどこかで見た話を思い出し、悪ふざけ。
「……お前はポチだよ。ポーチ、犬だ。人間じゃねぇ、犬だよ」
狂ってしまってはたまらないのですぐに答えを教えてやる。
「雪兎坊っちゃまの愛犬、ド淫乱のペット、それがお前だ」
どんどんと顔が蕩けてきた気がする。悪ふざけはそろそろこの辺りでやめておこう、そう考えても自分自身に投げかける言葉が止まらない。
「全身性感帯でさ、何されてもあんあん鳴いてさ? はは、あぁ……ユキ様喜ぶかな」
自分で自分が何を言っているのか分からなくなってきた。けれど、発情しきった今の俺を見たら雪兎は喜ぶだろうということは分かる。
「ユキ様っ……ユキ様ぁ、早く帰ってきて、抱いて……早く犬にして……」
長く一人で居ては、人間らしさを持ってしまっては、俺はきっと狂ってしまう。
だから、早く、失神するまで抱きに来て。
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